解決したのならもうどうでもいいわ
「私は貴方と出会って視野が広がったのですよ! 男性も好きになれるとわかったのです!! 可愛い顔の方なら! 女性に似ている方なら!! 中世的な方ならと! そう思って今回ヒュース皇子に話を持って行って、無理やり婚約をさせたというのに。まさか、まさか本当に女性だったなんて!!」
「ま、待て待て。落ち着けレイラよ」
「これが待っていられますか!! 私は失敗してしまったのです。フェアズ様に相談したところまでは良かった。ヒュース皇子をご紹介していただけたのだから、ですが、ですが!!! なぜフェアズ様は女性をご紹介したのでしょうか!!」
王が王妃を宥めようとするが、意味はなく涙を浮かべながら王に顔を寄せ嘆き続けている。
「それだけでなく、まさかオスクリタ海底にまで管理者が来るなど思っておらず、この海底を危険な目に合わせてしまいました。それを解決してくださったのは黎明の冒険者達というじゃないですか! 助けてくれた恩があり、跡取りの事も、本人はしっかりと考えていると言っています、信じましょう」
そこまでロゼ姫について考えていたのか。
両腕にアルカとリヒトを抱えていなければびしっと決まっていただろうが、まぁいい。
「…………ロゼよ。今まで辛かったか? 婚約について、男性を紹介しようとしていた事」
「はい、正直に言いますと、辛いというよりめんどくさかったです。どのようにお断りしようか考える時間がもったいなかったです」
「うっ…………」
あ、王が肩を落とし項垂れた。
ロゼ姫もあそこまで言う事はないと思うんだけど、お父さん涙目だよ、可哀そうに。
「わかった。もう好きにするがいい。ただし、これだけは伝えておく」
「はい」
「何かあれば必ず連絡を入れろ。私達でも出来る事は少しくらいはあると思う。例えば、ギルドに圧をかけ危険な任務から外させるとか…………」
っあ、待て待て!!
それは言ってはいけない!!! ギルドに何かするのはだめだ!
「へぇ、僕の前でギルドの話をするなんてすごい度胸だね。いくら王でも何かするなら許さないよ?」
「スイマセンデシタ」
あーあ。アマリアが怒った。
俺、知らね。
「ごっほん。ギルドに何かすることは難しそうだが、他にも出来る事なら何でもやる。だから、必ず戻って来い。必ずだ。それを約束するなら冒険者への入隊を認めてやる」
「は、はい! 約束します、ありがとうございます!」
なんか、変な感じだが、ひとまず色々クリアしたらしい。
流れに身を任せる事も大事なんだな。
俺はもう疲れたよ、ベットにダイブしたいよ、はぁ。
※
今回の護衛任務、完遂。
「死んだ」
「お疲れ様です、カガミヤさん」
「お前もな、リヒトとアルカ」
俺達三人は、一斉に部屋の中にあるベットにダイブ。
ゆっくりとふわふわなベットに沈んでいく感覚、落ち着く。
「婚約破棄できた、という事でよいのか?」
「それで大丈夫です。ヒュース皇子も巻き込んでしまい申し訳ありませんでした。足元を見ているような条件を出してしまって、悩みましたでしょう」
「はい……。ですが、結果的には良い所に落ちたため問題ない。お互い大変な想いをしたという事で今回は終わりにしよう」
「はい」
ヒュース皇子とロゼ姫が何か話している声が聞こえたが、俺達は疲労でもう限界。
このまま目を閉じ、意識を手放した。
※
青空に囲まれた空間。中央には長椅子と、椅子が四つ。そこに座っているのは、黒いローブをかぶっている四人。
処刑人であるアクアとクロ、まだ知里と面識のないフィルムとクロヌだった。
「まさかでしたね。フェアズは正直、いつかこうなると予想はしていましたが、アマリアまで管理者を裏切るとは思っていませんでした」
「本当ですねぇ、さすがに私も驚きましたぁ。アマリアはもっと頭を使う人かと思っていましたが、意外とお馬鹿さんだったのでしょうか?」
クロの言葉にアクアが肩をすくめ、アマリアについて話す。
その口調は心なしか悲し気に震えており、クロはため息を吐いた。
「アクアはアマリアの事尊敬していたもんね。うちは特になんとも思ってなかった」
