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さてと、どうやって吐かせようか

「抜け出せねぇぇぇぇぇえええ!!!」


 なんだよここ、どうやって抜け出せばいいんだよ!!


 魔法も使えねぇし、アビリティは反応しないし、精霊も出てこないし!!


 なんで俺一人、ここに取り残されているんだよ!!

 俺も連れて行ってくれよ!!


 いや、俺がどこかに飛んでしまった可能性もあるのか。置いていかれたとは言いきれない。


「…………まぁ、そんなことを頭の中で叫んでいても仕方がないし、ひとまず歩き続けるしかないかぁ」


 だが、歩き続けると言っても、本当に何もないんだよなぁ。


 時々声が聞こえるけど、その時は動かずに目を閉じるようにしている。


 魔法が使えたらぶっ放すんだけど、今はそんなことが出来ない状況。

 せめて、アビリティと話せれば何か脱出の手伝いをしてくれそうなんだけどなぁ。


「はぁ…………」


 なにか、トラップがあるんじゃないかと魔石が埋まっている壁を触ったりはしているけど、なにもない。


 魔石に何かスイッチが隠されているのかもとは思っているけど、特に何もない。


 つーか、押せない。

 触っても、冷たいだけで何も反応がない。


「んー。さっきから聞こえるのはアマリアやソフィアの声。無視するのはたやすいけど、時間の無駄なんだよなぁ」


『知里』


 ほら、またきっ――――え?


『知里』


 この声、まさか……。


「母さん?」


『そうよ、知里。会いたかった』


 あー、なるほど。そっちで来たか。

 なんとなく、わかった。


 この空間、俺の記憶を覗き、声を抜き出しているんだ。

 だが、なにか制約があるのか、言動まではコピーができない。


 だから、母親が言いそうな言葉を声だけコピーして、発している。

 おそらく、この魔法を放った奴は、親に恵まれていたんだろうな。


『どうしたの、知里。母さんに顔を見せておくれ』


 あーあー、ミスったな。

 親が全員、子供が好きなわけじゃない。

 誰にでも、そんな声をかける訳じゃない。


『知里、早く。母さんに――――』

「うるせぇよ。そんな穢らしい声で、俺の名前を呼ぶな!! ――――flame(フレイム)

 !!」


 っ、出た!!

 振り向き、flame(フレイム)を放つ。

 すると、そこには揺らぐ影があった。


 flame(フレイム)が当たると、影は霧散し、悲鳴と共に空間ごと消えた。


「…………なんだ。ここ」


 さっきまでいた所とは思えないほどに狭くて、細い洞窟の途中に立っている。


 さっきまでの広場は何だったんだ?


『主!!』

『ご主人様!!』

「あれ、リンクにスピリト? ――――いっ!!」


 なんで、二人が泣きながら俺の顔に頭突きして来たんだ?


『チサト様、御無事で何よりです。歩いている途中、突如身動き一つ取らなくなったため、驚きました』

「え、そうだったの?」

『はい』


 ま、まじで??

 ということは、俺は知らぬうちにトラップに引っかかったのか。


『う、嘘でしょ』

『ばか、声を出すな』


 っ、壁の奥から声!!


flamaArrow(フレイムアロー)!」


 遠慮なく、炎の弓矢を声が聞こえた方へと放つ。


 ――――きゃぁあ!!


 壁が壊れるのと同時に、女性の声。

 しかも、聞き覚えのある声だ。


「──おいおい、こんな所で何してんだ? スー、リー」


 壁の奥には空間が出来ており、そこにはスーを守るように立っているリーの姿があった。


「…………」

「睨んでも意味はねぇぞ。おい、なにをたくらっ――――待ちやがれ!!」


 いきなり走り出しやがった!

 逃げても無駄だぞ!!


wavewater(ウェイヴ・ワーター)!」


 波を発生させ、洞窟の中を水で埋める。

 奥の方から悲鳴が聞こえた。捕まえたかな。


 波を操り、道を作りながら歩くと、捕まっている二人を見つけた。

 息が出来ないのか苦しそうにもがいている。


 俺を見つけると、助けを求めるように手を伸ばしてきた。

 ここで死なれても困るし、解放するか。


「炎の檻を出してからな。――――siegeflame(シージュ・フレイム)


 二人を炎の檻で囲い、水を消す。

 違う属性魔法同士なら同時に放てるのはいいな。


 二人を捉えたのは、確認した。

 水魔法は消して、炎の檻に捕らわれた二人を見下ろす。


「おい、リーとスー。お前らは何をしている、何を考えている?」


 二人の今の服装は、黒いローブで小さな体を包み込み、変装しているような感じだ。

 多分、見つかりたくなかったんだろう。


 怯えているスーを守るように立っているリーの姿。


 強気に俺を睨みつけてくるけど、リーの身体も震えている。


「もしかして、誰かに命令されたのか?」

「り、理事長だ! 理事長に命令されたんだ!!」


 血走った眼、喉が切れそうなほどの叫び。

 まるで、助けを求めているような二人の視線。


「――――なぁ、理事長って、そんなに悪い奴なのか?」

「悪いも何も。あいつは、俺達生徒を道具としか思っていない。それは、もう説明しただろ!」

「だが、学校に入ったリヒトは、首を傾げていたんだよ」

「く、首を?」

「おう。悪い奴には見えなかったらしい。それに、噂みたいな人なら、もうとっくに退学にされていると言っていた」


 素直に伝えると、二人を青い顔をさらに青くした。

 なにやら、裏がありそうだな。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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