狂った思考を持っている奴を相手にはしたくないんだけど
さて、どうするか。
あの女を言いくるめるには、情報が無さ過ぎるし。
かといって、力技で向かってもひらりと躱されそう。
「あら、意外と頭を使うのねぇ」
「意外か?」
「なんとなく、貴方は怒りに任せて魔法を放つタイプだと思っていたわ」
一応、そういう実績もあります。
そのたびに黒歴史を作っているから、今は考えてから行動するようにしているんだよ。
「そう言えば、お前、名前は?」
「あら、もしかして私に興味を持ったのかしら」
「…………ソウダナ」
そう言った方が話が進みそう。
こんな女、興味ないけど。
俺のタイプは、金を持っていて控えめな女だ。
「私の名前は、クティ・アリス。クティと呼んでいいわよ。お姉さんが許してあげるわ」
口元を引き延ばし、妖艶な笑みを浮かべ名乗られた。
…………って、クティ・アリス? アリス?
「おい、まさかだと思うが、お前に双子がいないか?」
「あら、もしかして会ったのかしら、私の自慢の子供たちに」
ふふっと、不敵に笑う。
やっぱり、こいつがリーとスーの親か。
「あー、会った。んでもって、お前が黒幕だっていう情報もゲットした」
「あらぁ、その言い方、あまり好きではないわ」
一応、お前の子供が母親を裏切ったんだぞといったんだが、余裕な表情は崩さない。
まるで、事前に知っていたかのような様子だな。
「好きじゃないと言われても、事実なんだろう?」
「まぁ、いいわ。あの二人には、あとできつく言いつけないといけないわねぇ」
…………俺が目の前にいるにも関わらず、視線を逸らしわざとらしく肩を落としている。
わざと俺を引き寄せようとしているのか?
トラップなんじゃないだろうか。
警戒していると、またしてもクティが笑う。
「まぁ、いいわ。今は、貴方をどうにかしないといけないわね」
俺に視線を戻すと、急に両手を前に出した。
すると、俺の足もとから急に魔力を感じ始める。
咄嗟に上に飛ぶと、地面から箱のようなものが現れた。
「な、なんだ、これ」
「あら、勘が鋭いのね。それか、魔力探知が鋭いのかしら。どっちでもいいけど」
俺が着地すると、クティがまたしても魔法を発動した。
「scatola」
またしても、足元から箱が現れ、俺を捕まえようとする。
すぐに走るけど、次々と現れて止まれない。
「ちっ。――――alawater」
壁から現れるのなら、空中に逃げるしかない。
水の翼で壁や天井、床から離れた。
「私はね、何でも一番じゃなければ嫌なの。だから、私を一番に出来ない子は、閉じ込めたいのよ」
「なるほど。だから、ロゼ姫も閉じ込めたのか?」
「そうよ。本当にうるさかったから」
うるさかったって?
ロゼ姫は、リヒトが危険な目に合わなかったらそこまでうるさくしないだろう。
「顔も声も、何もかもが綺麗で。一瞬にしてわかってしまったの。あぁ、私はこの子より一番にはなれない、と」
「まぁ、姫だからな」
「だから、私は考えたの。私が叶わないのなら、この子を引きづり落とせばいいって」
「…………つまり?」
汗が流れ出るのを感じる。
次、聞きたくない言葉を聞かされる。
そんな気がしてならないが、耳を塞ぐわけにもいかない。
「ふふっ。魔力を、なくせばいいのよ。そうすれば、この子は弱って動けなくなって、何も出来なくなるわ。そうすれば、日に日にやつれて、品がなくなり、下へと落ちる。私は底を、捕まえてあげるの。そして、教えてあげるの。私の方が上の存在だってことを、ね」
狂ってんな、こいつ。
子供にも残酷な命令して、嘘を広めて。
「けれど、正直この姫も、貴方も。私の計画を邪魔している他の人達も。みんなみんな、誤算だったのよねぇ。まさか、私の子供が貴女達に助けを求めるなんて思わなかったわぁ」
やっぱり、俺達の存在は知っていたのか。
助けを求めたのも把握済み。でも、泳がせていたのは、なんでだ?
「でも、いいの。これで私が貴女を捉える事が出来れば、私が一番だと言う事を再確認出来るもの。だから、私は貴方を捉えるわ。永遠の美を、私に与え続ける存在にするわ」
めんどくせぇ、本当にめんどくせぇ。
というか、気持ちわりぃ。
「…………はぁ、本気でどうにかしないとならねぇな」
さぁて、どうしましょうか。
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