ここでまさか、管理者??
次の日の授業は、あまり集中できなかった。
昨日の夜の出来事が頭をよぎって、イメージが大事な魔法を出せなかった。
「はぁ……」
結局、昨日私は何も出来なかった。
エトワールさんがいなければ、私は確実に昨日の魔獣に殺されていた。
足は動いたし、戦える精神状態だった。
単純に技術不足を痛感した。
だから、今回の授業で気合を入れて、もっと強くなれるようにと思ったんだけど。
「いやいや、ここで落ち込んでいても仕方がない。まだ授業は終わってないんだから」
今は、昨日の続きの石を浮かべる授業。教師は、キロンニス先生。
だから、なんとなく気が軽い。頑張るぞ。
「よし!!」
石に魔力を送り、浮かべるイメージ。
しっかりと、イメージ、イメージ、イメージ……。
「…………おい」
「は、はい」
「今日は魔力が乱れているぞ。それだと、できるもんもできん。どうした?」
え、魔力、乱れていたんだ。
わからなかった。
でも、どうしたのかって、先生ならなんとなくわかるのでは?
今日、寮の人からも話が言っているはずだし。
「昨日の魔獣の件です。さすがにびっくりしましたよ」
「魔獣?」
「え、キロンニス先生は知らなかったんですか? 先生達が生徒を試すために魔獣を放ったのではないのですか?」
「――――っ! 今日の授業はここまでにする!! おめぇらは今すぐに教室にもどれ!」
え?
「リヒト、お前は今すぐに詐欺魔法使いに連絡を入れろ。そして、すぐに合流しろ!!」
「え??」
え? 行ってしまった。
…………………………………………え??
※
詐欺魔法使いって、多分エトワールさんのことだよね?
詐欺って、まぁ、詐欺まがいなことをしているから言われても仕方がないか。
って、待って?
それ、もうエトワールさんの実力とかばれているってこと?
それは、結構まずいのでは?
いや、実力だけなら問題は――って、今はそんなことを考えている場合ではないか。
エトワールさんと合流しろと言われたけど、今授業中では?
ひとまず、エトワールさんのいる教室には来たけど、いるかなぁ?
ドアに耳をよせっ――――
『ちょっと!! エトワールさん!? どこに行くんですか!?』
――――ガラッ
「え?」
「はぁい。こんいちは、リヒトちゃん。どうしたの?」
「え、えぇっと…………」
教室内の空気、凍り付いていません?
大丈夫?
「リヒトさん? なぜ貴方がここにいるのですか? 今はキロンニス先生の授業中でしょ? まさか、逃げてきたのかしら?」
「い、いえ。あの、キロンニス先生に、エトワールさんと合流してくださいと指示を受けて…………」
「はい? そんな話、私は一切聞いておりませんが?」
「今さっき、言われたので…………」
「そんなこと…………」
女性の先生が困惑していると、放送が始まるチャイムが鳴り響いた。
『お知らせいたします。学校内にいる教師全員、至急、職員室に来てください。繰り返します――』
いきなり鳴り響く放送。
女性教師は驚きつつも、私達を一瞥し職員室へと向かった。
「どうしたの?」
「あ、ビジョンさん。あの、昨日の夜に魔獣が部屋に来ませんでしたか?」
聞くと、ビジョンさんは「え?」と、困惑しながらエトワールさんを見た。
「その顔、他の部屋にはいかなかったみたいね。強くもなかったし、すぐに倒せたから教師陣からの試験だと思ったのだけれど、そうとも思えない気配……」
エトワールさんが顎に手を当て考え込む。
確かに、今の放送も不自然だ。
私が話した後に急に慌ただしくなってしまった。
絶対に、教師陣からの試験じゃないよね。
どうなっているの?
まさか、侵入者? でも、ここには強い魔法使いが沢山居る。
生半端な気持ちで侵入なんて絶対に出来ないはず。
それこそ、エトワールさんみたいに周りを欺けるような人じゃないと……。
「それにしても、なんでキロンニス先生はリヒトさんをエトワールさんと合流させたんだろう」
「狙いがリヒトちゃんの可能性があるからじゃないかな」
「え? でも、同じ部屋のエトワールさんが狙われている可能性もあるんじゃないんのか?」
「それはない。私を狙うなんて、命がいくつあっても足りないわよ。――――管理者以外だったらのお話だけれどね」
…………まさか、今回の魔獣、管理者が動いているの??
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