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不安要素が沢山あり過ぎて頭が痛い

 焦りつつも、二人は冷静に物事を考えるタイプ。


 アンキみたいに不用心に壁に触れたり、何かを仕掛けることはない。


 だが、イライラは積み重なり、空気が重たい。

 そんな雰囲気を感じ、アンキは冷や汗が止まらない。


 間違えたことを言うと、一瞬でこの場は血祭りになる。

 アンキは、何とか二人の逆鱗に触れないように脱出口を探していた。


「な、なにもないっすねぇ~。お二人は何か見つけたっすかぁ??」


 ――――しーん。


 声をかけても誰も返事をしない。

 もう、この空気が地獄。アンキは、色んな意味で早くここから抜け出したいと涙をこぼした。


 そう思っていた矢先、ソフィアが「ん?」と、何かを見つけたような声を漏らした。


「どうしたんすか?」

「…………おい、アンキ。ここに手を突っ込んでみろ」

「嫌っすけど!?」


 ソフィアの言葉でさっきの事態を思い出し、アンキは反射的に断る。


「何かあれば、また引っ張ってやるよ」

「言わなかったっすけど、あれも十分痛かったっすからね? 左右に引っ張られていたんすから、当然っすけど」

「一瞬だったろ」

「まぁ…………」

「早くしろ」

「やっぱり鬼っすよね、ソフィアさん!!」


 ソフィアは一度言うと、止まらない。

 アンキは、ソフィアと共に行動してきて、嫌と言う程にその性格はわかっていた。


 だから、渋々ながらも壁へと近づいた。


 怖がりながらも、ソフィアは行ったことを必ず遂行する。

 つまり、また助けてくれる。そう信じ、アンキはおそるおそる壁に触れた。


 瞬間、口のようなものが開きアンキの手を噛もうとした。


「え」


 ――――バン バン バン!!


 開かれた口の中に、銃弾が三発入った。

 壁が急に、痛みに悶えるように動き出し、三人は立っているのでやっと。


「な、なにがあったんすか!?」

「暴走野郎」


 ソフィアがグレールを呼ぶと、意図を汲み取った彼が瞬時に魔力を氷の剣に注ぎ込む。


「────icicle(アイシクル)


 ソフィアが弾丸を打ち込んだ場所に、氷柱を突き刺した。


 次は悲鳴のような声も鳴り響き、皆顔を歪ませ耳を塞ぐ。


「な、なにが…………」

「あった」


 アンキの問いかけを無視し、ソフィアは洞窟の奥へと走り出す。

 ナイフを握り、《《歪む空間》》を切り裂いた。


 バチンと弾かれるように、空間は光に包まれ、次に目を開くと大量のスライムが飛び交っていた。


「え、スライムの仕業だったんすか?」

「みたいだな」


 また、同じ空間を作られる訳にはいかないため、ソフィアとグレールはそれぞれ殺していく。


 いつでも冷静に対応している二人を見て、アンキは安心したように深いため息を吐いた。


「なんか、なにがあっても大丈夫な気がしてきたっすよ~。一人は暴走中ですけど」


 ※


 屋上から飛び降り、やっと学校から脱出できた。


 それは良かったんだが……。


「建物、やっぱり外から見ると普通だよな。内装と外装はまったく違うけど」

「言われて見れば、たしかに違うな」


 改めて外から学校を見上げると、凄く綺麗で大きな洋風の建物。

 崩れてもいないし、中も日本の学校みたいな作りにはなっていないだろう。


 ここは異世界、まぁ、海外と言う考えでもいいかな。

 俺達がさっきまでいた学校内は、建物の割にはこじんまりしていた気がする。


 外と中を変える魔法が付与されているのかもしれないな。


「…………氷魔法だったら、可能か?」

「でも、俺達は実際に中に入って魔獣にも襲われてスライムに閉じ込められたぞ? 氷魔法で違う景色を見せるのは可能だが、そこまで変えることが出来るなんて今まで聞いたことがない」


 アルカも聞いたことがないのか。

 まぁ、もうここまで来たらどんな魔法が来ても驚かない自信があるぞ。


「――――とりあえず、この魔法学校の中に入れば同じことの繰り返しだ。次に狙うは、寮。行くぞ」

「わかった」


 落とし穴みたいなトラップがないとも言い切れないから、焦らず向かう。


「――――ん?」

「どうした、アルカ」


 アルカが急に立ち止まった。

 地面にしゃがみ、耳を突ける。


「ど、どうした? トイレか??」

「さすがにトイレじゃねぇよ……。なんか、下から微かだけど、音が聞こえた気がしたんだな……」


 もう、聞こえなくなったのか、アルカは首を傾げながら立ちあがった。


 地下、か。


「もしかしたら、アマリアが何かやっているのかもな」

「アマリア様が?」

「そう。今、地下を探ってくれているんだ。だが、アルカが聞こえた音がアマリアが出した音なのなら、地下でも色々と起こっているのがわかる。今は、何とかなっているみたいだが……」


 というか、何も考えていなかったが、アマリアとはどこまで離れて大丈夫だろうか。


 オスクリタ海底の中は自由に出歩けていたし、まだ離れても大丈夫だとは思うけど……。


「んー。色々と気になるけど、俺達は寮だ」

「いいのか?」

「アマリアなら、絶対に何かあったとしても自分で対処が出来る。今の一番不安要素はロゼ姫とグレールだ。まだ探っていないのは寮、行くぞ」

「わ、わかった」


 ロゼ姫は何もされていないか。

 グレールは暴走していないか。


 あー、早く誰かと合流したい。


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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