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まぁ、こうなっちまうのは仕方がないな

 まず、魔導書に魔力をゆっくりと送り込み、flame(フレイム)を印字する。

 ここまでは、特に違和感はないか。


 多く魔力が奪われることも、変な文字が浮き出ることもない。

 普通の、今まで使っていた魔導書と変わらない。


「これで魔法を放って、試してみるか」


 魔力を魔導書に込めると、光りだす。


「――――flame(フレイム)


 右手を前に出すと、手のひらに炎の弾が作られる。

 放つ時間も、変わらない。魔導書がない時と同じだな。


「何も変わらんな」


 ――――ドカン


 木にぶつかるflame(フレイム)

 炎でも、自然の木に燃え移る事はないからな、安心安心。


「何も違いはなさそうですね」

「おう……」


 魔導書を使っても使わなくてもという感じだ。


「金出して買ったのに、荷物を増やした、だけ?」


 嘘だろ、まさか、そんな……。

 金を、俺が金を出してまで、買った……のに……。


「ほ、他にも何か特殊な方法で魔導書が力を発揮するかもしれませんよ! 他にも試してみましょう!」


 他にもって言っても、魔導書を使う時って、大体今みたいに魔法を使う時じゃね?

 まさか、物理攻撃にも強いとかじゃないよな?


 この魔導書は、どんな物理攻撃も弾き返せる代物、とか?


「いやいや。それはないか」

「??」


 触った感じ、普通の素材だし。

 表示は厚紙、中は普通の紙。魔法を扱う物だし、普通の紙ではないのはわかるけど。


「うーん。まぁ、いいか。使い勝手悪いわけでもないし、リヒトが言うように何か隠されたもんがあるかもしれないしな」

「そうですよ。魔道具や戦闘で扱う武器や防具には、何かしら強みがあるはずなんですよ。だから、もう少し探ってみましょう?」

「だな」


 まぁ、有っても特に困りはしないし。

 せっかく金を出して買ったんだ、もっと試してみようか。


「んじゃ、次は属性違いを試してみたいが……リヒト、暇じゃないか?」

「私は大丈夫ですよ」


 大丈夫と言われてもなぁ。なんか、気になるんだよ。


 女って、自分は男を買い物に使わせて、さんざん荷物持ちさせ、待たせてを平気でやるくせに、男が少しでも自分の見たいものを見ると、怒り出すんだよなぁ、俺の偏見だけど。


 それが刷り込まれているから、なんか、女を待たせたらいけないと思っちまう。

 リヒトの場合は、本当に大丈夫だとは思うけど。


「んー。なら、リヒトも修行するか?」

「え、修行、ですか?」

「模擬戦だよ。俺とやらないか?」


 誘ってみると、リヒトは驚き口をパクパクとしている。

 驚くのも無理はないとは思うけど、そこまでか?


「で、でも、私ではカガミヤさんの相手は務まりませんよ?」

「俺はお試しだから、余裕があった方がいいんだよ、ソフィアやグレール相手だと考える余裕すらないからな」


 あ、落ちこんだ。

 そこで落ち込まれても困るんだけど。


 俺、正直な事しか言ってない。


「わかりました。でも、本当に期待しないでくださいね?」

「安心しろ。今までサポートをお願いしていたリヒトに、戦闘スキルなんて求めねぇよ」


 またしても落ち込んだ。

 俺は、なんと言えばよかったんだよ。


 ※


 リヒトを相手に初めての模擬戦をしたんだが、まぁ、そうだよな。


「リヒト、せめてacqua(アクア)は放てるようにしような?」

「すいません……」


 リヒトがacqua(アクア)すら放てなかったから模擬戦にならんかった。


 いや、chain(チェイン)で追い込められるのかなとか思ったりはしたんだよ、俺。

 流石に何も出来ないだろうと思っている人に模擬戦はしないよ?


 chain(チェイン)ならと思ったのに、まさか……。


chain(チェイン)の勢いもそこまでじゃなかったしな。感情的にならないと駄目なのも、リヒトの欠点だなぁ」

「すいません…………」


 …………さっきからめっちゃ落ち込むんだけど。

 俺が悪い……の?


「まぁ、そこをこれから学んでいくんだろ、落ち込むな。人には必ず欠点があるんだからな」

「欠点とは、カガミヤさんがお金に眩んでトラップに引っかかりやすくなったり、油断する事ですか?」

「言うようになったじゃねぇか、その通りだ」

「その通りなんですね」


 俺の欠点は、俺より周りの方がわかっているしな。

 金に関しては、周りの言い分は理解できないけどな。


 金、大事。なによりも。


「とりあえず、俺のお試しはここで終わりだな」

「役に立たなくてすいません…………」

「そうは言ってないんだがな。それより、リヒト。お前、まだツムリア帝国を見て回れてないだろう」


 聞くと、目を丸くしながらキョトンとして、戸惑いがちに頷いた。


「それなら、今から少し歩くか。案内できるほど俺も覚えてはいないが、ただ見て回るだけでも楽しいだろう」


 俺が言うと、リヒトが明らかに目を輝かせた。

 俺の隣に来たかと思うと、え?


「なんで、手を繋ぐんだ?」

「迷子にならないためです」


 万が一、迷子になっても問題ない二人だろ、おい。


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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