帰郷3
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「全く……地上に行けとはな……」
「地上……」
「あぁ悪い……心配しなくて大丈夫だ。アタシは地上での生活の経験がある。それを含めての保護者的な存在なんだろうなアタシは……」
お偉いさんの話を聞き終えたリナ達は、全員でリディの部屋に行くと、各々椅子にベッドにと、座れる場所に座っている。
「それに特殊任務と言っても、物資を全て自分達で確保しろという訳じゃなくて、地上の基地からは優先して物資を回して貰える……それも、少数精鋭の人数が少ないから出来る事だけどな」
リディとリナ、美優とミィオのたった四人の小隊とも呼べない部隊ではあるが、他の部隊も探索で出ているから、全体の規模では「大隊」であり、その中の一部である。
その中の一部で、火内と関係がある者達だから、優先的に補給を受けられるという特別処置を受けられる。
決して無謀な事を押し付けられているのではなく、何ならば待遇は他の部隊よりも良い。
これならば、地上に降りても心配するような事態にならないように、リディが何とかしてくれる。
「……こんな時に、ツバメも小此木も行方不明になって」
「こんな時に」……自分達が、地上に降りなくてはならないという時に、ツバメと小此木が消えた。
記録上では、二人は死んだ事になってしまっているが、
「またね」
あの日、事が治まって屋上から降りた後、最後にツバメが残した言葉は「またね」であった。
それと時を同じくして小此木も、
『いつかまた会おうね。この手紙は燃やしてね」
学生寮に戻ってから、自分達の部屋の机に残されていた書置きにも「いつかまた」と書かれていた。
二人は死んでいない……けれど、二人は消息を絶った。
(地上に行ったら……二人とも会えるのかな?)
二人も火内を探しに行ったのか?それとも他の事情で姿を眩ましたのか……二人が仲が良いのは分かっていた……けれど、だからと言って恋人同士という訳でも無かった。
(何で、アタシを置いて行ったんだろう……)
二人の仲を邪魔するつもりは無い、二人の仲が良いのは分かっている……それでも、自分を置いて行く理由にはならない。




