これ以上はもう任せるしかなさそうだ
壁側にheathazeを繰り出し、俺達は反対側に走り出す。
さぁて、ロゼ姫はどうなった。
走りながら後ろを見ると、すべてではないにしろ、ほとんどがheathazeへと寄せられているのを確認出来た。
「よし、魔力を借りるよ」
「返してくれよ」
「無理。――――tremble」
アマリアが地面に手を付け、魔法を発動した。
少し時間がかかる音魔法みたいだが、問題はない。
「その魔法でheathazeにつられたロゼ姫の偽物を、片っ端から倒していくんだろ?」
「そうだよ。時間がかかるのが難点ではあるけど、魔力の消費は少ないし、今回のような状況にはもってこいなんだよね」
「ふーん」
それなら、本当にそっちは問題なさそうだな。
俺のやるべきことは、漏れたロゼ姫の討伐。
lamawaterで水の刀を作り、斬っていく。
アンキを右肩に抱えているから動きにくいけど、とりあえずは問題ない。
見通しも良くなったし、湖の方を確認しに行こう。
「アマリアは、その場から動けるか?」
「それは無理かな。僕は、こっちでロゼ姫達の動きを見ておくから、魔力の源の方をよろしく」
「わかった」
でも、俺が離れて大丈夫なのか?
アマリアにもロゼ姫の偽物が向かうんじゃ?
「あ、あれ? 俺を追って来ている?」
…………まさか、強い魔力に反応しているのか?
アマリアの今放っている魔法は、魔力を抑えた魔法らしいし。
俺は今、いつも通りの魔力量で水の刀を握っている。
「……へぇ。もしかして、それをわかっていたアマリアは、俺を自分から離れさせたとか……ないよな?」
アマリアならあり得る。
察して、自分の分担を少しでも軽くしようとしたのかも知れない。
まぁ、どっちでもいいや。
考えたところで意味は無い。
今は、魔力の源である湖を見に行こう。
ロゼ姫の偽物を囮にしているのであれば、今も狙われている可能性がある。
黒幕の子分は捕まえたけど、黒幕である両親は捕まえていない。
油断はできないし、気を付けて進もうか。
俺の方へと走るロゼ姫の偽物を斬りながら、源へと走る。
「――――無事、みたいだな」
さっき見た崖の縁まで来た。
下を覗き込んでみるけど、特に変わったものはない。
「後ろから来るロゼ姫にさえ気を付ければ、問題ない感じかぁ??」
でも、一応ここにも水属性の魔法を付与しておいた方がいいか。
だが、魔力の消費が不安なんだよなぁ。
「まぁ、やってみるだけやってみるか」
後ろのロゼ姫を確認してみると、少しだけ向かってきていた。
だから、水の刀で切る。
「よし。ほとんどが――ん?」
湖から人の気配を感じた。
振り向くと、そこには猿!?
猿が上から降ってきている!?
「wavewater!」
上から降ってきている猿を、水の波で捕まえる。
暴れているけど、すぐに窒息死し霧散した。
「ど、どこから降ってきているんだ??」
上まで行って確認したいけど、まだ猿が少しずつとはいえ落ちてきている。
水の翼を出したら攻撃が出来ない。
「もう一人くらい、欲しい所」
でも、アンキは、グースカピーと寝てやがるし……。
「もう、ここからはグレール達が魔石を壊すのを待つしかなさそうだな」
なるべく早く頼むぞ、グレール、ソフィア。
※
グレールとソフィアは、触手が出て来る洞窟を走っていた、
もう触手の対処に慣れ、必要最低限だけ斬って、走る。
「魔力は感じねぇのか」
「漂っている感じが続いているのみです。魔石があるような感覚はありません」
時々、立ち止まり壁に埋まっているかも確認しているが、一向に見つけられない。
二人は、無限に近い洞窟をただ走っているだけとなり、苛立ち度が徐々に上昇する。
「魔石を見つけられるような魔道具、持っていないのですか」
「…………魔石を見つけるもんではないが、魔力感知が出来るのはあるぞ」
グレールは、どこかやけくそになりながら聞いてみると、意外な返答に驚いた。
後ろを走っているソフィアを見て「どんな物ですか」と、問いかける。
「単純に、魔力探知機だ。距離がせめーし、すべての魔力に反応するからそこまでおすすめできねぇ代物。おめぇの感覚の方が頼りになるぞ」
「ですが、使えるのであればやってみましょう。私も、気づけない魔力は少なからずあるので」
グレールがそんなことを言う為、ソフィアは足を止めた。
その隙を逃さないと言うように、触手が彼達へと襲い掛かる。
だが、そんなの眼中にないソフィアは、ナイフで全てを斬った。
そんな事をしながら懐から一つの懐中時計のような形をしている、魔力感知機を取りだした。
グレールも立ち止まりつつ触手を斬り、ソフィアへと近づいた。
「懐中電灯のようですね」
「見た目はな」
画面をのぞき込んでみると、針がぐるぐると回っている。
ピコンピコンと音が鳴り、針が回ると、点々が浮上する。
「この点が魔力ですか?」
「そうだ。おそらく、この触手に反応している」
ソフィアが周りを睨むと、触手は怯んだように壁へと戻る。
「殺気は、感じるのですね」
「怯えるのなら最初から襲うなと言う話だ」
「そうですね」
周りから触手が消えたため、画面にも変化が現れた。
「おや、点が一つになりましたね」
「そうだな」
偶然にも、点が一つになった。
それが魔石の可能性が高い。
そう思い、二人は顔を上げて周りを見回した。
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