エトワールの行動が本当に読めない
ロゼ姫が決めた会場に行くと、魚料理がメインのお店だった。
港が近くにある分、やっぱり魚介類は強いみたいだな。
ロゼ姫を先頭に中に入ると、予約していたらしく、直ぐに席へと案内された。
「では、何かございましたらテーブルにございますベルでお呼びください」
それだけ言うと、店員は扉を閉めて居なくなった。
今、大部屋にいるのは、俺とアマリアとアルカとリヒト。エトワールとロゼ姫とグレールとアクア──と、何故かビジョン。
「なんか、一人増えてねぇーか?」
メニュー表を渡しながら言うと、エトワールが手を挙げ「私が誘いました」と言ってきた。
「ビジョンさんも無事に合格したと聞いたので。それなら、一緒にお祝いをしようと思ったのです!!」
「その気持ちは分かるが、せめて相談してからにしような?」
「分かりました!!」
絶対に分かってないだろ、お前。
また同じことを繰り返すだろうな。そこまで迷惑じゃないからいいんだけど……。
「ビジョンさんも合格出来て良かったです! お互い、頑張りましょうね!」
「は、はい。あり、がとうございます。り、りりりり、リヒトさんももも、ご、うかく、おめでとうございます……」
「ありがとうございます!!」
ナチュラルにリヒトの隣にビジョンが座っている。
ちなみに、俺の右にはアマリア、左にはリヒトがいる。
その、アマリアの隣にはアクアと続き、みな自由に席に着いていた。
そこからメニュー表に乗っている食べ物を頼み、ジュースを飲み、ワイワイと合格祝いが始まった。
盛り上がってよかったよ。
…………ところで、この料金は誰が払うの?
※
「まさか、俺が払う羽目になるなんて……」
ロゼ姫が当たり前のように俺に払うよう強要してきやがった。
理由「貴方が持っているお金は、皆で命をかけて集めたお金ですよね?」とのこと。
確かに、そう、だけど。
そうだけどさ、俺の意思全無視は無いだろぉ……。
俺だって頑張ってんだからよぉ。
まぁ、払ってからこんなことを考えても仕方が無いし、今はもういいよ……。
はぁぁぁああ、めっちゃ高かった……。
「それじゃ、編入生の準備をしないとね!」
エトワールが急に明るい口調でそんなことを言ってきた。
なに、編入生の準備って。
なんだろうと思っていると、リヒトとビジョンの手を掴んだ。
ニコニコと笑っているエトワールを見て、二人は「「え?」」と、目を丸くする。
どうしたんだろうと思っていると、エトワールが言った。
「模擬戦しましょー!!」
「「え??」」
※
ツムリア帝国は、魔法に特化した国。
そんなところだから、しっかりとした設備があった。
――――と、いうか、魔法学校の敷地内だけど、勝手に入ってもいいのか?
あっ、キロンニス発見。
教師だし、魔法学校にいても不思議はないか……。
「キロンニスせんせーい」
「おっ、来たな。年齢不詳女」
「夢魔法放ってもいいですか~?」
「俺と模擬戦するならいいぞー」
「お断りしますー!」
そんな会話をしている後ろで、リヒトとビジョンは肩を落としげんなりとした表情を浮かべている。
そりゃ、そうだよな。
だって、半分無理やり連れてこられたんだから。
「パーティーの後にこれは……。さすがにきつくはないのでしょうか」
「きついと思うぞ。けど、エトワールにも何か考えがあるだろうし、少し様子を見よう」
ビジョンの実力を知りたいし、模擬戦は一番早く知ることが出来る。
それに、見たい。エトワールの戦いを。
夢魔法でどうやって一対一をするのか。
やっぱり、相手を夢の中に入れ込むような手順で行うのかな。
「それじゃ、まず知里さん、お願いします!」
「――――え?」
「あと、ビジョンさん、お願いします」
「はぁ?」
思わずビジョンを見ると、目が合った。
お互い、同じ顔しているんだろうな。あほ面を。
「なんで、俺? お前じゃないのか?」
「私は攻撃魔法を持っていないので、ビジョンさんと戦闘を行えば必ず負けます。それに、楽しくもなんともないと思いますので、知里さんが行った方がタメになりますよ」
「そんなこと言われても…………」
「それに、新しい魔導書を試したくはないですか? ビジョンさんは遠慮のいらない相手だと思いますし、なにかあれば責任はキロンニス先生にぶん投げられます」
キロンニスが「おい」と、苦笑いを浮かべているけど、いいのか?
「だから、知里さんにとっても、今回の模擬戦はためになるかと思いますよ」
めっちゃ笑顔を向けてくるエトワール。
これは、もうリヒトは諦めるしかないな。
これからの学校生活、絶対に苦労するぞ。
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