帰郷50
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大型トレーラーに備えられているカメラが、外の景色を取り込んでモニターに映す。
そこに映し出されるのは平坦な道……それは、ここまでの道中と何一つ変わらない景色だった……だったが、それが現実を突き付ける。
平坦な道、手入れをされている環境……それは誰かが、整備をしているという証拠。
滅んだ世界がそこにあるのなら、それに伴って周りも滅んでいってしまう……だけど、周りの世界は整備された環境を維持している。
フアニに近付けば近付くほどに荒廃した環境が広がり、最終的には崩壊したフアニに辿り着くと思っていたが、結果は真逆であった。
「皆さん、フアニに到着しました」
「ここがフアニ……」
「綺麗になってるッス……」
外界と隔てる防壁の隔壁が開かれ、フアニの内包が晒される。
人の血で赤く染まり、人の遺体が散乱していた世界はそこには無い……そこにあるのは……
『こちらはパトロール隊の者です。こちらの誘導に従って、駐車場まで移動して下さい』
「了解しました」
新たに創り直された世界。
駐車場へと案内される間、モニターに釘付けになりながら新たな世界を見えうのだが、フアニに住んでいる人達も、見た事の無い大型トレーラーに目が釘付けになる。
「……ふぅ」
美優にとって、今ここで住んでいる人達は違和感だが、今ここで住んでいる人達にとっても、外から来た大型トレーラーは異物でしかない。
お互いの気持ちは一緒で、フアニという共通点を持ちながら、その隔たりは余りにも大きい。
「アネキ……」
「心配するな……ここの人達をどうにかして、取り戻すなんて考えていないさ……もうここは、ここの人達の場所だよ……」
このフアニに元々住んでいた自分ではあるが、ここにはもう、自分が居たという物は存在しないのだと理解する事が出来た。
(元気に育ちな……それで良いんですよね、リミィさん……)
明け渡した巣に、新たな命が芽吹いた……そう思うのが健全であり、そう思うのが人として正しい形なのだと納得するのであった。




