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めんどくさいが、たまにならいいか

「――――ったくよぉ。怪しい奴らが学校を覗いているから気になって見に来ただけなのによぉ」

「確かに俺達も怪しい動きしてたわ」

「だろ」


 客観的に見たら、俺達の方が怪しい人物だった。

 そこは反省し、今は別の場所に移動した。


 場所は、学校を囲う小さな森の中。

 木に背中を預けている金髪の名前は、キロンニス。学校の教師らしい。


 ヤンキーかと思ったら、教師って……。

 この見た目で教師が務まるのか、世も末だな。


「んで、お前らは何でこんな所にいた? 何をしていた?」

「学校を覗いていました」

「もっとなにか、言い訳はないのか?」


 素直も何も、目撃されているんだから仕方がないだろ。

 他になんて言えばいいんだよ。


「んー、覗いてはいたけど、特に何も企んではないぞ」

「なら、なんで覗いていたんだ?」

「人影を追いかけて、たどり着いたのがあそこだった」

「人影、だと?」


 あ、険しい顔を浮かべた。


「最初は暇つぶしに追いかけてたんだが、理事長だとわかってビビったぞ。なんで、こんな時間に学校になんて~って、思ってさ」


 言うと、「ふーん」と、何故かキロンニスが考え込む。

 まだ、疑われているのか、俺。


「なぜ、クインがこんな時間に……。それに、一人で」


 なんか、ブツブツ言ってる。

 内容的に、俺達を怪しんでいるわけではなさそう。


 それは良かったけど、何をそこまで深く考えているんだ?

 普通に、眠れなくて外出していたんじゃないのか? 


「…………まぁ、いいわ。貴重な情報をくれた代わりに、今回のついては黙っといてやるよ」

「それは良かったが、お前は結局なんでこんな夜に外にいたんだ?」


 聞くと、キロンニスはポケットから一つの白い箱を取りだした。


「へー、一服ねぇ~」

「ないと調子が出ねぇーんだよ」

「ヘビースモーカーって奴だな」

「お前も吸うか?」


 一本出し、渡してくる。

 素直に受けとり、flame(フレイム)で火をつける。


 隣から羨むような視線を感じるが、俺に訴えるなよ。

 自分で言え、自分で。


「お前も炎属性か」

「ん? ……へぇ、同じ属性ってやっぱりいるんだな」


 こいつも炎魔法で火をつけた。

 俺と同じ炎魔法なのか。


「隣の餓鬼にも渡してやるよ、ほれ」

「いいの? 餓鬼だけど」

「元管理者にアマリア様だろ? さすがに分かるっつーの」

「ふーん」


 素直に受け取り、アマリアは俺に火を求めた。

 しょうがねぇから付けてやる。


「まさか、一服するために外出たら、こんなことに巻き込まれるなんてな」

「人聞きの悪いこと言ってんじゃねぇよ。巻き込んだ覚えはねぇ」


 どっちかと言うと、そっちが俺達に声をかけたんだろうが。

 俺達がお前を巻き込んだみたいな言い方はやめろ。


「どっちでもいいわ。とりあえず、俺はもう行く。絶対に、余計なことをするんじゃねぇぞ」

「なんで、そんな忠告を受けなければならん」

「おめぇら、なんかくせぇーんだよ」


 えっ、風呂には入りましたが?


