帰郷55
キツイ訓練でしゃがみ込む事は幾度もあった……足腰が立たないという苦しみも味わった……気を失って目を覚ましたら座っていた事もあった……沢山の座り込むという事をして来たが……
「はぁ……」
こんな老いた老人かのような、気力を失った姿を晒すのは初めてであった。
「美優さん……」
言葉を失っているミィオの代わりに、リナが言葉を掛けようとするが、何と声掛けたら良いのか浮かばない……美優の名前を呼んだだけで、それ以上の言葉を掛ける事が出来ない。
静かな沈黙が流れる中、美優に寄り添う事が出来る者は……
「羨ましいな……」
案内人は遠い目をして、墓地を眺める。
「死んじゃうって……その先を知る事が出来ない事……それは当たり前の話か……」
「…………」
「だから……自分の下に、手を合わせてくれる人がいるのか、来てくれるのか……知る由も無い……だけど……」
案内人は、美優の側に座る。
「あなた達は、ここに来たわ……大切な人の弔いに……弔いに来たという事を私が知ってる……それを私が証明してあげる」
「…………」
「だから羨ましいな……だって、来てくれるんだもの……それに比べて、あたしのお墓には……誰も来てくれないわ」
「あたしの……お墓?」
「……そのままの意味、手を合わせてくれる人が来ないって事……それだったら共同墓地で眠りたい……そうしたら、誰かが手を合わせてくれるもの……」
案内人は、目を細めたまま微笑んだ。
「……ねっ?手を合わせてあげましょう。ここまで来たんだから」
「……そう……ですよね」
美優は目を閉じる……「少し」……を貰った……美優は顔を上げて立ち上がると、
「母さん……リミィさんのお陰で、こうして会いに来れたよ……」
「自分達、こうして生きてるッスよ……」
美優とミィオは、リミィのお墓に手を合わせるのであった。




