いきなり放ったのは悪かったが背後に立つ方も悪いと思う
夜になり、皆が帰ってきた。
ニヤニヤしているのがわかるが、俺はなにも聞かない。
リヒトも、流石に今回に限り何も聞かなかった。
そんで、就寝。――――の前に、誰かが外に行く音が聞こえた。
多分、アマリアかな。
アマリアは、寝なくて大丈夫な体をしているのは知ってる。
でも、そうなるといつも夜は、どこで時間を潰しているんだ?
アクアは、鼻提灯膨らませて寝ているから、世話をしている訳じゃないよな。
……今日は疲れていないし、まだ寝なくても問題ない。
眠くなれば、明日の昼とかに寝ればいい。
よし、ついて行くか。
他の人が起きないように気を付けながらベッドを降り、アマリアが近くにいるのか耳をドアに当てて確認してみる。
よし、音が聞こえない。
ゆっくりとドアを開けっ――――
「…………」
「あっ」
左右非対称の瞳と目が合いました。
※
「やっぱり、元管理者なんだなぁ」
「知里が起きているのがわかったからね、少し意識させてもらったよ」
俺が起きているのはわかっていたらしい。
だから、廊下に出た瞬間に気配を限界まで消して待機、俺が出た時にばったりと――ってことか。
「ところで、どこに向かっているんだ?」
「暇つぶしだよ、目的なんてない」
なぁんだ、つまんねー。
なんか、また秘密で何か動いているのかと思っていたのに。
「めんどくさい事には巻き込まれたくないくせに、自分から首を突っ込むのってなんなの?」
「最近は特に大きな事件はないし、巻き込まれることもなかったからな。刺激が欲しくなってきた」
「へぇ……」
アマリアに怪訝そうな視線を送られた。
な、なに? なんか、言いたげだけど。
「完璧にこの世界に染まったね」
「なんの話だ?」
「なんでもないよ」
染まった?
その自覚はあるけど、今の話には関係なくないか?
・・・・まぁ、いいや。
それ以上はなにも聞かずに、アマリアについて行く。
でも、ただただぼぉ~っと、ツムリア帝国を歩いているだけだからつまらない。
「なぁ、何かないのか? 歩いているだけじゃつまらん」
「それなら帰りなよ。僕が誘ったわけじゃないんだからさ」
そうだな。
これなら部屋で寝ていた方が有意義か。
「それなら部屋にもどっ――ん?」
「どうしたの?」
「いや、何か今、人影が見えた気がして…………」
暗くて、誰だかはわからないけど。
というか、今は深夜だよな? 俺達みたいに眠れなくて散歩してるとか?
「…………」
「気になるの?」
「なんとなく……。なんか、なぁ」
「なら、行こうか」
「え?」
アマリアが先行して進んでしまった。
気のせいかもしれないのに、そこまでするかぁ?
…………暇つぶしには、ちょうどいいか。
「どっちに行ったの?」
「あっちだった気がする」
人影が見えた方向に進んで行く。
「んー、この先って……」
「魔法学校だね」
やっぱり、アマリアも気づいたか。
ということは、教員か?
だとすると、気配には敏感だろうから、ちょっと警戒を高めるか。
気づかれない程度に近付き、物陰に隠れる。
暗くてよく見えない。あれは、誰だ?
「…………アビリティ、あの人が誰だかわからない?」
アマリアがアビリティに聞くけど、反応はない。
なんで? 聞こえてるんじゃないの?
「アビリティ?」
『はい』
「…………あの人が誰か分かるか?」
『おそらく、この学校の理事長、クインかと』
「あ、ありがとう」
アマリア君、そんな微妙という顔を浮かべないでくれ。
これは俺の意思ではない、アビリティが勝手に答えただけだ。
「なんで、理事長であるクインがこんな時間に学校に?」
「わからない。けど、何かありそうだよね」
うーん、何だろう。
あっ、建物の中に入ってしまった。
理事長ってたしか、この学校の校則にものすごく厳しいとか言ってたよな。
双子の話、半分程度しか聞いていなかったけど。
――――カサッ
「っ、誰だ」
後ろから音、人影!!
「sunet!」
――――ガンッ!!
「いっ!!」
「アマリア!?」
魔法を放ったアマリアの右手を、上に蹴り上げて防いだ、だと?
「…………誰?」
腕をさすりながらアマリアが問いかけると、人影が近づいてきて輪郭がはっきりとしてきた。
「くっそ、いきなり魔法放つとか、流石に酷くね?」
「…………誰?」
輪郭がはっきりしてきても、見た目がわかっても、誰かはわからなかった。
誰だ? この、金髪ピアス野郎。
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