最後の最後で言うとかマジであり得ねぇよ
「自分から話しておいてなんだけど、期待しているようなものではないんだよね。人間だった時に出会って、管理者になってから振られた。ただそれだけ。僕はまだ好きだから諦めていないけどね」
「のろけはどうでもいいけど、人間だった頃というと、いつ?」
「三百年以上前」
桁がもはや化け物。
「それってつまり、三百年以上も一人の女性を愛し続けたということですか?」
「そうだね、僕にはフェアズしかいないよ。他の女性と交際は考えられない」
リヒトの質問にアマリアが平然と答えると、歓喜の声を上げ俺を見てきた。
な、何か伝えようとしているような視線だな。
これは、何か答えようとするとめんどくさいから完全無視を決め込むが吉。
「んー、人間の時は交際どこまで進んでいたの?」
「それはどういう意味で聞いているの?」
「年齢指定ない方で聞いている」
「それなら同居までかな」
「ふーん」
おい、なに赤面してんだよリヒトとアルカ。
さすがに年齢指定アリの方は聞けねぇよ。
聞くとしてももっとダイレクトに聞くわ。
遠回しな聞き方した方がなんとなく気まずいだろう。
「結婚とかはしなかったのか?」
「……………………そこまでの、経済的余裕がなかったんだよ」
「うわぁ…………」
お金がなかったのかぁ~。
今の俺なら自害するレベルかもしれない。
《《目を逸らしながら言っているということは》》、アマリアも俺と同じ気持ちということだよな。
金がない生活なんて、何を楽しみにすればいいんだよ。
俺は生きていけない。
「世界滅亡みたいな顔を浮かべているけど、そこまで困窮してたわけじゃないよ。普通の生活はしていたし、一日三食は食べられてた。ただ、無駄なお金を使えなかっただけ」
「結婚は、無駄なお金になるんですか…………」
「結婚はしなくても生きてはいけるけど、食事はないと生きていけないでしょ? その二つを天秤にかけただけだよ」
リヒトはそういう所ばかり質問するなぁ。
俺が顔を向けると、なぜか目が合ってしまった。
すぐに逸らすと、リヒトがショックを受け落ち込んだ。
い、いやぁ、ここで変に期待させるわけにもいかないだろ。
俺は犯罪者になる気はないし、諦めるんだな。
…………ん? なんか、ぼそぼそ、リヒトが何かを呟いてる?
えっとぉ、なになに?
「カガミヤさんも、結婚とかでお金は、使いそうにないですね…………」
…………その前に相手を作る予定はないから安心しろ。
お金を使ってもいいと思えるような相手に巡り会えない限り、俺はずっと独り身だ。
「ほっといてもいいの? 君に好意を持っているように見えるけど」
「変に期待させる訳にはいかないからな、このまま無視を続ける」
「へぇ、優しいね。人の本質をしっかりと理解して行動出来ている。知里は何があっても自分の道を間違えないような気がするよ」
なんだ、それ。
「よくわからんが、今はどうでもいい。元恋人さんから見て、今もフェアズはどうなんだ? アマリアとは考え方がまるっきり違うと思うんだが?」
あ、視線を下げてしまった。
これは、何かを抱えているな。
「まぁ、そうだね。管理者達の管理方法は、その人の性格的なものがあると思うよ。僕は《《もう》》人を無駄に殺したくないの、だから冒険者達も管理しているだけ。正直、管理者の仕事をするだけなのなら、登録している冒険者はどうなってもいいんだよね」
なるほど。これは、アマリアの性格が出ているのか。
フェアズは管理者としての務めしか果たしていないから、人がどうなろうと知ったことではない。
他の管理者達はどうなんだ。
アクアは――処刑者には管理も何もないか。
「アマリアは、他の管理者達とよく話すのか?」
「フェアズとアクア以外の管理者とは話したくない」
「え、アクアも? アクアとも話せるの?」
「僕がアクアの教育係だったからね。今でも普通に話せるよ、アクアは何も企んでいない、《《本当の子供のようだからね》》」
あれが、子供? 人を殺すことを楽しんでいる、処刑人のアクアが、子供?
