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私だけ置いてけぼりは悲しいです!!

 理事長先生に付いて行くと、洞窟の壁側に階段が現れた。

 その階段を上ると、一つの扉にたどり着く。


「ここが、貴方達が受ける試練の扉です。準備はいいですか?」

「いいですよー!」

「良くない良くない良くない」


 エトワールさんとビジョンさんの反応が対照的で少し笑ってしまう。

 けど、私も良くない側です。


 だって、SSSダンジョンでしょ??

 SSSダンジョンはさすがに今まで入ったことはないはず。


 自分よりランクの高いダンジョンには何回か入ったけど、それでもSSSダンジョンはなかった。


 死んじゃうかもしれないと思うと、流石に怖い。


 杖を握りながら震えていると、キロンニス先生が顔を覗き込んできた。


「っ、え?」

「お前、本当に自分に自信がないんだな」

「ま、まぁ……。私なんかより強い人は沢山居ますし、特別な力を持っていると聞いても、それを扱えていないんじゃ、持っていないのと一緒なので……」


 言うと、キロンニス先生は「ふーん」と言って、離れた。


「そんなことを言っていても、今回の試練の扉を潜り抜けないと前には進めねぇし、強くもなれねぇぞ」

「そ、そうですが……」


 そう、なんだけど、怖いものは怖いんだもん!!


「リヒトちゃん! 行くよー!!」

「え!? あっ……」


 ビジョンさんの頭にたんこぶできてる。

 まさか、エトワールさんが??


「早く行こうよ~。私、凄く気になっているんだよね〜」

「なんでそんなにワクワクしているんですか。SSSダンジョンですよ?」

「私、SSSダンジョンをクリアしたパーティーにいたんだよ?」

「そうでした……」


 エトワールさんは今、普通の顔して私達と一緒にいるけど、年齢的にはもう何百になるんじゃない?


 だって、カケル=ルーナさんと一緒に冒険していた冒険者だし。

 唯一SSSダンジョンをクリアしたパーティーだと聞いている。


「……あの、エトワールさんは、今回も手を出さないんですか?」


 それが一番怖い。

 だって、今まで手を貸さないで私とビジョンさんに戦わせていたわけだし……。


 まさか今回も私達を成長させようとして、わざと手を貸さない可能性がある。


「さすがに今回は私も手を貸すよ。今まではビジョンとリヒトちゃんがいれば何とかなるって確信が持てていたけど、今回はそうもいかない。本当にSSSダンジョンに酷似しているのなら、今の二人でクリアは無理だよ」


 安心する言葉なはずなのに、ビジョンさんが怒りだしてしまった。

 いつの間にかビジョンさんを呼び捨てにしているし……。


「でも、安心だけはしないでね」

「え、なんでですか? SSSダンジョンをクリアしたことがあるエトワールさんが手を貸してくださるのであれば、勝てるのでは?」

「さすがに私一人では無理だよ。まぁ、本物のSSSダンジョンよりかは緩いとは思うけど、私でも何度も死にかけたもん。カケルの力があってこそのダンジョンクリアだったし、何があるかわからないよ?」


 うっそ。


 そ、そうか。エトワールさんの魔法はどちらかと言うと、サポート型。


 カケルさんがどんな魔法を得意としていたか分からないけど、多分アルカと同じ前衛だったと思う。


 そう言えば、今考えてみると前衛で動けるのって、ビジョンさんくらいじゃない?

 私は今までサポートばかりして来たし、エトワールさんの魔法もサポート向けだし。


 でも、使い方次第では怖い魔法にもなるみたいだから、まぁ……。


「リヒトちゃんは気づいたみたいだけど、今回はビジョン、貴方が今回前衛で戦わないといけないわ。頑張って」


 エトワールさんが肩をポンッと叩き、ビジョンさんに言うと、顔が真っ青になってしまった。


「早く髪を結んで?」

「言われなくても……。だけど、死なない、よな??」

「それはあなた次第じゃない」

「…………」


 ビジョンさん、本当に怖がってる。

 私も怖いから、気持ちがわかる。


 任せたって言われた時や、頑張ってって言われると、緊張してしまう。

 怖いと思ってしまう、私なんかがって、思ってしまう。


 ビジョンさん、今、そんな感じなんじゃないかな。


「…………ビジョンさん、大丈夫です」

「大丈夫って……」

「絶対に私達がサポートします。自分が信じられなくなった時は、私達を信じてください。必ず、できる限りのサポートはします」


 言うと、ビジョンさんの震えが少しだけ落ち着いて来た気がする。


「…………頼りにしてる」

「私も頑張りますね!!」


 できることは少ないですけど!!

 ──って、ビジョンさんの顔、少し赤い??


「ビジョンさん、顔赤くないですか?」

「なんでもねぇよ!! ほら、行くぞ!!」

「え、は、はい!!」


 い、いきなりやる気を出したみたい?

 やる気になってくれたのは嬉しいけど、なんか、誤魔化された、の、かな?


「ふふっ、青春だねぇ~」

「なんの話ですか?」

「なんでもないわ。さぁ、私達も行きましょう」


 わ、私だけが置いてけぼりになっているみたいですよー!!

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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