帰郷23
「それでも、自分の所の人間は大事な駒さ。何せ、陣取りゲームをするのに必要で、簡単に繁殖出来無いからな……大事にはされてはいるよ」
物扱いと言っても、何もぞんざいに扱うという事ではない、陣地を取る為の大事な駒。
RLが村や町の付近に出れば、近くの前線基地から兵士が出向いてくれるし、常日頃からのパトロールや駆除も行ってくれている。
ただ、いきなりの奇襲となると必ずしも対応出来るという訳も無く、どうしてもやられてしまう所はある。
「色々と話をとっちらかしてしまってるけど、次に話を進めるぞ」
フライホエールシャークは、そろそろ空港基地に着く頃合いで、そろそろ話をまとめないといけないのだが、まだ話したい事はは山程ある。
「正直な話、お前達にはまだ、鳥かご同士で争っていて殺し合っている事実は伏せたかった。人間同士の殺し合いは血生臭い……RLとの戦いとは違った……」
「人間とも、やり合ったんですか?」
「……うちの管轄の村を襲おうとしたから始末した…………獣の声だったから、最期に何を言っているか分からなかったがな」
「そうですか……」
命乞いをされたのか、罵声を浴びせられたの分からないが、襲撃した人間は始末されたらしい。
「今回の核露探索の為に、地上に降りる兵士の数は多い……何せ、フライホエールシャークを出す程に探索隊を用意している。こんな状況で、昨日の今日で仕掛けて来る事は無いと思いたいが……」
「それは人間同士の殺し合いが、起きるかもしれないって事ですか?」
「こっちの鳥かごだって、指を銜えている訳じゃないんだがな……死んだミンクから出身地を割り出せれば、その鳥かごを給弾して動きを止められるんだが難航している……奴等が、あの特別なミンクを保有していなければ、人を送って来る可能性はある」
ドラゴンを喰らう為にやって来た化け物達……あれが総力戦であったのか、それでも余裕を持ってやって来たのかは分からないが、最悪の場合、所属不明の人間が襲って来る可能性は考慮しなければならない。
「襲って来ますかね?」
「お前達を不安がらせない為にも黙っていたが、その可能性はある」
やはり話をしなければならないと思ったのは、リディの中の不安が拭い切れないからであった。




