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過信は絶対にしないようにしないといけないな

「ワイバーンが、この壁の奥に?」

「うん。十はいるね。二十までいる可能性があるわ」

「嘘でしょ……」


 ワイバーンは、私が初めてカガミヤさんに出会った時のダンジョンのラスボスだ。


 あの時、カガミヤさんがいてもギリギリだった。


 一体でもギリギリだったのに、まさか、十はいるなんて……。


 メンバー的に強い人が集まっているとはいえ、きつい。

 この壁が私達の命を繋ぐ命綱だ。


「この壁は俺達が壊さない限り壊れないか?」

「ワイバーン達が私達に気づかなければ壊されないんじゃないかな。でも、一度でも魔法を使うと気づかれると思う」


 ビジョンさんが今使っている炎魔法でギリギリ気づかれないのか。

 これ以上の魔法は、出来る限り使わない。というか、使えない。


 こういう縛りって、本当に辛い。


「…………この壁は、魔法を使わなくても壊せそうね。多分、壊すこと前提で作られているんじゃないかな」

「え、それなら地面も?」

「いや、地面はまた違う素材で作られていると思うわよ。叩いた時に出る音が違う」


 確かに、エトワールさんが二か所の壁を叩いてみたら、音が違う。


「んー、窓みたいに少しだけ穴をあけてみよう」

「えっ、気づかれたらどうするんですか?」

「その時はその時で戦うしかないでしょ。まぁ、逃げ道はあるよ。多分」


 エトワールさんのその楽観的な思考、本当についていけませんよ!!


「それじゃ、少し壊してみるね」


 コンコンと、エトワールさんが軽く壁を叩くけど、びくともしない。

 もっと強く叩いてみるけど、砂みたいのが落ちるだけで、穴が開きそうにはない。


「んー……。うん! 男、任せた」

「何で俺なんだよ!」


 しっかりと小声で怒っているの、流石です。

 やっぱり、気づかれたくはないですよね。

 いくら戦闘狂だとしても……。


「大丈夫、気づかれても一瞬ならワイバーンの動きを封じられるから。それに、本当に小さな穴なら気づかれないよ。ワイバーンは賢いけど、目はそこまでよくないはずだし」

「…………まぁ、いいわ。戦ってみてぇし」


 そんなこと言わないでください、私は戦いたくないです。


 ビジョンさんは、肩を鳴らしながら炎魔法を消して、壁を見つめる。

 い、一気に暗くなったなぁ。


 ビジョンさんは、壁を壊す前に一回気持ちを落ち着かせるために深呼吸した。


「────ふん!」


 壁を強い力で殴ると、少しだけ壁が壊れた。

 砂埃が舞い、壁に穴が開いたのかすぐには確認できない。


「――――――――よしっ。このくらいなら覗けるね」


 数秒後、穴が空いたことを確認できた。

 エトワールさんがすぐに壁に向かい、背伸びをし覗き込んだ。


 穴は多分、エトワールさんの顔が入るか入らないかくらいの大きさ。本当に、ちょうどいい大きさだ。


「ビジョンさん、器用ですね?」

「偶然だ」

「そんなことあります?」

「あるだろ」


 驚いたけど、いいか。

 これで、エトワールさんが外を確認して事態を把握できる。


「エトワールさん、いかがですか?」

「んー、二十はいそうだねぇ。しかも、色んな属性が」

「やばっ」

「一斉に襲われたらチート魔力がいないときついねぇ」

「いても、きついと思いますが……」


 今の言葉、ぜひカガミヤさんに聞かせてあげてください。

 絶対に青い顔を浮かべて、全力拒否すると思います。


「よしっ、この道を進むと崖みたいな場所にたどり着くかも? ひとまず、進もう。途中モンスターが現れても、小さな魔法で処理出来たら嬉しい。こんな所でワイバーンに襲われたらたまったもんじゃないからね。二人はまだ空を自由に飛べる訳じゃないし」


 空を自由に、か。

 キロンニス先生の授業はまだ途中だったけど、あれを極めれば空を飛ぶことができるんだよね。


「早く炎を出して」

「うるせぇーよ、命令すんな!」


 また、ビジョンさんがギリギリの魔力で炎を灯してくれた。

 また、壁を触りながら歩き出す。


「ちなみになんですが、エトワールさんは空を飛ぶことできるんですか?」

「出来るよ~。でも、結構魔力を使うし、疲れるからあまり使いたくなんだよねぇ」

「そうなんですか?」

「そうそう。使う例をあげるとすれば、落下してしまった時とか、かな」


 へぇ、そんなに使いたくないんだ。

 でも、たしかにそうだ。


 空を飛んでいる時って、ずっと魔力を使っている状態だってキロンニス先生が言っていた気がする。


 それに、バランスとかも取らないといけないのかな? それなら、体力も使ってしまう。


「あと、空を飛べることで過信したくないんだよね」

「過信、ですか?」

「空を飛べるのって、ワイバーンを見ているとわかるように、アドバンテージなんだよね。でも、その分、魔力と体力は使う。ただ、一気に使う訳じゃないから、無くなりそうになっても気づきにくいんだよね」


 へぇ、そんなことがあるんだ。


「だから、地面に足がついた時に気づくの。体力の限界を。そこからはもう、戦えなくなってしまう。これが、過信」


 強いと思っていても、どこかには穴がある。

 空を飛べるからと言って強いわけではない。


「だからリヒトちゃんも、もし飛べるようになったとしても、過信し過ぎないでね」

「わ、わかりました」


 まぁ、まだ飛べないんですけどね!!

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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