ゾンビはマジで辞めてほしい
寮へと向かっている途中、何度か落とし穴に落ちそうになった。
だから俺は今、空を飛んでいる。
「いいなぁ、カガミヤ」
「alawaterは、確かに便利だが、バランス感覚をしっかりと保たないと落ちそうになるし、魔力も徐々に無くなっていくから無駄には使えないんだよな」
「そうなのか」
俺はまだ空を飛ぶことに慣れていないから、アルカを抱き上げ飛ぶのは無理。
それ言うと、アルカはがっかりしながらも地面を走った。
アルカなら落とし穴に気づいてからでも、瞬発力だけで外に出れる。
油断していなければ問題ない。
俺は、無理だった。
何度かアルカに助けられたもんなぁ。
「寮に近付けば近付く程に、トラップが増えているな。まるで、これ以上近づくなと言うように」
「あぁ…………」
寮に、今回の騒ぎを起こした人物がいる。
早く見つけだして、収集付けないと――……
「――――え?」
右側にある木に刻まれているのは、氷の結晶が描かれている魔法陣──トラップ魔法か!!
「まずい!!」
気付いた瞬間、氷の礫が混ざる突風が吹き荒れた。普通に痛い!!!
「って、しまった。翼が吹雪で凍って――――」
一瞬、目を離した瞬間にでかい氷が――……
――――ガンッ!!
「カガミヤ!?」
――――ドシャ
い、いってぇ……。
なんだよ、急に。
小さな氷の礫に紛れて、顔より大きな氷が飛んできた。
腕で何とか防いだけど、確実に左腕折れちまってんな。
それに、破片で額も斬ったのか、頭から血が……。目に入ってしまう。
「カガミヤ、大丈夫か!?」
「大丈夫ではない、左手が折れた。何か支えられそうな板や、固定できる布はないか?」
流石に、痛いがここで止まっている訳にはいかない。早く、行かないと。
「え、えぇっと、えぇっと。い、いい板、ぬぬ布?!!?」
「…………落ち着け」
アルカが俺より焦ってる。
焦り過ぎだって。死なないから安心しろ。
「…………あぁ、でも。それこそ、寮、か」
救急箱とかって、寮にありそうだよな。
目の前まで来たし、向かった方が速そう。
「──いっ」
「う、動かない方がいいんじゃないか?」
「その方がいいが、動かないとどうすることも出来ないからな。ここに一人で残るのも嫌だし」
立ち上がると腕に痛みが走るし、眩暈もした。けど、動けなくはない。
「alawater」
凍ってしまった水の翼を消し、再度作り出す。
「んじゃ、行くか」
「お、おう……」
額の血を袖で拭き、寮へと向かう。
もう、トラップはなかった。
あれが、最後のトラップだったみたいだな。
寮の出入り口までくると、人の気配を感じる。しかも、大量に。
「――――人の気配だけなら、いいんだがな」
「絶対に、魔獣もいるよなぁ。それと、魔力も溢れている。なんか、流石に怖い」
アルカの身体が震えている。
まぁ、流石に怖いよ。俺も。
「――――行くぞ」
「あ、あぁ」
寮の扉を開けると、電気が止まっているのか暗い。
外の明かりも、木で遮られているからそこまで差し込まないし、光が必要だな。
手に炎を灯すと、大量の人!?
「うわっ!?」
「な、なんだこれ!?」
廊下には、沢山の人。
いや、よく見ると皆、同じ服を着ている。
制服? つまり、ここに立っている人達はみんな、生徒、か?
「お、おい。な、にをしているんだ?」
聞いても、返答はない。
「おい、何をしているんだ?!」
アルカも強気に聞いているが、変わらず返答なし。
生徒と分かった今、むやみに魔法で道を作るわけにはいかないし、どうすればいいんだよ。
しかも、腕も徐々に痛みが増してきた。
早く、固定したい。それか、リヒトに会いたい。
リヒトに、回復魔法を使ってほしい。
「──おい、早くそこをどいてくれないか。俺達は急いでいるんだ」
…………動きはない。
それはそれで、気色悪いな。
表情一つ動かない。
目も虚ろだし、どこを見ているのかもわからない。
「おい、いい加減にしろよ。早くそこを退け」
…………声が、まったく聞こえてないらしいな。
それなら、少し手荒な手を使うしかなさそうだ。
「すごく魔力を弱くして、flameを放つ」
「大丈夫なのか?」
「火傷くらいはするだろうが、死にはしないよ」
手に灯していた炎に魔力を少しだけ込めて、flameを放つ。
「――――あ、あれ?」
「動き、だした?」
俺が魔力を込めるのと同時に、生徒達が動き出した。
…………ゾンビのように……。
「「~~~~~~~こっち来るなぁぁぁぁあああああ!!!」」
襲ってきたぁぁぁぁぁああああ!!!
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