「何かを企んでいるような匂いがすんだ。クセェ匂い。トラブルを起こす予感がする」

「えぇ……」


 酷い、俺何もしてないのに。

 ただ、管理者に目を付けられているだけの、一般冒険者なだけなのに。


「じゃな」と、キロンニスは煙を吹かせながら去って行く。


「あの教師、リヒト達とどう関わるつもりなんだろうね、合格したら」

「どうだろうな。そこはもう予想しても意味ないだろうし、一服したら俺は部屋に戻るぞ」

「わかった。僕はまだプラプラしてるよ」

「ほいほい」


 そのまま俺とアマリアは別れ、就寝。

 これからのことは、しーらない。


 ※


 キロンニスとかいう教師と出会ってから、約一週間が経った。


 いつものように目を覚まし、部屋で飯を食っていた時、白い鳥が窓をカンカンと叩く。


 グレールが窓を開くと、足に紙が巻かれている白い鳥がリヒトの前を飛び、テーブルに降りた。


「なんだ、これ?」

「さ、さぁ……」


 リヒトが手を伸ばすけど、逃げない。

 人懐っこい鳥だな。絶対に野生じゃないよなぁ……。


「これって、魔法学校からじゃないかしら」


 エトワールが指を差しながら言う。

 足に巻かれている紙を取り、エトワールが開いた。


「…………えっ、真っ白?」

「魔力を込めてみるねぇ~」


 エトワールが手をかざし、魔力を込める。すると、文字が現れ、た……?

 これって、炙ると文字が出てくる細工と似ているな。


「なんて書いてあるのですか?」


 ロゼ姫が聞くと、エトワールが咳払いして、手紙の内容を読み始めた。


「『リヒト=ケイン様。ブライト=エトワール様。この度、魔法学校編入試験を受けて下さり、誠にありがとうございます。教師一堂で話し合った結果、お二人を合格とさせていただきます。つきましては、編入学についてご説明がありますので、三日後のお昼に、学校へとお越しくださいますよう、お願いいたします』」


 あー、これって、合格通知か。


「無事に合格したみたいね、良かったわ」


 ロゼ姫がホッと胸をなでおろしている。

 エトワールは当たり前だろというようにしているけど、リヒトはわなわなと体を震わせた。


「合格……。本当に、合格、ですか?」

「らしいぞ、良かったじゃねぇか」

「や、やったぁぁぁぁあ!!!」


 おー、両手を上げてめっちゃ喜んでる

 うんうん、良かった良かった。


「それなら、僕達も時間を潰す場所の見直しだね。この宿に何十日も居たら、さすがに金がかさむし」

「それは駄目だ。どこか違う宿に行くぞ。素泊まりでもいい」


 高い宿ということにこだわりは無い。

 まぁ、すごい古くて寒くて、今にも崩れてしまいそうな宿は安くても嫌だけど……。


「まぁ、宿は後で考えるとして。たしか、魔法学校には寮があるんだよな? リヒト達はそこに入るのか?」

「それは……」


 リヒトがエトワールを見た。

 すると、エトワールも俺に近寄ってくる。


「恐らくですが、寮へ入るのは強制かと思いますので!」

「なるほどな。それなら、これからしばらく会えなくなるな」


 心配は無いと言えないが、リヒトなら大丈夫だろ。

 問題はエトワールだ。


 絶対に、リヒトが苦労人枠になるだろう。

 遠くにいる俺達ではどうすることも出来ないし、考えても無意味なんだけどさ。


「し、ばらく、会えない……」

「まぁ、会えなくなるだろうな。学校が休みの時とかなら、少しは会えるかもしれねぇが」


 リヒトが落ち込んでしまった。

 多分、色々と不安なんだろうなぁ。


 何も言えずに落ち込んでいるリヒトの頭を撫でていると、ロゼ姫が手を上げた。


「もし良かったら、お祝いしませんか? 編入試験合格祝いを」


 えー、めんどくさっ。

 断りたいけど、隣のリヒトが凄く目を輝かせているんだよなぁ。


 …………はぁ。


「なら、まずはお店決めだな。出来れば大広場を借りたい。どこか、おすすめあるか?」

「それはこれから調べましょう。私にお任せ下さい」


 胸を張って言うロゼ姫に、全部任せることにした。


 少なからず、俺達より自由にツムリア帝国を歩いていたしな。

 どんなお店があるか分かってるだろうし、任せるとしよう。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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