さすがに眠くなってきたからまずい
まず、どこにロゼ姫達をおびき寄せるかだよなぁ。
湖からは一番遠ざけないといけないだろう。
でも、まだ奥まで見通せていない。
反対側には、何がある?
そこに集めても大丈夫なのか、何もないのか。
「アマリア、俺がロゼ姫達を食い止めるから、奥の方を見てきてくれるか」
「わかった」
アマリアが体を小さくして、奥へと向かった。
振り返ってみると、まだ諦めずに襲い掛かってくるロゼ姫の偽物達。
こう見ると、普通に怖いな。
見た目が綺麗だろうと、集まると普通に怖い。
「こいつら、頭がないんすね」
「頭はあるぞ?」
「脳みそがないと言っているんすよ。そのままの意味で捉えないでくださいっす」
笑いながらそんなことを言われても……。
だって、頭がないと言われたらまず、物理で考えちゃうじゃん。
「まぁ、頭脳がないからこそ助かっているところがあるな。俺の魔法まで攻略されるとめんどくさ度が上がる」
「確かにそうっすね。そんな糞みたいな展開はあり得ないっす」
アンキが苦笑いを浮かべていると、急に真剣な表情を浮かべた。
――――ん? なんか、魔力を感じないか?
『チサト様、膨大な魔力を感じます。おそらく、特大魔法を放とうとしているかと思われますので、用心してください』
「用心してくださいと言われましても……」
あ、あれ? 右側から、光?
向くと、五人のロゼ姫が一人のロゼ姫に杖を向けていた。
な、何をしているんだ?
あっ、よく見ると魔力を込めていた。
杖の先が淡く光り、真ん中にいるロゼ姫に集まっている。
「…………アンキ、やばいかもしれないぞ」
「どうしたんすか?」
「大きな魔法を放とうとしている」
「え? ──ちょっ、どこ行くんすか!!」
周りのロゼ姫は、水魔法で霧散する。
早く、あの集まっている六人のロゼ姫達をどうにかしないと、また巨大クジラが襲って来るぞ!!
「turboflame!」
六人のロゼ姫の足もとから、炎の竜巻を巻き上がらせる。
すぐに避けられたけど、これで大きな魔法を放つことは無くなったは……ず?
「うっそ」
「避けるっす!!」
後ろから声が聞こえた。
振り向きながら避けると、アンキが《《巨大クジラ》》を見つめ、魔力を込めていた。
「|tuulcouteau」
魔法を発動した瞬間、突風が吹き荒れロゼ姫達を巻き上がらせた。
でも、もう発動してしまったクジラは、止められない。
「──いや、あれって、クジラを斬ってるのか?」
あの風魔法、刃も放たれているな。
結構、切れ味良さそう。
「早く、とどめさすっす!!」
「わ、わかった。――――turboflame」
地面から上に、一本の大きな炎の竜巻を発動。
下から貫くように燃え上がらせたため、貫通。クジラは、大きな叫び声をあげ、霧散した。
すぐさま、次の魔法を放とうとするロゼ姫の偽物達にも、炎の竜巻で巻き上がらせ霧散させた。
「さすがに驚いたが、何とかなったな」
――――バタン
「バタン? あー、ラストの力だったのか」
アンキが倒れてる。
上半身を起こすと、寝息が聞こえるだけで他に怪我は無さそう。
「何があったの!? 大丈夫!?」
「アマリアか。アンキは大丈夫だぞ。ただ、強制睡眠に入っただけだ」
「そっか、それは良かった」
奥に行っていたアマリアが、慌てて戻ってきた。
そんな中でも、ロゼ姫の偽物は襲い掛かってくる。
「――――|absolutewater」
また、ロゼ姫達は水の防壁へと自ら突っ込んでくる光景に戻った。
「俺も、さすがに眠くなってきたな」
「知里まで寝てしまうと勝機は無くなるから、急ごう。あっちに、ちょうどいい空間があったよ」
「おう」
すぐにアマリアへと着いて行く。
|absolutewaterも俺の動きに合わせてくれていた。
なんか、安心だ。
「ここだよ」
壁側までくると、周りには何もない空間だった。
壁に背中を預けて、振り向く。ロゼ姫は俺達を追いかけてきていて一安心だ。
「アビリティ、ここにheathazeを出せばいいんだよな?」
『はい』
「わかった」
アマリアと目を合わせ、頷き合う。
それを合図に俺は、|absolutewaterを解いた。
すぐにロゼ姫達は向かって来る。
「頼む、惑わされてくれ。――――|heathaze《ヒートヘイズ》」
俺が想像する俺を、陽炎で作り出し、俺達はそのまま逃げるように走り出した。
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