自由人と分かっていてもここまでくるとむかつきます
「死ぬかと思った」
「死なないことを確信しているからこその行動だよ」
何処がですか。
私を後ろから言葉攻めしてきたり、ツンツンしてきたり。
挙句の果てに、ワイバーンが襲ってきたと言って脅して……。
本当に、散々な綱渡りでしたよ。
正確には、鎖渡りだけど。
「お疲れさん」
「あ、ありがとうございます」
ビジョンさんが手を差し出してくれる。
素直に掴み立ちあがった。
「さて、ここまで来たけど。こっちも見た感じはさっきの穴と変わらないわねぇ」
エトワールさんの言う通り、周りを見回してみるけど変わったところは何も無い。
せめて、魔法陣か何かあってもいいのに。
「んじゃ。看板見るぞ。えぇっと…………」
ビジョンさんが看板を見る。
私も後ろから覗くように、看板を見てみる。
「えぇっと。『水に"あるもの"を入れると扉が開く』らしいです」
「へぇ。水にある物を入れると扉が開くねぇ~。それって――モゴッ」
あっ、エトワールさんの口元をキロンニス先生が抑えてしまった。
「おい、詐欺師、お前答えを言い過ぎだ。少しはあいつらに考えさせろ」
「えぇぇぇええ!?」
エトワールさん、答えがわかったんじゃないの!?
なんでキロンニス先生、止めてしまうの!?
「今は、そこまで急がねぇとならない時じゃない。この女にばかり頼ってないで、てめぇで何とかしてみろ」
そんなことを言われても……。
「いや、これ、普通に氷だろ」
「え? ど、どういうことですか?」
ビジョンさんが当たり前だろうと言うように言い放った。
なんで、氷?
「漢字」
「漢字? …………あぁ、単純すぎる」
「だろ」
でも、氷と分かったから、なに?
氷って、なに?
エトワールさんとキロンニス先生を見るけど、なにも答えてくれない。
ここから先も私達に考えさせようとしているんだ。
うん、私も頑張るぞ。
「氷、氷……。ワイバーンに氷の属性っていますよね?」
「いると思うぞ。俺達の中に氷属性いないし、ワイバーンを使って道を開くしかないな」
看板にもそう書いているもんねぇ。
でも、ブレス攻撃を放たせるということでいいと思うんだけど、どこに?
周りを見ても、なにもないんだよなぁ。
「…………看板」
「ん? どうした、リヒト」
「なんか、看板に何か細工してないかなぁって思って」
「看板に?」
看板、何か細工……。
あれ、看板に触ってみると、なんとなくグラグラしている気がする。
「ビジョンさん、この看板、変にグラグラしてません?」
「んー? ……確かにな」
ビジョンさんも触ってみて、グラグラしているのがわかったみたい。
「押してみるか?」
「や、やってみましょう」
ビジョンさんが息を飲みながら、看板を押した。
すると、大きな音が穴の奥から聞こえた。
「へ??」
「あてずっぽうだったが、あっていたらしいな」
奥を見ると、壁の奥から扉が現れた。
「やっぱり、作りは単純みたいだね」
いつの間にか、解放されているエトワールさんが近づいて来た。
奥を見ると、足を抑えてその場に蹲っているキロンニス先生の姿が見えた。
「え、エトワールさん? キロンニス先生に何をしたんですか?」
「触られたから咄嗟に蹴ってやっただけだよ」
いや、絶対に咄嗟に蹴ってない。
私達が謎を解くのを待ってから蹴ってる。
「それじゃ、この扉におそらく氷のブレス攻撃を当てればいいのね」
「みたいですが……」
どうやってワイバーンを誘導すればいいんだろう?
それに、氷の属性だけを。
それは、きつくない? ど、どうすればいいの!?
どうしよう、全然いい方法が思いつかないよ!!
「…………ちょっと、リヒトちゃん。穴から覗いて氷属性のワイバーンがいくついるか確認してもらってもいい?」
「わ、わかりました」
さっきの音に反応したワイバーンがいるんじゃないかとも思ったけど、特に変わった様子はない。
穴から顔を出して、飛び交うワイバーンを見てみる。
色が、濃い。私が出会ったワイバーンはここまで色が濃くなかった。
属性をわかりやすくしているってことでいいのかな。
えぇっと、赤と水色。白と茶色、あとは緑と黄色、か。
多分、白が氷、だよね?
ここにいるワイバーンの属性は、六大魔法だと思う。
白は…………動き回っているから数えにくい……。
「…………エトワールさん、数えるの無理です」
「頑張ってー」
なら、自分が数えてください……はぁ。
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