帰郷27
「キャンピングカーみたい……」
「えぇ、様々な基地からの意見を取り入れた最新鋭機です。戦車や戦闘ヘリのような戦闘力だけが、武器ではありません」
案内人の連れて行かれるがままに大型トレーラーに乗り込むと、入り口から広がる生活感を感じる居住区。
そこは居間を併用した会議室、四人でも五人でも広々と使える。
「しかも、運転はここからでも出来ます」
前方の方に、車の教習場で使われるシミュレーターのような、三面モニター付きの座席があり、そこに案内人が座って操作を行うと、外の景色が鮮明に映し出された。
「運転席の方が操縦しやすいと思うかもしれませんが、車内に運転を設ける事によって、操縦席を狙われる危険性を無くす事が出来ます」
「何が襲って来るか分かりませんから、車の頭である操縦席を内部にも設けるのは、正しい判断ですね」
この発想は戦車に通ずる所がある。
戦場に赴き、敵の攻撃に我が身を晒す戦車の操縦席が表に晒されていては、ちょっとした攻撃で操縦士が殺されて、移動も何もない。
だが、後方支援をする乗り物なら、敵の攻撃に曝される事が異常事態であり、その状況にしないというのが基本の話。
それ故に、通常の車のような外からの攻撃を受けるような造りをしていても問題は無く、内部にモニターの設置をする等のコスト面、生産性を考えても、後方支援をする乗り物の内部に運転席を設ける必要無いと言えるが、
「贅沢ですよね?無駄な機能とも言われましたが「このトレーラーは試作品だから、考えられるだけの性能を積み込みたい!!」と言って備えました」
ワンオフ機を造るという考えの下で造られたらしい。
「……っという事は装甲は?」
「表の装甲は、爆発反応装甲を使用しています」
簡単に言うと相手の攻撃を受けた際に、圧力を感知して自ら爆発する事で、弾丸がめり込む前に弾き飛ばす装甲である。
「これも言われたでしょ?」
「言われました「この装甲を大型トレーラーに張り付けて量産出来るか!!」と」
「ワンオフ機ですか?」
「試作品です」
生産を見越して造れと言われだろうに、技術屋というのは我儘な生き物だ。




