咄嗟に新しい技を出せるのって才能じゃね?
上空に逃げたが、いつまでも追いかけてくる影。どうにかしないとずっと追いかけてくるな、あれ……。
「っ、影だもんなぁ」
枝分かれした影が、俺の逃げ道を塞いでくる。
急降下して避けるが、地面からも新たに影が現れるからまた上がるしかない。
「――――影なら、光に弱いだろ」
い今も、太陽の光で少し薄いし。
「flamaArrow!!」
地面に向けて、炎の弓矢を全力で発射。
炎の弓矢を避けるように影がのけぞり、俺から離れる。
完全に消えない、か。
魔法を放っている主をどうにかしないとだめらしいな。
ビジョンを見ると、っ、殺気!!
「Thunder!!」
っ、雷!?
「tuul!!」
風の、基本魔法? 俺を狙って……ない?
「――――acqua」
三つの属性魔法を放った、だと?
って、これって……。
「~~~~嵐の出来上がり!! じゃねぇのよバカヤロー!!」
雷、風、水。
嵐の中に突っ込まれた気分だ。
いや、気分というより、嵐を模倣しているんだろうな。
風で身動きとりにくいし、水で視界が遮られる。
雷は、何処から襲ってくるかわからないから気配を感じ取り続けなければならない。
少しでも油断すると、雷によってダメージを食らう。
これ、結構やばい魔法の組み合わせだな。
「属性違いの魔法なら同時に放てるとはいえ、限度があるだろ、これ」
くっそ、身動きは取りにくいし、視界は遮られるし。
雷は動きを制限してくるし!!
「――――俺、めんどくさいこと、嫌いなんだわ…………」
「っ、え?」
ここまで大きな魔法を放たれたんだから、こっちも大技を放ってもいいはず。
魔導書を活かしていきたいが、仕方がない。
今の俺なら、魔導書を使わなくても魔法を放てる。
パタンと、魔導書を閉じる。
「|Dragonflame!!」
俺のとっておき魔法、炎の竜。
水だから相性的には悪いが、魔力量で押し通してやるよ。
「――――行け」
放つと、嵐を突き進み、ビジョンにを食らう。
「ちっ!!」
「っ!? な、なにで、防いでいるんだ?」
嵐が消えた。
すべての魔法を消して、見えない膜で|Dragonflameを防いでいる。
「――魔力が、凝縮されている?」
どういうことだ?
「なんだ、お前知らないのか?」
っ、下からキロンニスの声。
「魔力は、前に集中すれば見えない防御壁を作り出すことが出来るんだ。何も、魔法を放たなければならないものではない」
俺の心境を読んだタイミングでの解説だな、ありがとうございます。
「…………なら、魔力をもっと、込めてやるよ」
「ぐっ!!」
もっと込めると、苦しげな声が聞えた。
どんな魔法でも、魔力をそのまま使っていようと、魔力量には勝てないだろ!
魔法の押し合い、これなら俺は絶対に負けるわけが――……
「なんでだよ!!」
背後で影が動いていた。
魔法を放つのに集中していたせいですぐに避けられない。
「あっ」
魔力を、前に――……
――――ガキンッ!!!
「なんだと!?」
ビジョンが驚きの声を上げる。
俺も、正直驚いた。だって、まさか意識しただけでできるなんて思わなかったもん。
「これが、魔力の凝縮ガード魔法。一発でできるとは思っていなかったが、ラッキー」
後ろに魔力を凝縮する意識をすると、見えない壁がビジョンの影魔法? を防いだ。
でも、このガード魔法、魔力本体を使っているからなのか、相当吸われている。
「早く何とかしないと、魔力切れになっちまうが…………」
俺より、絶対にビジョンの方が魔力切れは早いはず。それを狙うか。
「――――面白れぇ、本当に。やっぱり、強い奴との戦いは、面白いなぁ!!」
っ! 魔力が籠められる。
これだと、すぐに魔力が切れるぞ!?
「phantasm!!」
っ、さっきの影魔法は、俺が防いだ。
まさか、同じ魔法で太刀打ちしてこようとしているのか?
「――――えっ、上から、影?」
――――影の、ドラゴン?
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