難しそうには見えませんでしたが?
前に進んでいるけど、思っていた以上に道が長い。
周りにワイバーンがいると思うだけで怖いし、神経が擦り切れてしまう。
「待って」
エトワールさんが足を止め、私達も止まる。
瞬間、嫌な気配が前方から感じて目を凝らした。
ビジョンさんも前を見る。
みんなでじぃ~と見ていると、小さな子供が大量にこちらへと向かって来ているのがわかった。
────いや、あれは子供ではない!!
「ゴブリン!?」
大量のゴブリンが前方から走ってくる!!
やばい、普段なら簡単に倒せるけど、今はこの細道だ。思い通りには動けない。
それに、魔法も使えない縛り中。
どうやってあのゴブリンを始末すればいいの!?
「三人はすぐに動けるようにして!!」
「エトワールさん!? っ、まさか!!」
杖を掲げ、エトワールさんが唱えた。
「|bevelen・somnium」
エトワールさんがビジョンさんより前に出て、魔法を発動した。
瞬間、ゴブリンの動きが止まる。
「さぁ、壁を壊し、落ちなさい」
命令するとゴブリンが壁を壊し、下へと落ちていく。
「す、すごい」
「感心してないで走るよ!」
エトワールさんに手を引かれ走り出した。
唖然としているビジョンさんは、キロンニス先生が抱き上げている。
――――――――ガウゥゥゥゥゥウウウウ!!!
っ、そうか。
エトワールさんの魔力と、ゴブリンの動きで、二十体はいるワイバーンが私達の存在に気づいたんだ!
周りのワイバーンが私達に狙いを定めて来る。
これ、絶対に逃げられない!!
二体のワイバーンが私達へと襲い掛かってきた。
壁に頭突きをし、細道を壊す。
「エトワールさん!!」
「あそこまで突っ走るわよ!!」
あそこってどこ?! と、思っていたら前方にトンネルのような穴があった。
せめて、あそこまで行けば足場が広がる!
――――――――ドカンッ!!
「えっ」
「あらぁ」
足場が、崩れた。
お、落ちるぅぅぅぅぅうううう!!
――――――――ふわっ
「あ、あれ? 体が浮いた?」
「こういう時に浮遊魔法を使うの。さぁ、早く行くわよ。後ろはキロンニス先生がどうにかしているから安心だしね」
私は今、エトワールさんに抱きかかえられている。
落ちた瞬間にエトワールさんが浮遊魔法を使って、私を助けてくれたみたい。
後ろを見てみると、キロンニス先生がビジョンさんを抱きかかえていて、エトワールさんと同じく浮遊魔法を使い飛んでいた。
「ワイバーンに襲われたらひとたまりもないから急ぐよ!!」
スピードが上がっ──圧が、強い!!
これも、浮遊魔法を使いたくない欠点かもしれない!!
ワイバーンの叫び声と、ブレス攻撃が襲い掛かる。
私がlehrdを出して、ブレス攻撃を防ぎながら広場へと向かう。
早く、早くたどり着いてくれ。
このままだと、ワイバーンの数が多すぎてさばききれない!!
「flame!!」
炎魔法がワイバーンに向かって放たれる。
ビジョンさんも加勢してくれたみたい!
「もう少しだよ、リヒトちゃん!」
「はい!!」
そのままなんとかワイバーンからの攻撃を凌ぎ、穴の中へと転がるようにたどり着いた。
「っ、ビジョンさん、キロンニス先生!!」
後ろを振り向くと、ちょうど襲われている二人が目に入る。
「chain!!」
二人に襲い掛かる赤いワイバーンの足を掴み、気を逸らさせる。
視線が外れた隙に、キロンニス先生が私達の元へと向かう。
私に狙いを定めたのか、それとも二人を追いかけているのか。
鎖をすぐに振りほどき、こちらへと飛んできた。
「ワイバーンが追いかけてきているよ!! 急いで!!」
エトワールさんの言葉と共に、キロンニス先生はスピードを上げ、無事に私たちのいる穴にたどり着いた。
――――――――ドカン!!
最後の最後まで追いかけてきていたワイバーンは、人間が二人くらい入るのがやっとな穴には入れない。
体をぶつけバランスを崩し、その場を離れた。
「さすがに、少し肝が冷えたわねぇ」
いつも楽しそうにしていたエトワールさんが、珍しく汗を流していた。
口元は笑っているけど、焦ったには焦ったみたい。
「ったく、久しぶりに浮遊魔法を使うと、バランスとるのが難しかったわ」
「しかも、人を抱えながらだからね。そりゃぁ、難しいよ。私も難しかったし」
そんなことを言っている二人だけど、私からしたら普通に飛んでいましたよ?
簡単そうにすら見えてしまった。
それくらい、二人のレベルが高いことが、今の一瞬でわかってしまった。
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