実態
部屋で考えていても仕方がないと思い、エトワールは諦めた。
「今は荷解きをしましょう。部屋の中をスッキリさせたら何かいい方法が──……」
────コンコン
エトワールが話していると、扉がノックされた。
誰だろうと、リヒトは困惑しながらエトワールを見た。
「先生ですかね……」
「うーん。とりあえず出ますね〜」
怖がっているリヒトとは違い、エトワールは余裕で「はーい」と、扉を開いた。
そこに立っていたのは、見覚えのある子供二人。
「こんにちは」
「あれ? 君達って、確か知里さんに助けを求めたいた双子じゃないですかぁ〜」
二人の部屋へ訪れたのは、港で知里に助けを求めていた双子。スーと、リーだった。
黄色の短髪がフードから覗き、薄茶色のぱっちり二重がエトワールを捉える。
挨拶した方は声が高いため、リーの方だと分かり、エトワールはしゃがみ目を合わせた。
「もしかしてですが、ここに来た理由は、私達に助けを求めるためですか?」
エトワールが聞くと、二人は頷いた。
やっぱりかと肩を落とすと、廊下の奥からガヤガヤと人の声が聞こえてきた。
ここで見付かっては色々と質問攻めされてめんどくさい。
エトワールは、体を横にし、二人を中へと促した。
「一先ず、中に入ってください」
エトワールに促され、二人は中に入る。
部屋の中を覗くと、まだ荷解きされていない荷物が目に入った。
「まだ、荷解き出来ていないんですね」
「今日きたので。さっきまで学校案内とかをされていたから時間が無かったんですよ〜」
リヒトは、邪魔にならないように自分の荷物を二段ベットの上に乗せた。
エトワールが二段ベットの下じゃないと嫌だと言ったため、リヒトが上の段に決まっていた。
エトワールは、自分の荷物を壁側に寄せるだけ。それでも、真ん中は空いたので話せるスペースは作れた。
円になるように座ると、リーがタイミングを見計らい話し出した。
「ここでのルールはお聞きになりましたか?」
「聞きましたよ~。事前に聞いてはいましたが、やはりやりすぎな部分はあありますね」
二人は、学校のルールが書かれている一冊の冊子を手に取り開いた。
「ありえませんよね~。魔法使いたるもの、一人で戦えるようにならなければならないなど。魔法使いは援護を得意とするはずなのに」
一人でも戦えるようにと考え、この魔法学校では一人行動を基準としている。
そのため、学校生活中は人と話をするのは禁止。教師には、質問意外受け付けない。
私語が見つかると、放課後特別授業を強制的に受けさせられてしまう。
内容は、見つけた教師によってさまざまだと説明を受けていた。
「他にも、厳しいルールはあるけれど、逆に見た目や服装などは簡単にしか記載されていない。普通は、見た目も意識するかと思うのですが」
服装は制服を着ていればどのような着方でも特に問題はなさそう。
髪も、自由。色も変えて構わない。
「この学校では、社会に出るために学ぶところではなく、あくまで魔法使いとして羽ばたかせるための学校です。なので、見た目などは特に気にしていないみたいです」
「なるほどね。それも含め、実技が多いんですかねぇ~」
「かもしれません」
座学は一日二時間程度。他は、ほとんど実技に回されていた。
知識も必要だが、魔法は大体感覚や魔力のコントロールで放つ。
魔力のコントロールは、頭で理解しても出来るものではない。
そのため、実技が多いんだろうとエトワールは考えていた。
「実技でも、めんどくさいルールがありますよね~」
「はい。必ず課題が残され、時間以内にクリアできなければ補習。けれど、補習が三回続くと退学」
これは、センスがないとみなされ退学にされるんだろうと、エトワールは思い隣にいるリヒトを見た。
不安そうに眉を下げている。
三回ならまだ猶予はあると考えられるが、逆に三回しかないということにもなる。
「…………ここ、一つ気になるのですが、聞いてもいいですかぁ~?」
「なんでしょうか?」
「三回続けてと書かれていますが、一回でも補習を免れれば回数はリセットされるのでしょか?」
「されますよ」
リーからの返答に、エトワールは安堵の息を吐いた。
「それなら、まだ良かったです」
「ですが、一度でも補習になれば、目を付けられてしまいます」
「監視が厳しくなるという事ですか?」
「はい。それと、追い込まれてしまうんです」
「追い込まれる?」
もう、ルールだけで追い込まれているような気もするのだがと思いつつ、首を傾げエトワールは問いかけた。
「はい。言葉で追い込み、精神を削りに来るのです。それで病んでやめた方もたくさんいると聞きました」
「なんでそんなことに?」
教師が生徒を責める事なんてあってはならない。
なぜ、そんな事態になってしまったのか。
エトワールは眉間に皺を寄せた。
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