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焔翼のグリフォン  作者: いねの
第一部 旅立ちと決意 第1章 冥土を背に
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冥土を追う影

 夜明け前、廃墟となった村の隠れ家。

ハクヤたちは薄暗い部屋の中で地図を広げ、今後の行動を話し合っていた。

冥土の本拠地に戻り、エイゼを救い出すためには、戦力を整えなければならない。


「つまりよ、冥土を潰すにはまず奴らの拠点を正確に突き止め、少しずつ戦力を削ぐってわけか……。」


ガルツが地図を指でなぞりながら言った。彼は元銃兵士だけあって、戦略には長けている。


「それだけじゃないよ。冥土は各地に拠点を持ってるし、資金源や協力者も多い。単に突っ込むだけじゃ勝ち目はないね。」


レイラが静かに言いながら、治療道具を整理している。彼女の青い瞳が不安げに揺れていた。


「……力ずくで突破すればいいだけの話だろう?」


ザハークが腕を組みながら低く唸る。彼の人狼としての力は強大だが、それだけでは勝てないことを彼自身も理解している。


「俺たちだけじゃ足りねぇ。仲間を増やす必要がある。」


ハクヤが剣を膝の上に置きながら言った。


「冥土のやり方に不満を持ってる兵士や、俺たちと同じように奴らに苦しめられた連中なら、共闘してくれるかもしれない。」


「……エイゼさんのために?」


レイラが小さく尋ねる。


「まあ、それもあるが……それだけじゃない。冥土がやってることをこれ以上放置できない。」


ハクヤは拳を握りしめる。


「エイゼは俺に『ここに来るべきじゃなかった』と言った。だが、もう遅い。俺はここにいる。知ってしまった以上、黙ってはいられない。」


ガルツが笑みを浮かべ、銃を手に取った。


「いいじゃねぇか、ボウズ。だったら、とことんやろうぜ。冥土に地獄を見せてやる。」


「賛成!ボクも冥土の連中には恨みがあるし、エイゼさんにも恩があるんだ。」


レイラが頷く。


「……俺も協力する。ただし、手加減はしない。」


ザハークが獣のような鋭い視線で言った。

ハクヤは仲間たちを見渡し、深く息を吸い込んだ。


「よし、決まりだ。まずは戦力を増やすために、冥土に恨みを持つ者たちを探そう。」


 こうして、ハクヤたちの旅が始まった。

エイゼを救い出し、冥土を打ち砕くために──。


 ハクヤ、ガルツ、レイラ、ザハークの四人は、冥土の拠点や関係者の情報を探るため、国のあちこちを移動していた。冥土の勢力は広く、彼らの動きは慎重にならざるを得なかった。


「……しかし、こうも静かだと逆に気味が悪いな。」


ガルツが呟きながら、銃の装填を確認する。


「ああ、たしかにな。冥土が俺たちを追ってこないはずがないよな……妙だな。」


ハクヤは剣の柄を握りながら辺りを警戒した。


「まだ逃げ出したことに気づいてないんじゃないの?」


レイラはそう言いながら、長い髪をかき上げる。


「……いや、それはない。俺の感覚が正しければ……俺たちはすでに見張られている。」


ザハークが鼻を鳴らし、低く唸った。

その言葉にハクヤたちは身構える。

 ──次の瞬間。

木々の間から矢が飛び出し、ハクヤの肩をかすめて突き刺さった。


「伏せろ!」


ガルツが叫び、即座に銃を構える。


「やっぱり来たか……!」


ハクヤは剣を抜き、周囲を見渡した。

木々の間から、白い装束の兵士たちが現れる。冥土の追っ手だった。


「逃亡者、ハクヤ。そして検体ナンバーA102(ザハーク)C312(レイラ)元雑兵(ガルツ)。お前たちにはここで死んでもらう!」


「……お前らの命令なんか、聞く義理はねぇよ。」


ハクヤは剣を構え、冷たく言い放った。

敵は迷いなく襲いかかってきた。

──戦いが、始まる。

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