帰郷22
「アタシが、人を殺す為の生物兵器を創ったのは、リミィ達を鳥かごに連れて来る為だった……だけど、そもそもの話、何でこんなコンペがあったかという話だ」
「コンペがあるって事は、それが求められたって事ですからね」
「地上にいる人間は、いらないって事ですか?」
地上生まれの凜にとっては、面白い話ではない。
地上に生まれたというだけで、生物兵器を差し向けられて殺されかねないのだから。
「それは違う、地上の人達には、繁栄して貰わないといけない理由がある」
「人が住む場所が増えるという事は、それだけRLの住処を奪う事になるからッスよね?」
人が住む場所が増えれば増えるほど、野生動物は住処を失う事になるし、野生動物が増えれば増えるほど、人間の住処は減る。
まるで駒遊びのような話だが、地上に人がいるというのはそこが陣地となり、そこから繁栄が始まる……それは原始の時代からの掟のような話であり、それは現代でも変わらない。
「だったら、何で人を殺す為の生物兵器が必要になるんですか?」
RLから地上を奪還するという人類の悲願を達成する為に、地上を開拓している真っ最中なのだから、人が増え過ぎたという事は無い。
それなのに人を殺す兵器が必要になる理由というのは……
「地上を取り返した時、どこの鳥かごが主導権を握ると思う?」
「主導権……?主導権って何ですか?」
凜は「主導権」という言葉に、目を丸くする。
RLを支配された地上に生きる者達にとっては、そんな言葉等聞くはずも無く、一体何の話をしているのかと……理解出来無いという様子であったが、
「そうですか……そのまま地上を支配した分だけ、領土になるという事ですね」
「そうだ、地上からRLを一掃した時点で、支配している土地がそのまま支配地域になる」
美優は、鳥かごの闇の部分を理解する。
「だって、今言ったじゃないですか……「地上にいる人間はいらない」って事に対して、違うって」
「自分達の所の人間はいるが、他の所の人間はいらないって事だよ」
「……最低」
「そうだ……最低だ……既に住んでいる他の地域の人間を始末するのに、丁度良かったんだよ七節は、パッと見はRLだからな」
地上に生きる人達は、今日という日を必死に生きているのに、鳥かごにいる者達は、地上の人間を地域を取る為の駒としてしか見ていない。




