合流からの嫌な予感
「それにしても、アルカがいないね」
「いつの間にかいなくなっていたっすよ」
「多分、知里を待つ選択をしたんだね。アルカが一番理工的だよ」
アマリアは自身の腕を気にしながらも、人数が合わないことを指摘した。
ソフィアはまったく気にしておらず、グレールは気まずそうに顔を逸らした。
だが、すぐにさっきのロゼ姫の偽物を思い出し、怒りを顕にした。
「まさか、ロゼ姫は今、監禁されて魔力だけを吸われているのではないでしょうか」
「可能性としてはないとは言い切れないけど。まぁ、今はあまり気にせず探そうか」
「気にせずは無理ですよ!! 何を言っているのですか!!」
「興奮しないでよ。グレール、冷静になって。取り乱したグレールは、ただのポンコツだから」
アマリアが興奮し始めたグレールを落ち着かせている間、ソフィアはさっきアマリアから説明を受けた谷底を覗いていた。
アンキも、ソフィアの隣に移動し共に谷底を見た。
「ソフィアさん、どうしたんすか?」
「いや、ここを狙っている奴がいるのであれば、ここにいれば何かしら出てくると思ってな」
顎に手を当て、ソフィアは何かを考え込む。
「――――おい、水色頭」
「……あ、僕か。なに?」
「暴走野郎と俺は、姫を探す。お前は、アンキとここにいろ」
突然ソフィアがそう口にし、一番驚いたのは隣にいたアンキだった。
泣き出しそうな顔で「なんでっすか!?」と、ソフィアに泣きついた。
「なんで俺っちまでここに残らないといけないんすか!! 役立たずだからっすか!? ソフィアさんと一緒にいないと不安すぎるっすよ!!」
「うるせぇ」
――――ゴンッ
「いたいっす……」
めんどくさがったソフィアは、アンキの頭に鉄拳を落した。
蹲ったアンキを無視し、アマリアへと近づいた。
「おそらく、ここに敵がやってくる」
「だろうね。でも、負傷している僕と、片手のないアンキで大丈夫? もし、強い奴が来たら手に負えないよ」
「アンキも片腕失ったからと言って、全く戦えない訳じゃねぇよ。囮にでも使え」
「俺っちをなんだと思ってんすか!!」
ソフィアはアンキの嘆きに対しては何も言わず、グレールを見て「行くぞ」と、歩き出した。
グレールは、ソフィアの横暴さ加減について行くのを躊躇しつつも、ロゼ姫が心配なため追いかけた。
残されたアマリアとアンキは、お互いに顔を見合わせた。
「…………君も大変だね」
「もう、慣れたっす……」
※
リヒトは、自分が来た道を戻っていた。
すると、思っていたより早くに分かれ道へと戻ってこれて一安心。
「誰も、いない?」
誰もいないことに不安を感じつつも、すぐにアルカの声が聞こえ、安堵の息を吐いた。
「リヒト!!」
「アルカ!! 良かった、無事だったんだね」
「リヒトのおかげでな!」
ニカッと笑うアルカの言葉がわからず。リヒトは首を傾げた。
けれど、それより知里がいないことに不安を感じ、周りを見た。
「アルカ、戻ってきたってことは、そっちもはずれだったの?」
「多分な。偽物の声が聞こえただけで、行き止まりだったぞ」
「私も偽物の声が聞こえたよ。ごり押ししたけど」
「ごり押し?」
アルカが首を傾げるが、リヒトはこれ以上何も言わなくなった。
「ま、まぁ、とりあえず、クリアできたからいいかなって思ってる。それより、カガミヤさんが戻ってきていないんだね」
「みたいだな」
二人は、知里が進んだ真ん中の道を見る。
生暖かい風が二人の頬を撫で、身震いしてしまう。
「なんか、寒いな」
「う、うん……」
こんなところにいても仕方がないと思いつつも、何も見えない道は二人の足を止める。
「……行こう。カガミヤが危険な目にあっているかもしれない」
「そ、そうだよね。行こう」
怖いが、知里が何かに襲われているかもしれないと思うと、居ても立っても居られない。
二人は、顔を見合せ、足を踏み出した。
カツン、カツンと。
二人分の足音が鳴り響く。
「…………なんか、私が通っていた道より不穏な気がするのは、気持ちの問題かな」
「そうだといいんだが……」
アルカもリヒトと同じ気持ちを抱えている為、なにも言えない。
身震いしながらも歩き続け、なにが起きても対処できるように警戒を高めていた。
そんな時、奥から波の音が聞こえた。
こんな洞窟に水が出てくるのはおかしい。
確実に、知里の水魔法だ。
彼が魔法を発動しているということは、何かがあったのは分かる。
二人は一度足を止めて、顔を見合わせる。
「カガミヤさん!!」
「カガミヤ!!」
早く応援に入らないといけないと思い、勢いよく駆けだした。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ




