帰郷42
もしも……万が一にもミィオを連れ去る等という事をすれば、リディは鬼になる。
今回の火内の探索を破棄して、ミィオを助ける事に全力を注ぐ事となる。
「私の方から誤魔化して、連絡をしておきます」
「……よろしくお願い致します」
リディは、シュライトにお願いしておきながら、我ながら不用心だとは思っている。
彼女が自分達を裏切らない、または密偵という可能性だってあるというのに警戒しないのは、今回の任務が上層部の担保があるからなのか、それとも彼女を信じているからのなのか……
「どうしましたかリディさん?」
「いえ……明朝にはフアニに着けるように、もう少し進んでからじゃないかとと思って」
「そうですね……フアニに朝から行くなら、もう少し進んだ方が良いですね」
自分の気持ちを知ってか知らぬか、シュライトはリディの言葉に同意をする。
「……アタシも運転をしよう。各々、休んでくれ」
「運転なら私がやりますが」
「いや、少し考え事をしたい……何さ、ぼんやりと運転して事故ろうにも遮蔽物は無いさ」
運転席に座って、この席はもう自分の場所だと言わんばかりに座席の位置と高さを調整する。
「さっ、休むのも仕事だ」
「……了解です。みんな行こっか」
シュライトは、まるで昔からみんなの保護者かの様にして、みんなを居住区に連れて行ってくれる。
「ふぅ……歳を取ったな……」
一人きりになったリディは息を吐き出す。
久しぶりにパワードスーツを着て外に出たのも疲れたが、こうして実際にミィオ達を引き連れるというのは、自分が思って以上にプレッシャーが掛かる。
「でも……フアニに行く事に緊張すると思ったが、そうでもないのが救いか……」
自分にとっての因縁の場所、自分の生態兵器が奪われた事で壊滅に追い込まれた街……リミィや美優、ミィオだけではない……多くの人の命を奪ってしまった。
「幽霊がいるのなら、呪い殺されても文句は言えないな……」
最初は、その罪悪感から気後れすると思ったが、意外と自分はまだ戦士でいられる……
「文句は言はないが、死ぬにしても、あの子達だけは守り抜く……」
それは気概では無い、覚悟である。




