リンクでも駄目とか、本当にめんどくさい
「なんか、闇の世界に入ってしまったって、感じだな」
「そうだな。気持ち悪い……」
屋上の周りは、黒い結界に阻まれている。
触れると、ボヨボヨと柔らかい感触。正直、あまり触りたくない。
「なんか、面白いな!!」
「お前の楽観的な感覚が羨ましいよ」
アルカは、俺が気持ち悪いと思っている結界を、ボヨボヨと楽しそうに触っている。
「あまり触らない方がいいんじゃないか? 何かトラップがあるかもしれないぞ」
「あっ。そ、そっか。楽しんでいる場合じゃないしな」
「楽しめるのはお前ぐらいだけどな」
はぁ。とりあえず、ここにいてもしょうがないし、屋上から出るのは諦めようか。
「アルカ、ここにいても仕方がないし、屋上から出るぞ」
「わかった」
結界に阻まれている場所にいても仕方がないし、早く出よう。
――――ガチャッ
「…………え?」
「どうしたんだ?」
「いや……」
おかしいなぁ、開かない。
いや、そんなわけはない。何かが引っかかっているだけで、閉じ込められたわけではないはず。
――――ガチャガチャ
「…………開かないのか?」
「…………俺、実はドアを開けるのが苦手なんだよね」
「そんなことある訳ないじゃん」
一応アルカも渋々ドアを開けようとしたけど、やっぱり開かなかった。
「やっぱり開かないな。閉じ込められたか? ――――おーい、大丈夫か、カガミヤ」
アルカも開けられないことがわかった瞬間に、俺の身体から力が抜けた。
だって、だって……。
「ここから抜け出さないといけないのか……」
「そうだな」
「なんで、こんなにもめんどくさいことになってしまったんだ。大人しく外でみんなが戻ってくるのを待っていればよかった……」
頭を抱えていても仕方がないのはわかっているけど、力が抜けて仕方がない。
「また、ここで謎解きだの戦闘だのを行わなきゃならんのかよぉ……」
「そういえば、リンクの異空間魔法は使えないのか?」
アルカが頭を抱えている俺の顔を覗き込み、そんなことを言ってきた。
そういえば、俺にはそんな便利な精霊がいたじゃねぇかよ!!
出すとめんどくさいからいつもは引っ込んでもらっていたけど。
今回はあいつの出番だ!!
「おい、リンク!! 出てこい!!」
言うと、リンクが腕を組んで、どこか偉そうな姿で現れた。
ついでに、何故かスピリトも。
『ふん!! 今までずっと私達を呼ばなかった癖に、都合のいい男ですのね』
「精霊って普通そう言うもんなんじゃねぇの」
『そんなことないわよ!!』
こいつの戯言に付き合っている時間ないんだけどなぁ。
今もギャーギャーと喚いているし、耳を傾けているだけ時間の無駄だな。
「なぁ、リンク。俺達を外に連れ出すことはできるか?」
『私のありがたいお説教はフル無視なのね!! 本当に、この主は嫌になるわ!!』
「なら、他の所に行くか?」
『…………』
なんか、それはそれで嫌らしい。
黙っちまった。
『お前の戯言に付き合っている時間はないんだよ。早く、ここから抜け出したいんだ。だから、外へ繋がる道を作ってくれねぇか?」
『わかったわよ……』
スピリトが何故か疲れているリンクの背中を撫でている。
慰めるためにスピリトは現れたのか?
『それじゃ、やるわよ』
「任せた」
深呼吸をし、リンクは魔力を込め始めた。
これで外に繋がるワープゾーンを出してくれれば、俺達はすぐにこんな所から脱出が出来る。
と、思ったんだけど。
「なかなか出ないな」
「そうだな……」
アルカも、ワープソーンが出ていないことに不思議そうにしている。
リンクを見ると、まだ魔力を込めていた。
「…………外には出られなさそうだな。リンク、もういい」
『…………何かに阻まれている感じがしたわ。外にまったく繋げられない』
「なるほど」
この結界をどうにかしないと、俺達は外に出られないと。
それは、単純に俺の魔力が負けているのか、謎解きなのか。
俺の魔力がそう簡単に負けるようなことはないだろうし、おそらく後者。
謎を解かないとここから出られないだろう。
あー、マジでめんどくさい。
謎解き、マジで嫌だ。
「んー、謎解きと言っても、なにもヒントがない。さすがに看板か何か欲しいんだけど」
「ヒント? ここは謎解きなのか?」
「それすらもわからん。ごり押しできればいいんだが、無駄に魔力を消費するだけと考えると、ひとまず見て回って怪しいもんを見つけた方がいいだろう」
「それもそうだな!!」
アルカと手分けして、この狭い屋上を見て回ることになった。
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