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本当に優しい方なのかなぁ。

「絶対に無理ですよー!!」

「罪を犯したのは誰ですか?」

「エトワールと言う女です」

「行動したのは二人だもーん」


 私が嫌だと喚き、理事長先生が諭す。

 ビジョンさんは震えながらもエトワールさんを睨み、当の本人は余裕そうに鼻歌を歌っていた。


「俺が一番の巻き込まれだわ」

「す、すいません……」


 キロンニス先生は本当に、あの、お疲れ様です。

 一度、私達の行動を見逃しただけで、SSSダンジョンに挑むことになるとは……。


 いや、正確にはSSSダンジョンではない。

 酷似した試練に挑むことになった。


 エトワールさんが言い出したことなのに……。

 何で私達まで試練をクリアしないといけないんだよぉ。


「今まで受けてきた授業を活かせば簡単にクリアできますよ」

「授業を受けて来ただけでSSSダンジョンをクリアできるのであれば苦労しませんよ……」

「何か言いましたか、ビジョンさん」

「なんでもありません!!」


 ビジョンさんって、時々毒を吐くよね。

 怯えているのに毒を吐くのって、戦闘中のビジョンさんが本来で、今は猫をかぶっている感じ?


 でも、猫をかぶっているような感じではなく、本気で怖がっている気もする。


「はぁ……」


 流石に、もうここまで来たら付いて行くしかないし、頑張ろう。


 今回はキロンニス先生もいるし、SSSダンジョンに酷似しているとなると危険がいっぱい。

 エトワールさんも動かざる得ないはず。


 だから、大丈夫。


 普段がふざけていても、実際は強いし頼りになる。

 …………そう言えば、そんな人が、もう一人いるなぁ。


 なんで、強い人は普段いい加減なんだろう。

 わからない。気を抜いているのかなぁ。


 そんなことを考えていると、理事長先生が足を止めた。


「ここを潜ります」

「ここって、トンネル?」


 学園内を歩いていると、奥の奥まで来た。

 すると、どこに繋がるのかわからないトンネルのような大きな穴が現れた。


 異世界へ繋がっていそうな雰囲気で、少し怖い。


 理事長先生とキロンニス先生、エトワールさんは普通に進んで行くけど、私とビジョンさんは進めない。


 だって、空気が怖いし、暗い。

 灯りがない。


「ビジョンさん、灯りって作れますか?」

「出来るけど、多分意味ないよ。この暗さは、単純な暗さじゃないと思うから」

「やっぱり、そうですよね……」


 でも、このままここにいれば、エトワールさん達が見えなくなってしまう。

 覚悟を決めて足を踏み入れないと!!


 って、改めて前を見たら三人の姿がない!!


「ビジョンさん!! このまま遅れたら道に迷います!! 早く行きましょう!!」

「えっ」


 ビジョンさんの手を掴み、中へと足を踏み入れた。

 衝撃に備え目を閉じ進むと、空気の質が変わって目を開けてしまった。


 瞬間、驚く光景に思わず息を飲み、歓喜の声を上げてしまった。


「す、すごい!!! 宝石が浮かんでる!?」


 中には、ダンジョンの最奥のような。

 財宝が置かれているような光景が広がっていた。


 上を見上げれば、アメジストやサファイヤに似た魔石が壁に埋め込まれていたり、重力に逆らい浮かんでいる。


 足場のような岩? も浮かんでいて、いくつもの先に続かない扉がある。

 ここが、SSSダンジョンに酷似している試練の場所、なの?


 ビジョンさんと唖然としていると、前から私達を呼ぶ声が聞こえた。


「リヒトちゃんー!! こっちだよ~」

「は、はーい!」


 エトワールさんの声だ。

 すぐに向かうと、崖のような所にたどり着いた。


 そこはもう、夢の世界のような光景で、思わず笑ってしまう。


「な、なにこれ!! すっごい綺麗!!」


 崖の下には、水が光に反射して溜まっており。

 中央には、噴水がある。


 綺麗な石が空中に浮かんでいるから、辺りが凄く明るい。

 幻想的な世界だ。


「――――――――あ、あれ? 噴水の中央、何か輝いてる?」


 水の反射だけではない。

 中に何かが埋め込まれている。けど、何だろう。

 予想すら出来ない。


「あれは、魔力を生成している魔石ですよ。あれがこの学校を作っているのです」

「ど、どういうことですか?」

「今まで貴方がいた魔法学校、その建物自体が魔法でできているんです」

「え!?」


 た、建物自体が魔法!?

 ど、どどどど、どういうこと!?


「この魔法学校の建物は、六属性魔法で出来ているのです。あの魔石から送られる魔力によって形を保っているのですが、仮にあの魔石がここから抜け出てしまえば、この魔法学校は崩れてしまいます」


 そ、そんなことがあるんだ。

 流石に知らなかった。


「そうなんだ。でも、良かったの? そんな大事なことを私達に伝えちゃって」


 エトワールさんが理事長先生を試すように言い放つ。

 そ、そんなこと聞いて大丈夫、なの?


「問題ありませんよ。貴方達は馬鹿が付く程に素直です。それに、悪意がありません。放つ魔法は全てが純粋で、綺麗。私はそんな貴方達だからここまで連れて来たのですよ。強くなってほしい、死んでほしくない。ただ、それだけです」


 っ、理事長先生。

 やっぱり、リーさんとスーさんの言っていた感じじゃない。

 もっといい人だ。


 ルールとかはさすがに厳しすぎるけど、それ以外は人間味があって人を思える優しい方だ。


「では、試練を受けていただきますよ。これから貴方達には、地獄を見ていただきます」

「…………はい」


 優しい方、なんだよね??

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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