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変に冷静なの本当にやめてほしい

 リンクがワープする空間を作り出してくれたため、後ろで叫ぶグレールを無視し中へと入る。


 辿り着いた先は、どこかの部屋。

 ――――部屋と言うより、校長室か? ここ。


 大きな机が中心にあり、周りには学校に届けられたであろう賞状やトロフィーが飾られている。


 歴代の校長の写真も壁に飾られ、窓はカーテンによって遮られている。


 他に気になると言えば、本棚だな。

 壁一面にびっしりと置かれている大きな本棚。本もびっしりとはめられている。


「この本、本当に読まれているのか?」


 近付いてみると、埃がかぶっている本がある。

 すべてではないにしろ、絶対に読まれてないだろ。


 こういうのって、本棚はあくまで見てくれだけ。

 本当は、奥にある隠し部屋を隠すために置かれている、みたいな。


「リンク、本当にここからロゼ姫の魔力を感じたのか?」

『私に間違いはなくってよ!! 間違いないわ! 絶対に、ここから微かだけれど魔力を感じたわよ!!』

「そうか……」


 こいつの自信は根拠がないから期待は出来ないが、今はその言葉に頼るしかない。

 だけど、周りをいくら見ても、人が隠れていそうな場所はないんだよなぁ。


 やっぱり、本棚か?

 本棚の奥か? 奥に隠し扉があるのか?


『チサト様、この部屋に微かながら魔力が漂っています』

「え?」


 なら、この部屋全体が魔力で生成されているとか、か?


 ――――シュッ


 う、後ろからナイフ?!

 首を、狙われた!


 ――――ポタポタ


「あらぁ、避けられるとは思わなかったわぁ。でも、その血の量、時間の問題かしらねぇ」

「て、てめぇ……」


 くっそ、まさか壁の中に隠れていたなんて思わなかった。


 体を捻って避けようとしたけど、間に合わず首を深く斬られた。


 けど、頸動脈は何とか守った。

 ギリギリだけど、命は繋がっているな。


 でも、この女の言う通り、深く斬られたことに変わりない。

 手で押さえないと、血が流れて足りなくなってしまう。


 女は、俺が弱っているのが楽しいのか、今も笑っている。


 綺麗な艶のある胸辺りまで長い茶髪、露出が多い赤い目立つ服。

 壁に隠れるためなのか、靴は履いていない。


「ねぇ、なんでこんな所まで来たの? もしかして、この子が心配なのかしら」


 壁に手を添えたかと思うと、カーテンを開けるようにバサッと壁を開けた。

 あれも、魔法か? でも、属性はなんだ?


 わからず困惑していると、奥には拘束され、ぐったりとしているロゼ姫の姿があった。


「ロゼ姫!!」

「おっと、返すわけにはいかないわ」

「っ、ちっ」


 咄嗟に走ってしまった俺をナイフで牽制し、壁は閉じられてしまった。

 でも、確実にロゼ姫はあそこにいるのがわかった。


「おい、何でロゼ姫を攫った? お前の狙いはなんだ」

「んー? 質問が多いわねぇ。まぁ、いいわ。貴方はどうせ死ぬ、冥途の見上げに答えてあげるわよ」


 赤い唇を横へと引き延ばし、笑う。

 気持ちが悪い、吐き気がする。


「私は、自分が一番じゃないと気が済まないの」


 …………へぇ。


「私は何でも一番じゃないと気が済まないのよ。頭脳も運動も。子供の価値も男の数も。すべてすべて、私は一番じゃないと満足できないの。本当は貴方も、私の虜にしたかったのだけれど、流石に難しそうだから最初から諦めていたわ」

「なんで無理だって思ってんだ? お前のその自慢の頭脳で考えれば何とかなったかもしれねぇじゃねぇか」

「ふふっ。だって、貴方。――――私みたいな人、嫌いでしょう?」


 …………そういう視点は持ってんのかよ。

 身勝手に怒るタイプじゃなさそうだな。


 こういう女って、自尊心をかき乱されると怒りに任せて自爆すると思っていたが、この女はしっかりと考えてやがる。


 無駄に煽っても意味はなさそうだ。

 魔法も数回しか使えないし、体が重たくなってきた。


「悩んでいるわねぇ。一つ忠告するけれど、私のことは殺さない方がいいわよ?」

「なんでだ?」

「このお姫様を救出するには、私の魔法scatola(スカトラ)を発動しないといけないの。私を殺してしまったら、このお姫様はずっと、壁の中となってしまうわよ」


 死んだらこいつの魔法が解除される訳ではないのか。

 たしかに、それは厄介だな。


 もともと殺すつもりはないが、そんなことを言われてしまえば間違えてでも殺せないな。


 さて、本当にどうしますか。

 まじで、めんどくさい。


 ………………………………グレールを連れて来なくてよかった。

 ここが赤い部屋になっていたかも。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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