結局、生き物の口の中なのか???
結界に手を付き、魔力を少しずつ送る。
最初は、何か発動してくるかもしれないとアルカに警戒態勢を取ってもらっていたが、なにもないみたいだ。
でも、だからと言ってここから魔力を多く注ぐわけにはいかない。
アビリティの言う通り、少しずつ、焦らずに魔力を注ぎ込む。
――――ドクン
っ、結界が、音を鳴らした?
いや、心臓が動いたような感じだった。
でも、結界に心臓なんてあるわけないし、どういうことだ?
アルカも今の音は聞こえたらしく、剣を構え至る所を見回している。でも、なにもない。
何もないのであれば、このまま魔力を注ぎ込む。
魔力のメーターがいっぱいになり、それでも注ぎ込まれる魔力に耐えられず結界は爆発。してくれると嬉しいなぁ。
「――――なんか、結界。おかしくないか? 波打つように光り出したような……」
「波打つように光り出した?」
流石に、アルカのつぶやきは無視できなかった。
魔力の乱れが起きないように注意しながら、アルカに問いかける。
「そうだ。なんか、生き物のように動き出した、みたいな。生き物の中にいるような、そんな感じがするんだ……」
「そ、そんな気持ち悪いこと言うんじゃねぇよ。そんなわけないだろ」
「だ、だよなぁ」
アルカの言うことが本当なのであれば、屋上は生き物の一部が占領していることになる。
でも、全然思いつかない。
どんな生き物が、屋上になっているんだ?
って、いや、待てよ。
屋上だけっていうはおかしくないか?
外から見ると建物自体は普通だった。
それなら、俺達が屋上に入ってしまったことで発動してしまった、時間稼ぎトラップと考えた方がいいだろう。
生き物みたいに見えるっていうのは、結界そのものが生きているのかもしれない。
どっちにしろ、俺はこのまま魔力を込め続ける。
爆発しろ、爆発しろ、爆発しろ。
そんな願いは虚しく、結界はスライムのようにいきなり柔らかくなってしまった。
足もとも柔らかくなり、俺はバランスを崩しその場に倒れ込む。
「うわっ!!」
「大丈夫かカガミヤ!!!」
「俺は大丈夫だが…………」
しまった。
手を離しちまったから、魔力を送れなくなってしまった。
でも、少しは効果があったのか、それとも怒ってしまったのか。
まだ床が波打ち、立っていられない。
「くっそ。ala・water」
水の翼を出し、空中へ逃げる。
アルカも空中へと逃がそうと思ったが、自分は大丈夫だとジェスチャーしてきた。
足腰の鍛え方が俺とは違う。
だからなのか、波打つ床をしっかりと踏みしめ立っている。
「これは、ただの妨害か。何かの口の中なのか、それともただの結界か。本当に、時間がないんだ。魔力を出し惜しみするのも意味は無いし、やるか」
『魔法をぶつけると今以上に大きなトラップを仕掛けてくる恐れがありますよ』
「問題ない。スピリト」
リンクとついでに出て来たスピリトを呼ぶと、大きな返事をして近づいて来た。
「行くぞ」
『わかりました、御主人様!!』
準備満タン、行くぞ。
「――――|Dragonflame!!」
炎の竜をスピリトに向けて放つ。
スピリトの持っている魔力と合わさり、炎の竜は赤みを増す。
「|Dragonflameよ、気持ちの悪い結界? を焼き尽くせ!!」
――――ガァァァァァァァアアアアアア!!!!!
炎の竜の咆哮と共に、スピリトは結界へ突進!!
固く、最初は破れなかったが、諦めずにぶつけ続ける。
「壊れろやぁぁぁあああ!!!」
魔導書に魔力を送り続けると、触手のようなものが現れ、俺に向けて伸びてきた。
だが、アルカが簡単に斬る。
ダメージが随時入っているからなのか、触手は徐々に弱くなり、結界が悲鳴を上げるように膨らみ始めた。
「死ねぇぇぇぇえ!!!」
最後のとどめと言うように魔力を込めると、パンッ!! と、結界が弾けた。
「よっしゃぁぁぁぁああああ!!! って、す、スライム??」
なんか、本物のコンクリート製の屋上が現れた。
そこには、顔のないスライムのような物体が複数ジャンプして逃げ惑う。
アルカが慌てて切ると、簡単にその場に溶けてなくなった。
「何かわからんが、あいつらは逃がさない方がいいか。――――|fouet・water」
水の翼から鞭に切り替え、落ちるのと同時にスライム達を鞭で薙ぎ払い、全滅させた。
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