帰郷53
「リディさん……」
「わざわざ、そんな事をしなくても……」そう言おうとしたが、
「面倒事は、アタシに任せておけ……もう話は付いたんだから行って来な」
リディは気を使って、こっちは大丈夫だという。
「そうですね。もう話が付いたのなら、そうしましょう……ねっ、美優ちゃん?」
「頼みます」
シュライトが、美優の腕を抱くようにして引き寄せたのを見たリディは、そのままシュライトに任せて行ってしまうのであった。
「……」
「それでは行きましょう」
「よろしく……お願いします……」
ここまでお膳立てされて「自分は向こうに行きます」とは言えない。
心の準備が出来ていない……母の墓の前に行くという時事だけで、心臓が痛くなるほどに鼓動をしてるのを感じて……
「……少し時間を置きますか?居住区の方なら融通も聞きます」
「いえ……行きたいです……」
心の準備が出来ていないのを察して、案内人が時間を取る事を提案してくれるが、美優は覚悟を決める。
「……では、ご案内します」
案内人は、彼女の決意をこれ以上揺らぐような事を言うのを控えて、美優達をパトロールカーに乗せて連れて行く。
パトロールカーに乗って、ほんの少しの距離を走った先に、
「こちらが共同墓地になります」
「ここが……」
リミィが眠る場所へと辿り着くのであった。
そこは庭園のように綺麗に整備されていて、ここにいる人達の心遣いを感じれる。
「母さんは……」
お墓には二種類あった……身元が分かる人には、名前が書かれている個人のお墓……身元が分からない人には大きなお墓が用意されて、そこに亡くなった人達を慰める為の文言が刻まれている。
どっちに眠っているのか分からない……が、出来れば身元が分かっていて、個人で眠っていて欲しいと願う。
我儘だというのは分かっているし、贅沢な事を望んでいる事は分かっているが……それでも、身元不明で多くの人と一緒くたにされるのは嫌であった。
そんなのは個人的な見解で、身元不明だとしても手厚く葬ってくれた人達に対して、喧嘩を売るような事だと思ったとしても、
「……個人の方から探しても良いですか?」
「えぇ、そうましょう」
自分達の母の墓を探す。




