意思のある指輪とか普通に恐怖なんだけど
唖然としていると、指にはめられている指輪が微かな光を放つ。
そういえば、さっき。指輪から何か言われたな。
頭に血が上っている時だったから覚えてないけど。
『我が主、知里様。元主の命により、今後は貴方のサポートをさせていただきます。ご気軽にお使いください』
「なに言ってんの?」
『元主の命により――……』
「それはもういい」
いや、マジで何を言っているの?
元主の命により俺を主にして、手を貸す?
頭がパンクしそうなんだけど。
おっ、服をリヒトに引っ張られた。
「カガミヤさん、大丈夫ですか? 怪我はないですか?」
「おー、さっきは盾をあんがと、それのおかげで助かったわ。見ての通り無傷だから気にすんな」
氷もしっかり溶けたし、目立った傷もない。
「なぁ、それよりアルカ。アビリティ、だったか? これが意味わかんねぇこと言ってるんだが。お前らのアビリティも同じこと言ってんのか? 主がどうとか」
俺が聞くと、なぜ二人は目を丸くしていた。なんだ?
固まっている二人を見ていると、アビリティが勝手にパラメータの映像を出し、何やら説明をし始めた。
『主、今回の魔法で魔力がだいぶ減っております。念のため、確認の方をお願いします』
気が利くのは嬉しいが、当たり前のように声をかけてこないでほしいなぁ、驚くから……。
アビリティに戸惑い引き笑いを浮かべていると、アルカとリヒトがやっと口を開いた。
「アビリティが、喋ってる?」
「ん? なんか喋ったな」
アルカが俺を指さし、青い顔で聞いて来た。
幽霊でも見たかのような表情なんだが、なんでそんな顔を浮かべているんだ?
「なんで、指輪が喋って……」
「え、これが普通じゃないの?」
「普通は喋らないですよ。私達のは自分の能力値を見るか、使える魔法の確認とかしか出来ません」
「まじか」
なんか、主人公ってすごいな。
凄いけど、これって何かの伏線とかになってないよね?
主人公がチート能力もらえる理由って、世界を救ってもらいたいからとか。
ある程度の力がないと主人公と言えど死んじゃうからとか。
世界を救うとか嫌だぞ俺、マジで嫌だ。
そんなの違う次元の主人公に任せてくれ。
目の前に現れたパラメーターを遠い目で眺めていると、小さな違いを見つけた。
「ほぇぇ、ほんの少ししか減ってない。え、さっきアビリティ、だいぶ減ったと言っていなかったか?」
『元主を基準にし計算すると、”だいぶ”という言葉に間違いはありません』
「あ、はい。スイマセン……。ん? 元主? そういえば、元主の命ってなんだ?」
『それは、また後程お話しします。長くなりますので』
「はい」
まぁ、ここで話すことではないよな。
今は報酬だ、報酬。
「なぁ、この後、どうすれば報酬をもらえるんだ?」
「あ、えっと……。ワイバーンを倒したから、奥の道が開かれたはずだぞ。そこにお宝があっ――――」
「今すぐ行くぞ、早く来い」
この広い部屋のどこかに出入口以外の通路が出てきているんだな。
えぇっと――――??
あ、あそこか?
俺が指さすと、意外にもリヒトが一番最初に走り出した。
元気だな、おじさんにはついていけないよ。
素直にリヒトの後ろを付いて行こうとすると、アルカに声をかけられた。
「なぁ」
「何?」
「あんたは本当に何者なんだ? あんだけの力を持って無名はありえない。それと、その指輪はどこで手に入れた?」
「ぐいぐい来るじゃん」
真っすぐ俺の目を見て聞いて来る。
疑っているのか、純粋に気になっているのか。
真っすぐ見てくるから目を逸らせない、純粋って質が悪い。
「あまり話したがらないから、無理に聞くのもと思ったんだ。けど、さっきの魔力や魔法を見て、気になって仕方がないんだ」
まぁ、普通は気になるか。
俺もアルカと同じ立場だったら気になるし、聞く。
「一応、俺なりに考えてもみたんだが、どうしても腑に落ちないんだよ」
「腑に落ちない?」
「あぁ。転移魔法だけでは絶対に説明できない。その理由としてまず、指輪は俺達ギルドの人間にしか与えられない。それをどうやってどこで手に入れたのか。あと、あんな魔力をどうやって抑えているのか」
アルカはアルカなりに色々考えてたんだなぁ。
素直に色々教えてくれてたから、普通に馬鹿なのかと思ってたわ。
「確かにそうだな、だが、悪い。それを俺に聞いたところで得るものは何もないぞ」
「なんでだ?」
「俺も強制的にここへ召喚されたからだ。指輪はこっちに召喚されたのと同時に嵌められていたと考えている。どこで手に入れたとかもわからない」
アルカが俺の方をじっと見てくる、視線が痛い。
俺、見られるのって苦手なんだよ。
「本当に何も分かんねぇし、この世界のルールも知らん。何をするにも初心者の俺に何を聞いたところで答えは出ない」
「そうかもしれないけど…………」
不安そうに顔を俯かせてしまった。
そんな態度されても困るって。
俺だって、目を覚ますと目の前にお前ら二人とワイバーンだったんだぞ。
俺も誰かに説明してほしい。
『はい』
「呼んでねぇよアビリティ」
『後ほどお話しさせていただこうと思いましたが、空気が重たいため今、私からご説明させていただきます』
あ、はい。
よろしくお願いします。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