自分を信じている人を信じることならできる!
普通に怖い話だったけど、ビジョンさんの言いたいことはわかった。
つまり、鎖で引きちぎれってことだよね。
普通に怖いんだけど。
なんか、内臓とか飛び散らないよね??
いや、その前に、また鎖魔法で捕まえられるかどうかもわからない。
さっきも、何とか片方の翼を捕まえられたけと、前身は無理だった。
それなのに、また捕まえて引きちぎる……。
レベルが高すぎるよぉ~。
「来るぞ! 油断するな!」
「っ!!」
ビジョンさんの声で我に返り、魔獣が飛んできていることに気づく。
すぐに走り出し、避けられた。
けど、一瞬ぁら打がフワッと浮いた気がする。
完全に避けきれなかったの?
「なんか、さっきよりスピードあがってない??」
「最初は様子見していたんだろう。今は、本気で俺達を殺そうとしてんだろうよ」
「そんなぁ……」
さっきまででもう危険だったのに、今からが本気ってこと!?
――――キュイィィィィイイイイイイイイ!!
「怖い怖い怖い!!」
「怖がってねぇで、鎖魔法の準備をしろ!」
「そんなこと言われても!!」
うわっ!! 飛んできた。
走って避けるけど、風圧で吹っ飛ばされた。
「ぐっ!!」
しっかりと足で着地し、見上げる。
明らかに、最初とは比べられないほどにスピードが上がっている。
避けきる事すら出来なくなってきた。
「リヒトちゃん。自分を信じて」
「エトワールさん…………」
そんなことを言うけど、私は結局弱い。
一人では絶対に戦えない。
そんな私を、私が信じるなんて、そんなこと出来るわけがない。
「知里さんの役に立ちたいのでしょー? 強くなりたいのでしょー? そのためには、まず自分を信じること! 信じられないのなら、私を信じて!」
エトワールさんを、信じる?
「リヒトちゃんは戦えるよ!!」
…………満面な笑みを浮かべて、よくわからないことを言わないでください。
でも、自分を信じられないのなら、私ならできると思ってくれているエトワールさんを信じる、か。
カガミヤさんも言っていたな、そういえば。
人ができると言っているから出来るんだと。
カガミヤさんって、人をあんまり信じなさそうなのに、そんなことを言って。
本当にできてしまうんだから、すごい。
「…………ありがとうございます、エトワールさん」
私は強くならないといけない。
強くなる、なるの!!
最近は自分に言い聞かせることが多いなぁ、たはは。
高く飛んでいる魔獣。
今は、私達の動きを観察している。
動き出したら、たぶん魔獣も動き出す。
今、私達ができる魔法は、鎖魔法と水魔法。ビジョンさんは、炎魔法と幻影魔法。
それでできること。戦い方を、考えないと。
「――――ビジョンさん。足場があれば、高く飛んでいる魔獣を誘導できますか?」
聞くと、ビジョンさんは悩みながらも小さく頷いた。
「でしたら、私が鎖で足場を作ります。それを使い、魔獣の誘導をお願いします。道は、私が作ります」
「なにか、考えがあるんだな」
「はい。うまくできるかはわかりませんが、やってみたいです」
「わかった。リヒトを信じよう」
「ありがとうございます」
信じてくれた、それだけでも嬉しい。
「それじゃ、いきますね。――――chain!!」
魔獣の周りに鎖を張り巡らせる。
それに反応し、大きな鳴き声を出す魔獣。
ビジョンさんは臆することはせず、鎖に飛び乗った。
「そのまま左に誘導してください!!」
鎖に飛び乗り、魔獣の周りを飛んでいるビジョンさんに叫ぶ。
反応はないけど、動き方が変わった。
魔獣は鎖から抜け出そうともがきながらも、ビジョンさんから距離をとる動きを見せる。
その先に、ビジョンさんの足場用の鎖と、もう一つ。鎖の形状を変えて道を作る。
円を描くように鎖を操作し、ビジョンさんの道を通る。
円を潜るように魔獣が通る。
その一本道である鎖は、徐々に狭くなる。
ビジョンさんが追い込めているし、私の鎖で道は制限されている。
さぁ、追い込まれなさい。鎖の罠へと。
――――キュイィィィィイイイイイイイ!!
叫んでも、無駄。
「――――いまだ!!」
「はい!! chain!!」
円を描いてた鎖で、魔獣を捕らえた。
――――キュイィィィィィイイイイイイイ!!!
腕が引っ張られる!!
けど、大丈夫!
「phantasm」
ビジョンさんの幻影魔法。
少ししか動きを止められないけど、その数秒で問題はない!!
「魔獣だから、人間じゃないから。モンスターだからぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
鎖で四方に魔法を引っ張る。
引きちぎる勢いで!!
私は怖いから、背中を向ける。
だって、グロとか苦手なんだもん!!
「いっけぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!」
――――キュイィィィィイイイイイイイイ!!
――――グシャ!!!!!
ひっ!!
い、嫌な音が聞えた!!
「魔獣が、霧散した」
「え?」
ビジョンさんが私の隣に移動してきた。
唖然と、後ろを見ている。
私も、勇気をもって振り向くと、黒い霧が漂うだけだった。
鷹だった痕跡すら残ってない。
「か、勝ったの?」
「だと、思うが…………」
「よ、よかっ――……」
「リヒト!?」
そこから私の記憶は途絶えてしまいました。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ




