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こんな事になるのなら、余計な事に首を突っ込むんじゃなかった

 ひとまず、餓鬼の家に戻り詳細を残った奴らに説明した。


 最初は納得いかない顔を浮かべていたリヒトだったけど、ギルドのルールだと説明したら渋々納得してくれた。


 餓鬼の家に居れば俺達も感染する可能性があるし、しょうがなく撤退。


「大丈夫かな…………」

「今は薬で粘ってもらうしかねぇよ。俺達が急いで何かやっても時間を無駄にするだけだ」

「でも…………」


 リヒトが杖を強く握り、眉を顰め不安そうな顔を浮かべる。


 そんなに心配なのかよ。

 今日会ったばかりの餓鬼と、その母親が。


 まぁ、もう知っちまったからこのまま死んじまうのも後味悪いが、何も出来ないものは仕方がない。


「俺達は泊まれる宿を見つけるぞ。明日は初めての護衛任務だ、気を引き締めよう」

「カガミヤがそんな事を言うなんて……」

「正直に言おうか? 早く休みたいから今すぐに宿を見つけろ。寝かせろ、俺を」

「そうだと思ったわ」


 街を歩き、俺達は宿を発見。金は持っているから良かったが、高かった。

 一泊で五万ヘイトらしい、日本円でいうと五万円。


 どこの高級旅館だよ畜生が!!!!!


 ※


 …………結構、いい宿だった。


 風呂は露天風呂で、月が綺麗に見えるように作られていた。


 飯もめちゃくそ美味かったなぁ。

 海鮮物が多かったが、ここでは海鮮が多く取れるのかな。それとも、有名なのか? まぁいいや。


 残りの時間は用意してくれた部屋で一休み。

 宿が用意してくれた肌触りが良い浴衣でベッドに横になる。


 今回は一人一つの部屋をゲット、一人でゆっくり出来るぞ、やったぜ。


 ベットに横になって天井を見上げる。


 …………久しく一人の時間がなかったな、そういえば。今のうちに色々聞いておくか。


「アビリティ」

『はい』

「俺をここ(異世界)に呼んだのは、お前の前主であるカケルだと言ったよな」

『厳密に言えば、少し違います』

「あぁ、確かに違うか。厳密に言えば、誰かをこの世界に転移しろと言ったのがカケルという奴で、俺をこの世界に招待したのはアビリティ、お前だったか」

『はい』

「なんでお前は俺を選んだ。他の奴ではなく、俺を選んだ理由はなんだ」


 俺より才能に溢れている人間は五万といる。

 なんなら、俺は底辺の部類に入るだろう。

 そんな俺をわざわざ選んだ理由は気になる。


「答えろ、アビリティ」

『申し訳ありません、今は答える事が出来ません』


 え、答える事が出来ない?


「その理由は?」

『カケル様に止められています』

「なぜ?」

『それは、私への質問ですか?』

「…………いや、お前にではない。わかった、ありがとう」

『はい』


 指輪の光が消えた。

 アビリティが寝た状態になったんだろう。


 俺の現状を知るには、やっぱり当初の目的である、カケルの封印解除を完了しなければならないらしい。


 順調に事が進んでいるのかはわからんが、確実に前には進んでいる。

 このまま行けば、目的を達成できるだろう。


 だが、管理者がそれを許してはくれない。

 カケルの封印を解除するということは、封印した管理者をまず相手にしなければならない。


 アクアは戦闘能力がずば抜けているみたいだが、他の奴らが分からん。

 今後どのように動いてくるか、警戒はしていこう。


「はぁ…………」


 明日は早い、考えるのはこのくらいにして今日はもう寝よう。


 どうせ、明日は予定通りにいかないのだから。はぁぁぁああ……。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


『どうして、なんで。私は貴方の為に産んだのに。私は子供なんていらなかったのに。貴方が産めと言ったから、産んだだけなのに……。なのに、なんで産んだ瞬間に私を捨てたの? いやだ、なんで。いらない。アンタはいらない。私が欲しいのはあの人だけ。アンタなんて、やっぱり産まなければ良かった。こんないらない子、産まなければ良かった。アンタさえ居なければ――――…………』


 え、なにこれ。何で、俺は女に首を絞められているんだ。


 ───っ、声が出ない。振りほどくこともできない。


 なんなんだ、なんだよこれ。

 苦しい、息が出来ない。


『いらない、アンタなんて。産まなきゃ良かった』


 なんだよ、この女。

 髪で表情が分からない。誰なのかもわからない。


 なんで、俺はこんな見ず知らずな女に首を…………いや。見ず知らずじゃ、ない?


 知っている、この人を。

 いや、今の俺のこの状態、昔に何度もあった。


 手が、足が。金縛りにあったかと思うくらい動かない。

 声を出そうとしても出せず、目の前でぶつぶつと、何かを言っている女を見ているしかできない状況。


『アンタが居なければ、私が捨てられる事もなかった。アンタのせいで、私は、あの人に捨てられた』


 "あの人"とは、一体誰だ、わからない。


 あ、女が、顔をうごかっ――……






「お、かあさん?」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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