三時間は続けたいなぁ
「もっと魔力を抑えて、そんなだと管理者に気づかれるよ」
「ほら、また溢れてる。魔力の量が多いからって、溢れるのは許されないよ」
「感情に振り回されないで。僕に怒りをぶつけるのはいいけど、魔力だけは押さえ込んで」
くっそぉぉぉぉおおお!!
アマリアがうるせぇぇぇええええ!!!
俺は今、宿の部屋で魔力を抑え込む訓練をしていた。
ベッドの上に座って、目を閉じて集中。
そして、魔力の流れを感じ取り、押さえ込む。
それだけなんだけど、俺の魔力が大量すぎて押さえ込むだけでもめっちゃ精神を使う。
だが、これが完璧に出来るようになると、魔力操作にも活用できるらしい。
今までみたいにごり押ししないでも、爆発的な威力を出せるみたい。
原理はわかるし、頭で理解はしているが、難しすぎだろ!!
「ほら、また魔力が乱れているよ。完璧に抑え込んで」
「~~~~~~~~もういい!! 休憩だ!!」
「あっ、ちょっと」
はぁ、つっかれた。
ベッドに寝転ぶと、アマリアが睨んできた。
頭を抱えても、俺は休憩したいから休憩するの。
だって、今日まだ一回も休憩してないんだぞ。
休憩なしで三時間以上魔力の流れを感じ取っていたんだぞ。
無理無理、疲れた。
「まったく……。アルカもリヒトも頑張っているのに、なんで一番年上の知里がさぼっているの??」
「さぼってねぇよ。休憩だ、休憩。あいつらも休憩はしてるだろ」
だるい、体が重たい。
まぁ、最初の頃よりはだいぶ魔力も抑えられるようになったし、体力も保てるようになった気はする。
完全に抑え込められるのは、大体三時間が限界。
時々、アマリアが俺の模擬戦相手になってくれるんだけど、その時の魔力のコントロールはできていると言ってくれる。
あまり、魔力が散らばらなくなったみたいだ。
一つに集まっているから、一つ一つの魔法が威力あがっていると実感はできている。
「…………今まで、無駄なことをしてきていたんだな」
「そうだね。それに、知里は意外と感情的になりがちなのと、チート魔力でごり押ししてきた。もうそれも難しくなってきたからね。基礎を身に着けると、魔法はかなり強くなるよ」
基礎、ねぇ。
基礎も何もないままに、ここまで来たからな。
そう考えると、よく生きていたな、俺。
基礎も何も知らないで、命を懸けた戦いをしてきたのか。
「リヒトもアルカも頑張ってんだよなぁ」
「そうだよ。だから、知里ももう一回頑張ろうか」
やばっ、余計なことを言っちまった。
顔を近づかせてきて、圧をかけてくる。
「…………まぁ、強くならんとだしな。もうひと踏ん張りしてみるか」
「頑張って」
「たく……」
また姿勢を整えて、魔力の流れを意識する。
魔力は、血液と一緒に体の隅まで流れていると聞いた。
魔力の流れは、熱さでわかる。
これは、俺の感覚だから全員に当てはまるわけじゃないかもしれないがな。
熱を感じ始めると、その熱は周りへと広がる。
体全体が熱くなり、魔力があふれているんだと感じた時に、きゅっと熱を内側へと抑え込む。
すぐに、体の内側へと熱を抑え込むことができ、逆に体が冷たくなる。
ここからが耐久レースだ。
この冷たい感覚をどれだけ長く続けられるかが、俺の修行。
俺の魔力が抑え込められると、アマリアは即座にタイムウォッチを押して時間を測り始める。
今までは、最大二時間が限度。
それを超えてしまうと、微かながら魔力が溢れ出ているらしい。
俺自身はわからないんだが、本当に微かに感じているみたいだ。
でも、管理者にはわかってしまうため、いつもそこで俺はアマリアに指摘される。
今回は、何時間くらい保つことが出来るのか。
もうそろそろ、三時間はいきたいな。
深呼吸を繰り返す。
感覚を研ぎ澄ます。
最初は余裕だ。
もう、この感覚には慣れた。
一時間は、保てるようになった。
二時間目になると、少し体力が疲れてくる。
その途中で、いつも微かに魔力があふれて終わり。
絶対に、今回は続けてやるぞ。
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