「アマリアは、何も知らない私に様々な事を教えてくれました。この世界のルールや常識、管理者での行いなど。なので、悲しいです。それと同時に、私達を裏切ったアマリアを許せないです」
口角をあげながらいつものように話すが、口調が徐々に暗くなり、テーブルに置いている手は強く握られる。
そんな二人を諫め、フィルムはクロヌに声をかけた。
「クロヌ様、アマリア、どうしますか」
フィルムの問いに、皆がクロヌに注目する。
少し考えると、クロヌは重い口を開いた。
「────殺せ」
短く告げられた言葉に、クロとフィルムは頷く。
この場ですぐに頷くことが出来なかったのはアクア一人。
顔を俯かせてしまったアクアの顔を覗き込むように、クロが怪訝そうな顔を浮かべ名前を呼んだ。
「アクア?」
「……………………わかっていますよ、クロ。もう、敵、なんですよね、アマリアは。それなら、私も全力で戦います」
覚悟を決めたアクアに水を差すように、クロヌが訂正をした。
「アクア、戦うのではない、殺すのだ。手段は選ぶな。裏切り者には罰を与える。何をしてもいい、戦闘するまでもなく、殺せ」
クロヌが顔をあげアクアを見る。
フードの隙間から見える鋭く光る瞳に、アクアは肩をビクッと上げ顔を青ざめさせた。
息が荒くなり、うまく言葉を発する事が出来ない。
それでも、何とか答えなければと、顔を小さく頷かせた。
クロヌからの視線から逃げるように顔を逸らし、俯く。
アクアの様子を見て、クロヌはフードをかぶり直した。
「では――――――」
これで話し合いは終わり、そう言おうとした時だった。
この空間に繋がる扉が、大きな音をたて開けられた。
コツ…………コツ…………
革靴の足音が響き、三人は足音の聞こえた方へと顔を向けた。
そこには、黒いローブで身を包んでいる一人の青年。
フードの隙間から見える口元は、白い八重歯を見せ横に伸びていた。
「おいおい。しばらく帰らないうちに人数が減ってねぇかぁ? 何百年も変わっていなかったのに……。何かあったのかい? なぁ、クロヌ様ぁ」
ケラケラと笑いながら足音を鳴らし、四人へと近付いて行く。
その時、アクアの様子がおかしい事に気づき笑みを消して後ろへと回った。
「おい、アクアよ。どうしたんだ? なんか、暗いじゃねぇか。また魔力が高まり過ぎて体が辛いのか? それならアマリアに言わないと駄目だろうが」
「…………聞いていないのですか、ウズルイフ」
「あぁ? 俺は自分探しの旅に出ていたからなぁ。何も聞いてねぇよ?」
「そっか…………」
「おー??」
アクアの様子に周りを見回すと、アマリアとフェアズがいないことにやっと気づき顎に手を当てた。
「そういや、人数が少ないと思ってはいたが、珍しくアマリアとフェアズがいないのか。どこに遊びに行っているんだ? こういう会議は皆勤賞だろ、あいつら」
「お前以外は全員しっかりと出ておる。お前だけだ、いつもさぼるのは、ウズルイフ」
「へっへー、めんごめんご」
てへっと舌を出し、すぐにクロヌから目を離しアクアを見下ろした。
「なんかよくわからんが、アクアをあまり怯えさせるなよぉ? 俺の大事な大事な玩具なんだからよぉ」
アクアの頭を撫でてあげながら、ウズルイフは唇を尖らせクロヌに抗議した。
「怯えさせてはいない、勝手に怯えただけだ。それより、ウズルイフ。裏切り者をこれから追跡しろ」
「裏切り者ぉ?? 誰だそれ」
「アマリアだ」
名前を聞いた時、フードで隠れていた藍色の瞳が細められた。
「…………へぇ、なるほど」
「あぁ、管理者を裏切るのは殺されてもいいという事だ」
「ほうほう、なるほど。わかったわかった、追跡はしてやるよ、追跡だけはな」
ケラケラと笑い、アクアから離れ、ウズルイフは手を振り青空の空間から姿を消した。
他のメンバーも、その場から居なくなり、残ったのは顔を俯かせているアクアのみ。
震えていた体を抑え、ゆっくりと顔をあげた。
「アマリア、なんで……。私はどうしたら、いいのですか」
青空を見上げ、嘆く。
そのまま瞳を閉じ、一人で時間を過ごした。
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