もう、ショートカットしようぜ
俺達は、ソフィアの後を追うように、気配を消しながら学校へと向かった。
「…………」
腕には、さっきグレールとロゼ姫に渡されたブレスレットが付けられている。
これは、魔力を送り、同じものを持っている人と連絡が取れる代物らしい。
仮に、異空間へと飛ばされたとしても、繋がるらしいから一応持っていてと渡された。
これから向かうのは、魔法に特化している学校だもんな。
もしかしたら、異空間に飛ばされてしまう可能性があるし、受け取った。
見た目は、普通のシルバーのブレスレット。
お洒落で着けていると言っても誤魔化せるだろう。
本当に、これで連絡が取れるのか?
不安だが、試している時間はないし、いいや。
前を向き直すと、ソフィアが物陰に隠れていた。
俺達もソフィアに追いつき、隠れる。
「来たのか」
「来たくなかったが、みんなが行くって聞かなかったんだよ」
「そうか」
すぐに俺達から視線が外れ、学校の出入り口付近を見た。
…………ん? 二つの人影があるな。
子供? なんか、見覚えがあるような……。
出入り口で何をしているんだ?
なにか、怪しい動きをしている。
「――――ん?」
後ろから、影?
みんなで振り向くと、そこには大きな口――……
「flameうぅぅぅぅううううう!!!!」
みんなが咄嗟に動いた中、俺の魔法が一番早かったらしく、口は燃えた。
「咄嗟のスピードは速いのに、なんで戦闘だと遅くなるの?」
「咄嗟の時は、魔力をあまり込めないで放っているから」
「そう」
つーか、姿を確認する前に吹っ飛ばしちまったから、何が襲ってきたのかわからなかった。
一体、塵となる前はどんな姿をしていたんだ?
「多分、魔獣だね。塵から微かに魔力を感じる」
「そうなのか。魔獣は、少し厄介だな」
ソフィアが珍しくそんなことを言った。
厄介、なのか?
「魔力を使えないソフィアからしたら、魔獣は魔力の塊だし、たしかに色々厄介かもね」
「気配を探りにくいからな。まぁ、問題ない」
スクッと立ち上がり、学校を見据えた。
「ど、どしたん??」
「…………不自然なほどに静かだと思ってな」
「え?」
ソフィアの言う通り、異様なほどに静かだ。
道中の方が何倍もうるさかった。
「気配もありませんね」
「魔力も感じないのか?」
「感じません」
グレールがはっきりとソフィアの質問に答えた。
たしかに、魔力すら感じない。
魔法学校なのに、そんなの普通におかしいよな。
「…………ちょっと、みんな周りを警戒してもらってもいい?」
「何か考えがあるのか?」
「一つ、この状況に適した魔法があるんだ」
アマリアが何やら考えがあるみたい。
みんなは頷き、周りを警戒し始めた。
アマリアはみんなの確認すると、地面に足を付けしゃがむ。
手を地面に付けたかと思うと、魔力を込め始めた。
「Echo」
エコー??
どんな魔法だ?
エコーは、そのままだと反響音、だったか。
アマリアは数秒後には魔力を抑え、立ちあがった。
「――――地下があるね、しかも結構広い。人ではない……魔獣かな? が、走り回ってる感じかも」
「何をしたんだ? なんで、そこまでわかるんだ?」
「今の魔法は、音を反響させて敵の場所を導き出せるんだ」
そんな便利な魔法を持っていたのか。
今までも使う機会はあったはずだけど、なんでここまで出し渋ったんだよ。
「というか、地下? この学校には地下があるのか?」
「あるみたい。僕達が立っているこの下に空洞があったよ。ダミーの可能性もあるけど、そこまではさすがに分からないかなぁ」
ふーん。
「なら、ダミーかそうじゃないかをまず、判断するか」
「え?」
地下、か。
正直、お忍びも飽きてきたし、正直めんどくさい。
ここにはアタッカーが沢山居るし、万が一なにかあっても対処は出来るはず。
「まさか…………」
「あぁ、アマリアの予想通りだ」
魔力を右手に込めて、地面を見る。
「回り込むより、ショートカットした方が楽だろう。――――flamaArrow」
威力を弓へと込め、炎の弓矢を地面に放った。
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