絶対に捕まえてやる
まさか、私とビジョンさん二人で倒さないといけなくなるとは思わなかった。
キロンニス先生が自分が行くと言ってもエトワールさんが引かなかったし、時間もないから、結局キロンニス先生が負けてしまった。
「はぁ、なんでこうなるんだよ」
「でも、危険な時は助けてもらえるみたいだから、大丈夫だよ!」
後ろを見ると、エトワールさんは笑っているだけ。
キロンニス先生は、不安そうに腕を組んで私達を見ている。
不安そうにしているのなら助けてくださいよ。
私、この圧だけで正直行きたくないです。
管理者と戦うよりかは何倍もマシですが……。
「はぁ、カガミヤさん。助けてください……」
「ん? カガミヤ? 誰だ、それ」
あっ、口に出してしまったらしいです。
「カガミヤさんは、私達の仲間ですよ。凄く強くて私達を引っ張ってくれるんですよ。お金にがめつい所が傷ですが…………」
今、カガミヤさんは何をしているんだろう。
通帳見てベッドの上で転がっている姿しか想像できないなぁ。
そんな事を考えていると、ビジョンさんが顔を覗き込んできた。
な、なんだろう。
「なんか、カガミヤという奴の話をしている時のリヒトさんって、表情が結構緩んでいるね」
「へ?? そ、そそそそそ、そんなことないと思うよ??」
び、びっくりした。
私、そんなに顔が緩んでいたかな。
今は気を引き締めないといけないのに、緩んでどうするの私!!
頬をもんでいると、ビジョンさんが目を細めて「そっか」と、呟く。
すると、手首に付けていたゴムで髪を結び始めた。
「なら、今回は僕が守るよ。カガミヤという奴がどんだけ強いかはわからないけど」
「え? う、うん。って、わ、私も戦うから大丈夫だよ!」
急にどうしたの?
私も戦うよぉ~。
髪を結ぶと、ビジョンさんの空気が豹変する。
口角や目尻がつり上がる。
「んじゃ、始めんぞ!!」
「は、はい!!」
出た!! 裏のビジョンさん!!
気合を入れて、体育館の扉をビジョンさんが勢いよく開けた。
警戒しながら入ると、中には予想通りの大きな動物が天井を覆い隠すように翼を広げ飛んでいた。
「あ、あれって、鷹!?」
全身黒色だから一瞬鴉に見えたけど、多分シルエット的に鷹だ。
黒い瞳が私達を見据えた。
「…………っ!!!!」
「おっも!!」
体が、重たい。
さっきまでも圧は感じていた。けど、こんなに重くはなかった。
今は、立っているのもやっとだ。
管理者とはまた違う圧。怖い。
でも、戦わないと。
しっかりと足を踏みしめると、ビジョンさんも魔法を出す準備を整えていた。
まず、私が鷹をchainで拘束して、次にビジョンさんが炎魔法で燃やす。
まずはこの流れでやってみよ。
「――――chain!!」
鷹は空中を飛んでいる。
地面からのchainだけでは絶対に捕まえられない。
だから、天井や壁からも出した。
――――キュイーーーーーン!!
大きな翼を羽ばたかせ、chainから逃げるように飛び出した。
でも、私のchainからはそう簡単には逃げられないよ。
「逃がさないよ!!」
chainを伸ばし、追いかける。
体は大きいから、追いつきさえすれば捕まえられる!
――――けど。
「っ!! 風が…………」
翼を羽ばたかせるたびに、風圧が襲い掛かる。
体が後ろに流れる、立っているだけでも一苦労だ。
それでも、魔力に集中しないといけない。
あの魔獣を捕まえなければならない。
私が、捕まえるのよ!!
「絶対に諦めない。私、諦めないんだから!!」
床を踏みしめ、耐えながら魔力に集中。
風圧になんて負けない。
――――フワッ
「っ!! しまった!!」
体が浮いてしまった。
風に流れてしまう!!
やばい、集中が途切れる!!
――――ガシッ
「っ!!」
「集中を切らすなよ!!」
私の腰をビジョンさんが支えてくれた。
足が地に付いた。
「あ、ありがとうございます」
「いいから、早く魔法に集中し直せ! 鎖が揺れ始めたぞ!!」
あっ、鎖が……。
再度魔力に集中する。
鎖は、徐々に勢いを増し鷹を追いかける。
また、風圧で体が浮きそうになってしまうけど、今はビジョンさんが支えてくれているから大丈夫。
魔獣に、集中出来る。
「――――行け」
魔力を杖に込め、鎖の量を増やし魔獣を追いかける。
追いかけ続ける。けど、それだけじゃ駄目っぽい。
それなら、前からも!!
後ろからで駄目なら魔獣が向かう壁、前からも鎖を出す。
流石にすぐに上へと避けたけど。天井からも鎖を出して、全方位から出した。
「――――捕まえた!!」
片方の翼を捕まえた。
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