帰郷34
「あなたが死んだら、あの子達が泣きますよ……」
「死にはしないさ、私は前線基地で生き残った。あの子達を守りながらで戦えるなら良いが、自分が囮になった方が良いならそうするって話で、囮になった後は身を隠して、後から合流する」
それを本気で言っているのか、万が一の時に見捨てられるように言っているのか、判別は付かないが、
「……分かりました。主任として、もう一つの個室は私が使います……が、もう一度だけ言います。あなたが死んだら、あの子達は泣きますよ」
あの子達にとって、リディが心の支柱だというのは分かる。
それは、あの子達の中で唯一の大人だからというのもあるが、この地上まで一緒に降りて来て、あの子達を守るという決意は、並々ならぬ思いで出来るような話ではない。
ただ任務で押し付けられたというのなら、鳥かごから降ろされた恨みで、子供達を邪険に扱ってしまうだろう。
「それは分かっています……なんて言ったら自惚れでしょうね?」
「口にするのは恥ずかしいでしょうが、それを分かっていないで好き勝手するのは愚か者です」
「そうですね……」
リディは水を一口含み、喉を鳴らして水を飲むのであった。
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「それにしても面白いッスね、凜ちゃんも運転してみるッスか?」
「あたしは足が届かないので、遠慮しておきます」
幾ら高性能な乗り物でも、子供が運転する事は想定しておらず、凛の背丈ではまだ足が届かない。
後々、シートを改造してくれるという事だが、今は足が届かないのだから、運転するべきではない
「こういうのは、お前の方が得意だよな……これをアタシの体と接続出来るようにしてくれたら、良いんだけどな」
「……美優さんは、そういうのは気になさらないんですが?」
「そういうの……?あぁ、アタシはこの目と手足を誇りに思っているからな、母さんが必死に守ってくれたから命がある。リディさんが必死になって創ってくれた目と手足がある……これだけ愛されているのが形となってあるんだ、誇る事はあっても気にする事は無いさ」
それは本心からの発言、こうして生きていられるのはリミィとリディさんのお陰であり、二人の想いが自分に力を与えてくれていると心の底から思っている。




