近距離戦はやっぱり苦手だなぁ
ゴンッ!! と、大きな音が響く。けど、壊れはしない。
「さすがに魔法で作られている檻は、壊せないか」
「当たり前だろ。──壊されるかと焦った……」
大きな音が響いたし、振動が伝わって、一瞬壊されたかと錯覚してしまった。
でも、これで破られる心配はなくなった。
しっかりと作戦を立てさせてもらうぞ。
「まぁ、どうでもいいな」
「ん?」
え、なんか、弓が変形し始めた?
え、急にソフィアの腕に巻き付いた?
「これなら、壊せるな」
「待て待て待て?」
なんか、ソフィアの右腕に巻き付いた弓――じゃねぇな、機械の手、だよ、な?
ソフィアは満足そうな顔を浮かべている。
「行くぞ」
「待って!?!?」
拳を握り、ソフィアは炎の檻を殴った。
――っ、爆発!?
「ゲホッ、ゴホッ!」
くっそ! 油断した!!
「っ! 突っ込んでくるのかよ!」
魔法をはなっ――間に合わない!!
――――ピタッ
「やはり、魔導書がない方がいいんじゃないか?」
「うるせぇよ。これは、魔導書関係ないだろう」
機械の手を眼前に突きつけられてしまった。
ソフィアが本気で殺す気だったら、俺は今頃、肉片になっているだろう。
手を引くと、ソフィアの手に巻き付いた機械が弓の形に戻る。
「それ、どういう原理で動いているんだ?」
「企業秘密らしい」
「なんじゃそりゃ」
立ち上がり腰をポンポン叩いていると、エヴリンが近づいてきた。
「使い勝手はいかがでしょう?」
「悪くはない。だが、手に巻き付いた時、もう少し軽くはできないか? 動きが鈍い」
あれで動きが鈍いのでございますね。
動きに変化はなかったように感じたけど……。
弓をエヴリンに渡すと、まじまじと見始めた。
「うーん。少し改良してみますね」
「任せた」
後は二人の世界に入ってしまったから、俺は蚊帳の外。もう、いいや。
「あの、カガミヤさん」
「ん? どうした?」
「魔法を放つ時って、何を意識しているんですか?」
「…………ん?」
いきなりリヒトにそんなことを聞かれたけど、どういう意図で聞いているんだ?
普通にイメージで出しているけど?
「さっきまでの戦闘、リヒト様が一番真剣に見ていましたよ」
「グレール?」
グレールがリヒトの隣に移動してきた。
真剣に見ていたって、なんで?
「それで、色々アマリア様に聞いておりましたよ。今は何が起きたのか、魔法の切り替えを早くする方法は、とかなど。アマリア様が困るほどに聞いておりました」
チラッとアマリアの方を見ると、無表情のまま俺を見ていた。
俺の視線を感じたのか、頷く。
「へぇ、そうなんだ」
「今、放つ魔法を得意としているのはチサト様とロゼ姫なので、意見を聞こうと思っているみたいです」
「ほうほう、わかった」
リヒトの方に向き直すと、目をキラキラと輝かせ俺を見ていた。
俺の感覚で答えてもいいんだが……。
「俺はただイメージをしているだけだぞ。こんな感じに出したい、こんな感じに敵を葬り去りたいとか」
「流れるように怖いことを言わないでください」
グレールに突っ込まれたが、これは事実だから仕方がないんだよなぁ。
「イメージ。それだけですか? 本当に、それだけ?」
「魔法ってイメージが大事というじゃねぇか。それだけだぞ」
リヒトが視線を下げて、イメージ、イメージ呟いていた。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
よくわからんが、納得したらしい。
まぁ、この後は特にやることもないし、リヒトとエトワールは魔法学校に戻っていった。
俺も、宿に戻ろうかなぁ。
「グレール達はこれからどうする?」
「まだ回り切れてない場所があるので、ロゼ姫と回りたいと思っています」
グレールが答えると、ロゼ姫も頷いた。
「アルカとアマリアは?」
「俺は素振りしたいからここに残るぞ」
「僕はチサトに任せるよ」
ふーん。
ソフィア達は――気にしなくてよさそうだな。
今も二人で話しているし、アンキも近くにいて動こうとしない。
んじゃ、ここからは個々で過ごしましょうか。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ




