帰郷6
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リナを筆頭にして、みんなでノコノコと引っ付いて行くと、そこはリナの実家であった。
「教官は……今は引っ張りダコでいないか……」
今回の、鳥かご強襲事件のせいで、軍の関係者は全員駆り出されているが、ユナ達も学校での対応に追われた後に、仕事を振られて四苦八苦していて、ほとんど家に帰る事も出来ずに、学校と現場を行き来している状況であった。
「それで、親御さんのいない家で何をしているんだ?」
これから、地上に行く前の景気付けをする訳じゃないのは、火内のお願いされているという話から分かっている。
問題なのは、友達のお願いとはいえ実家を、そのお願いの場所にしている事。
事と次第では、家族ごと攫われても文句も言えない。
「とにかく中へ」
「あまり危ない事をするなよ……今後は、アタシに相談しな」
ミィオと美優に加えて、新たな娘が出来た気持ちになりながらも、リディはやれやれと玄関をくぐり、
「お邪魔します」
誰もいないとは思いつつも、大人として挨拶をするのだが、やはり誰も声を返す事は無く、
「お邪魔します」
「お邪魔するッス」
ミィオと美優も続けて挨拶をするのだが、やはり誰かの声が返って来る事は無い。
「とりあえず、あたしの部屋に」
「リナの部屋スか、楽しみッス」
「そこが、悪だくみをしている場所か……」
リナの案内のままに全員で階段を上り、何の変哲の無いドア前に来ると、
「それじゃ、どうぞ」
ドアを開けると、これまた変哲の無い部屋で、ベッドに机に本棚、それにテレビが置かれていて、羊とカッパの人形が置かれていたりと、普通の部屋であった。
「適当に座って下さい」
「遠慮無くッス」
敷かれているカーペットの上に座り込むと、みんなでキョロキョロとするが、特別変わった何かは無いのだが、
「それで、そのクローゼットの中に何を隠しているんだ?」
この変哲の無い部屋と、隔絶されている空間があるのを見逃さない。
見える所で何も無いのだから、見えない所にあるというのは必然の答えとなり、三人でクローゼットの方に視線を集中させ、
「火内君の頼み事って、何なんスか?」
クローゼットの中に隠されいる何かを、早く知りたいとソワソワしたその時だった。
『ゴソッ……』
「……そっちか」
ベッドの下から、何かが動く音が聞こえる。




