帰郷38
大型トレーラーから出た三人は、リディを筆頭にして後方へと左右に広がる。
扇を自分の方に向けた形でポジションを取り、大型トレーラー中心にして渦を巻くように警戒しながら歩く。
まるで火星にでも降り立ったかのように慎重に……支配地域なのだが、未知のエリアを探索するかのように息を潜めて三人は練り歩いた……が、
「……何もいませんね」
「そうだな……」
「うぅ…ごめんなさい……」
大型トレーラーを中心にしてグルグルと周ってみたものの、敵の姿は無く、無駄足を踏ませてしまった。
リナの勘は所詮は勘だったらしく、ただの気のせいだったらしい。
時間を無駄にさせてしまった事に、リナはしょんぼりとしてしまうが、
「いや気にしなくて良い、アタシ達は危険な立場にいる。また、気になる事があったら教えてくれ。戻ろうか」
「了解です」
リディは、リナを咎める事無く美優を連れて大型トレーラーへと戻る。
「様子は、どうだったスか?」
「今すぐ問題になるような事は無かったよ」
大型トレーラーに戻るとミィオが出迎えてくれるので、外に異常事態は認められなかった事を伝え、
「それじゃ、美優はそのまま待機してくれ」
「了解」
「えっ?外には何も無かったんスよね?」
「念には念をだ」
リディは、パワードスーツのヘルメットを外して一息つくが、美優にはまだ窮屈なヘルメットを被る事を命令する。
「だったら自分がッス」
自分が大型トレーラーを止めたから、警戒状態にさせてしまった……だから責任を取る為に、自分がスクランブル待機をすると言うのだが、
「次に何かあったらミィオと美優の三人で外に出て、リナを待機させる」
「それだったら、アタシがスクランブル待機も……」
「今のリディさんは「隊長」だぞ。命令されたら「了解」で返しな」
「……了解」
いつもののリディさんではない、今は隊長のリディ。
進言をするなとは言わないが、今の二人の言葉は進言ではなく、罪の償いをしたいと言っているだけ。
「ほらっ、シュライトさんと運転を変わってあげてくれ。あの人と話したい事があるんだ」
「「了解」」
二人は着用していたパワードスーツにパワージャケットを脱いで、シュライトがいる会議室へと戻ろうとしたのだが、
「……そうだった、ちょっとだけ話を聞いてくれ」
「話しスか?」
「会議室に行け」と命令したリディであったが、二人が行く前に一度声を掛けた。
「実は、アタシも気になる事があって、お前達を呼ぼうとしたら美優が来たんだ」
「気になる事?リディさんも、何か気になる事が?」
「あぁ、技術屋の勘というのか……少し足を止めたかったんだ。お前達もまた、何か気になる事があったら、必ず声を掛けてくれ」
「……了解しました」
二人は何か腑に落ちない気持ちだったが、それでも「了解」を返し、今の話を聞いていた美優は、目を丸くするのであった。




