絶望の瞬間なんだが??
カツン、カツンと、足音を響かせながら歩いていると、灯りが必要ないほどに、奥の光が差し込んできた。
「な、なんだ?」
歩き進めていると、大きな広場にたどり着いた。
「ここって、なんだ?」
大きな空間だ。
ダンジョンの中みたい。
ラスボス戦みたいな、大きな広場。
洞窟の壁には、魔石のようなカラフルで綺麗な石が埋め込まれて、それが辺りを明るくしているみたい。
歩くと、足音が響く。
魔力に包まれているような空間だ。
「アビリティ、ここってなんだ」
…………あ、あれ?
「おい、アビリティ??」
返答が、ない。
指輪を見てみると。淡く光っているけど、反応が薄い。
どうした?
「え、えぇっと。リンク、スピリト」
…………えぇ??
まさか、本当に、一人?
「おいおい。どうなってんだ?」
周りを見回しても、誰もいないし。
呼びかけても、誰も反応してくれない。
どうなっているんだ?
「…………無理せず戻った方がよさそうだな。ここが辺りっぽいし」
…………振り返ると、壁。
え、壁、壁??
「出入口、無くなった」
嘘だろ??
戻れないじゃん。
嘘でしょ?
めんどくせっ!!!!
「それにしても、なんでリンクとスピリトが出ないんだ? アビリティも反応ないし」
周りの魔石とか、なにかヒントあるんかな。
近付いてみて触ってみると、ヒヤッとする感覚だけ。
「冷たいだけか」
氷を触っているみたいな感じだな。
「しゃーない、何か魔法を放った時に反応があるかもだしな。――――flame!」
・・・・・・シーン
「あ、あれ?? flame!! おい、出ろよ、なんで!?」
魔法が、出ない。
そういえば、魔力が右手に集まる感覚もなかった。
「――――魔力が、無くなってる?」
そんなこと、出来るのか?
魔力をなくす、領域?
ツムリア帝国ならどうにかすれば出来そうな気もするけど、本当にどうすればいいんだ?
この空間、魔法も放てずにどうすればいいんだ?
『カガミヤさん』
「――――はぁ?」
え、今。後ろから、声。
しかも、聞き覚えのある、最近聞いた声。
『カガミヤ!!!』
あぁ、今度は男の声。
しかも、元気。
でも、なんでだ。
なんか、振り向いてはいけない気がする。
『カガミヤさん? こっちを見てくださいよ』
『カガミヤ、あっちに抜け道があるぞ。行ってみないか?』
違う、あの二人じゃない。
リヒトと、アルカじゃない。
『知里、どうしたの? 早く次行かないと、ここは危険だよ』
「っ、あ、アマリア……?」
アマリアの声まで、後ろから聞こえた。
でも、おかしい。
アマリアがこんな所にいるわけがない。
『カガミヤさん』
『カガミヤ』
『知里』
仲間の声が、聞こえる。
後ろから、呼ばれる。
振り向いた方が、いいのか。
でも、振り向いてはいけないと、脳が言っている気がする。
『カガミヤ』
『知里』
駄目だ、駄目だ。
でも、振り向きたい。
どうなっているんだ、後ろ。
本当に、あいつらがいるのか?
わからない、振り向いたらわかる。
振り向いたら――……
『振り向いては駄目ですよ、カガミヤさん』
っ、リヒト?
さっきまで俺を呼んでいたリヒトの声が、否定する言葉に変わった。
「――――っ!! 風!!」
後ろから突風がっ!!
「~~~~気配が、消えた?」
振り向いていいだろうか。
声も消えているし、大丈夫、だよな?
「…………何も、いない」
後ろ、なにもいないし、変わらず壁があるだけ。
でも、さっきの声は、はっきりと聞こえていた。
確実のあの三人の声だった。
間違いない。
だが、違う。
確実に俺を罠に嵌めようとしている声だった。
リヒトの声だけが、言葉だけが変わった。
「…………リヒトに、助けられたって事かねぇ」
あの時、リヒトの声がなかっったら、確実に振り返っていただろう。
振り返った時、俺はどうなっていたのか。
魔法が使えない俺は、何も出来ず、どこかに轢きづり込まれていたかもしれない。
今、ここにいられなかったかもしれない。
そう思うと、マジで怖いな。
「…………待てよ。もしかしてここ、幻想空間、か? それか、夢」
なんか、ありえそうな気がする。
でも、そんな魔法に捕まった今、魔法も使えないしどうすればいいんだ?
「……………………誰か~助けてくれぇぇぇええええ」
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