俺が知らない所で起こっている戦闘、結構危険なんじゃないか?
リーとスーは、とりあえず炎の檻から出した。
逃げ出してもいいようにリヒトには鎖魔法の準備をしてもらっていたけど、もう観念していたみたい。
地面にへたり込み、今にも泣き出しそうな顔を浮かべている。
「学校が崩壊している……。さすがに、そこまでは知りませんでした」
「私もです」
この様子だと、嘘ではないか。
本当に知らなかったらしいな。
「お前らは、どこまで知っているんだ?」
「魔石から魔獣が出るところは見ました。ただ、次の作業もあったので、魔石が無事に稼働したのを確認し、すぐに違う所に移動して……」
それって、現状を全く把握していないのと一緒じゃないか?
何が把握はしていますだよ、見栄を張るなって。
「リーさんとスーさんは、何をしていたんですか? すごく、時間稼ぎをしていたみたいですが……」
「…………そう言えば、皆さんは地下には行かれていないんですか?」
リヒトの問いには答えないのか。
いや、段取りがあるのか?
「おそらくだが、俺の仲間が地下にいるはずだ」
「そうですか……」
「な、なに? なんか、怖いんだけど」
そんな微妙な反応されると怖いんだが?
地下に何があるんだよ……。
「地下がどうなっているのか、知っていますか?」
「俺は知らん」
「俺も分からないな。リヒトは知ってるか?」
アルカが聞くと、リヒトは最初こそ目を丸くしていたけど、直ぐに気まずそうに顔をそらされた。
な、なに? 何かあるの??
「た、たしか。地下には、試練の間みたいな扉がありました」
「行ったのですか?」
「…………まぁ」
「何の罪を……」
「私じゃないですよ!! エトワールさんが悪いんです!! 私は、巻き込まれただけなんですよ!!」
罪? 試練の間?
リヒトがリーに聞かれたあとから、色々言い訳を言っているけど。なに、なんか罪を犯したの?
そんで、地下にある試験の間に連れていかれたのか?
「…………」
「何ですか、カガミヤさん、その顔。何を思っての顔ですか」
「いや、何でもない」
「もぉぉぉおお! 私のせいじゃないのにー!!」
まぁ、リヒトが罪を犯しても犯してなくてもどっちでもいいけど。
とりあえず、他にも聞きたいことがあるし、スーに聞いてみよう。
「それで、地下がどうしたんだ?」
「地下には、この学校を作る魔力が溜められているらしいです。そこを壊すと言うのが、私達のやるべきことでした」
「やべーじゃん」
何でそんなことになった??
「はい。でも、命令でしたので、やるしかありませんでした」
上からと言うか、母からの命令だもんな。
子供のこいつらからしたら、やるしかないか。
断ればどうなるか、分かったもんじゃないしな。
「…………あの」
「なんだ?」
「今も、こうしている間に魔獣が地下を襲ってるよ。大丈夫?」
「…………うそ」
スーが、なにやら怖いことを――……
――――ドカン!!
「な、なんだ!?」
いきなり地震が起きた!?
「――――始まった。地下での、最後の戦いが」
「え」
――――っ!!
「アマリア?」
「カガミヤさん? アマリア様がどうしたんですか?」
これは、やばくないか?
「魔力が、多く吸われてる。アマリアに」
「え。つ、つまり……」
「地下で今、アマリアが戦闘を行ってる」
普通の魔力量が吸われているのならあまり気にしない。
けど、今のこの量は、そんな悠長なことが言ってらんない。
魔力を連続的に放っているか、大きな魔法を放っているか。
どっちにしろ、強い魔獣がアマリアを襲ってる。
早く行かないと、やばくねぇか!?
※
「音魔法が、追いつかない」
「やばいっすよこれー!! どうするんすか!! 風魔法でもこの量はさ撒ききれない、無理っすよ!!」
アマリアとアンキが、ロゼ姫の偽物に押されていた。
さっきみたいに、一人だけなら問題はない。
けれど、今は何人いるかわからない程に大量のロゼ姫の偽物が二人を囲っていた。
ソフィアとグレールは、周りを見に行ってしまい、今はいない。
怪我をしているアマリアと、片手のないアンキが出来る限り魔法でロゼ姫の偽物を倒しているが、意味は無い。
何処からかわからないが、次々と現れて来るロゼ姫の偽物は、酸のイルカを出したり、酸の弾を投げる。
アマリアの全方位音魔法で全てを破壊するが、無限のように現れるから意味は無く、精神力と魔力だけが無くなる。
「これは、ロゼ姫本体を解放しないと、意味なさそうだね」
「最悪っすよぉ。なんで、こういう時にソフィアさんいないんすかぁ」
「おいて行ったからね、怪我をしている僕達を」
アマリアが上に逃げても、イルカが襲う。
下にいても、酸の弾が襲う。
それだけでなく、ロゼ姫の偽物が杖で物理攻撃まで仕掛けてくるためキリがないし、油断もできない。
「ちっ、|tuulcouteau」
アンキが風魔法を放ち、鎌鼬のような刃の風をイルカへと放つ。
イルカは簡単に霧散するが、また次のイルカが二人を襲う。
距離が迫り、魔法を放てなかった場合は、手に持っていたナイフでイルカを斬る。
だが、イルカの身体も酸でできている為、何回も斬っていればナイフが駄目になってしまう。
普通のナイフではないにしろ、時間をかけるのは得策ではない。
アマリアもそれは同じで、長引かせたくはない考えていた。
それでも、キリがない目の前から襲うロゼ姫の偽物を目に、アマリアは諦めたように肩を落とした。
「……ソフィア達が戻ってくるのが先か、ロゼ姫が捕まるのが先か。僕達はただ、この場を守るしかないだろうね。頑張ろう、アンキ」
「もぉぉぉおお!! 災難すぎっすよぉぉぉおおお!!!」
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