馬鹿じゃねぇもん……
「はぁ、はぁ……。おかしい、おかしいっすよ……」
? 何がおかしいんだ?
また、俺はソフィアに対して魔法を放ってしまったから、罰ゲームであるアンキの練習台となり、頭にリンゴを乗せているんだが……。
なんか、急にアンキが膝に手をついて項垂れながらブツブツと呟き始めた。
「なんで、なんで……。なんで修行相手の俺っちが疲れて、修行主は疲れてないんすか!!!」
「そんなこと、言われても……」
アンキが疲れているのは目に見えてわかるが、それを俺に言われてもなぁ……。
「アンキの体力がないのか、茶髪が化け物なのかだな」
「なんか、納得できないっす……。俺っちの体力だって、ソフィアさんと共に行動できるくらいには鍛えてるっすよ? それ以上って……。それこそソフィアさん並みの化け物じゃないっすか?」
なんか、二人にじろじろ見られる。
緊張するぞ、何を言われるんだ、俺。
「おい、服を脱げ」
「…………え?」
ふ、服を脱げ!? な、なんでだ!?
今から海水浴か? お風呂か?
な、なんでだ!?
「上半身だけで構わん。早くしろ」
「お、おっす……」
な、なんで上半身だけ?
まぁ、上半身だけならここで脱いでもいいか。
剣を木に立てかけ、服を脱ぎ始める。
じぃ~っと見られている中で脱ぐのって、なんか、緊張するなぁ。
上半身だけを脱ぐと、アンキは唖然としてしまった。
「あ、あれ? アルカって、いくつっすか? 見た感じ、俺っちより年下っすよね? もちろん、ソフィアさんとも」
「二人はいくつなんだ?」
二人の年齢がわからん以上、そんな聞き方されても答えられないぞ。
「ソフィアさんは三十六歳だったはずっすよ。ちなみに俺っちは十六っす」
「あっ、アンキよりは年上だぞ――って、十六!? 十六で、あんな大きい鉄球をぶん投げてたのか!?」
あ、有り得ねぇ……。
本当に、十六? まじで?
「年齢に鉄球は関係ないと思うっすよ。それにしても、年上だったんすねぇ。普通に十四辺りかと思ってたっす。馬鹿だから」
「ぐっ!!」
そ、そんなはっきりと笑顔で言わなくてもいいじゃねぇかよ。
確かに、頭を使うのは苦手だが、まさか年下にそんなことを言われると悔しいぞ……。
もっと、勉強頑張るか。
でも、なぁ。モンスターを調べることは楽しいから飽きないが、他のことを勉強しようとするとすぐに寝ちまう。
どうしても、勉強は苦手だ。
「…………十九辺りか」
「お、おぉ。俺は、十九だ」
ソフィアが一発で当てた。
すげぇ。俺、なんかヒント与えたっけ?
「なるほどな。年齢にしては鍛えている方だ。これだと、アンキより体力があるのも頷ける。そもそも、体の作りが年齢によって異なるしな」
「お、俺っちだって、まだまだ鍛えられるっす!!」
「体を壊したら捨てるぞ」
「…………気を付けるっす」
本当にソフィアを慕っているんだな。
今の一言だけで、すぐに引き下がった。さっきまであんなに怒っていたのに……。
「体力作りは怠っていなかったらしいな。だからこそ、お前の反射神経を最大限に活かせている」
「そう、なのか?」
「脚力がその証拠だ。常人では絶対に避けきれない攻撃も、反射神経と脚力で飛び、回避しているのを何度も見た。それは、お前の強みだ」
なんか、褒められた?
「あ、ありがとう、ございます」
「だからこそ、お前は馬鹿を治した方がいい」
「…………スイマセン」
ぐぬぬ、結局そこに行くのかよ。
というか、馬鹿を治すってなに?
もしかして、俺、勉強させられるのか?
「頭を使って戦闘しろ」
「…………??」
「これだとわからんか……。頭の中で、敵の攻撃を分析し、自分の得意分野に引きずり込むんだ。それだけでなく、相手に技を引き出させたり、次の攻撃をこっちが誘導する。そうすれば幾分かいい動きが出来るだろう」
技を、引き出す? 誘導?
引きずり……。
「ソフィアさん、アルカの頭から煙が出てるっすよ」
「…………難しいこと言ったか?」
「俺っちからしたら特に何も難しくないっすよ。いつも言われていることっすから。でも、最初はやっぱり困惑するっすよ」
ソフィアは眉を顰め、「そうか?」と、いまだにわかっていないような表情を浮かべた。
困惑と言うか、頭の中で処理が出来なくなった。
だって、誘導も引きずり出すもなにもかも、すべて戦闘が始まってから考えないといけないんだろう?
相手次第では、考えている間に殺されそうだけど……。
「ちなみに、おそらくだがおまえんとこの黒髪は無意識にやってんぞ」
「え、カガミヤが?」
確かに、やっていたか……?
……結構、チート魔力を使ってごり押ししていた感があったけど……。
「お前はおそらく、相手の土俵で戦おうとするんだ。相手に合わせた戦い方程、身を亡ぼす。引きずり落とせ、自分の土俵に」
「でも、どうやって……」
「それはこれからだ。魔法、解禁していいぞ」
「え?」
い、いいの?
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