…………こいつの感覚、ホントウニワカラナイナー。
「……こほん、今のはあまり聞かなかったことにするとして、性格とかって知っているのか? アクアとフェアズ以外の管理者達の」
「知らない興味ない関わりたくない」
「…………他の管理者、可哀想に。俺も絶対に関わりたくないけど。って、そうじゃないんだよ。性格やどこを管理しているのかとかを聞きたいんだけど」
「今聞いてもわかるはずないから伝えない。アクアのことだったら魔法以外について答えるけど」
アクアはいいのかい。どういうことなんだ?
嫌われているとかではないと思うんだけど…………。
普通に話せるとか言っているし。売っている訳じゃないよな?
「えっと、じゃあ、アクアのわかっていること教えて」
「アクアの身長は186cm、体重70kg。好きな食べ物は甘いもの、苦手なものは辛い物。戦闘大好きな戦闘狂。管理者の中で一番魔力量が多く、攻撃魔法が一番多い」
「攻撃魔法が多いのは納得。それ以外のくっそどうでもいい情報までありがとう。それ以外に有力な情報はないの?」
「自分で聞いた方がいいと思うよ。アクアなら普通に話してくれると思うし」
確かに。アクアなら笑顔で色々教えてくれそう。
ただ、話す時間をしっかりと作ってくれるかどうかだな。
「今は管理者達のことも大事だけど、会ってからの方を考えた方がいいと思うよ?」
「どういうこと?」
「管理者を知れたとしても、知識だけではどうすることも出来ない。もっと、使える魔法と、魔力コントロールを磨いた方がいい。君ならすぐ上に行けると思うし、相手ならオスクリタ海底に一人、良い人がいるよ」
ん? オスクリタ海底にいい人? 誰だ? まさか、ロゼ姫様?
嘘、ロゼ姫、もしかして戦闘能力高いの? マジで? 回復魔法特化型じゃないのか?
「言っておくけど、ロゼ・クラールじゃないよ」
「だよな、さすがに」
流石に違ったか。
「管理者について答えられることが現段階では少ない。軽いプロフィールしか言えないからね。だから、僕を頼るのは間違えているよ」
「ちっ」
当てが外れた。
ここまで来た意味ないじゃん、アマリアの役立たず。
時間稼ぎしか出来なかった。
まぁ、リヒトが楽しそうにしているからいいけど……。
女子って、本当に恋愛話好きだよな。
「はぁぁああ、邪魔したな」
「はいはい、当てが外れたね、どんまい」
「はぁぁぁぁぁああああああ」
俺が立ち上がると、アルカとリヒトも立ち上がる。
そのまま部屋を出てドアを閉める――…………
「――――フェアズの魔法は拘束特化魔法だよ。捕まらないように気を付けてね」
っ!!
閉まりかけたドアを反射的に開けると、そこにはもう誰もいない。
気配すらないし、痕跡もない。
一瞬、本当に瞬きした一瞬で、姿を完全に消しやがった。
しかも、重要な内容を言い残して。
「ちっ、最初に言いやがれや、こんちくしょう」
やっぱり、俺はアクアより、アマリアの方が敵に回したくない。
※
アマリアは、知里に最後の言葉を放った後、セーラ村の上空へと移動していた。
目を細め、警戒を高めていると後ろから気配を感じ振り返った。
そこにいたのは、無表情のフェアズ。
「フェアズ? 君から僕の元に来るなんて珍しいね。どうしたの?」
「邪魔をされたくないから、予め伝えに来ただけ」
「邪魔? 伝えに?」
次に放たれた言葉で、アマリアは目を開き、何も言い返せなかった。
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