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頑張れよ、俺は横になりながら見守ってやるからよ

 周りの空気など気にしないエトワールは、次の戦闘相手がどっちになるか腕を組み傍観。

 どちらもそこまで目立った魔法は持っていない。


 風と、地。

 夢魔法を持っているエトワールからしたら、相性などは関係ない。だから、戦略や魔力量が左右する。


「――――やっぱり、余裕ね」


 試合が終わった。

 次、エトワールと勝負するのは、風属性の男性となった。


 すぐに次の試合に入り、待機。

 相手は少し息切れしており、体力がもう持たないように見える。


 逆に、エトワールは無傷で、すぐに試合も終わり、体力も減っていない。


 すぐに肩をつけようと考えていた。


「――――始め!!」


 試験管が合図すると、男性がすぐに杖に魔力を込め始めた。

 次に感じるのは、エトワールの足もと。


 魔力を込めてから放つまで時間がかかっている。

 地面から吹き荒れた風を、エトワールは余裕で避けた。


 めんどくさいからすぐに夢魔法を発動しようと、魔力を込めた。

 舞い上がった風が薄くなると、エトワールの目が微かに開かれる。


「――――いない」


 周りを見ても見つけられない。

 何処にも彼の姿はない。


 周りの人達も目を開き、どこに行ってしまったのか探す。すると、上から強い魔力。


「夢魔法では対抗できないわね」


 上を向くと、特大風魔法を放つ準備をしていた。


 息を切らしている男性は、これに賭けようと思っているらしい。


 魔力を最後まで使い、エトワールを倒す。

 その作戦こそ滑稽。エトワールは、息を吐いた。


 魔力を杖に込めるのを諦め、歩く。

 どこに行こうと、絶対に逃げられない。そう思っている男性は、余裕そうにしているエトワールに特大風魔法を放った。


「しねぇぇぇぇええええ!!!」


 少しでも近づけば足が引っ張られ、体の自由を奪われる。

 周りの人達も引き寄せられないように必死に耐えていた。


「エトワールさん…………」


 リヒトが杖を握りしめながらエトワールを不安そうに見る。だが、その不安は杞憂だった。


 端まで移動したエトワールは、魔力を自身に纏わせた。


 風魔法は、中心から離れると強い風が吹き荒れるだけ。

 だから、エトワールは風の中心から避け、魔力を纏った。


 シールドを張っているような状態となる。

 ただ、魔法を防ぐシールドではない。


 自分にかかる負荷を軽くするもの。

 筋力強化と似ている方法で、風魔法を耐えていた。


 この方法は、魔力を纏う事でそこまで多く使わなくて済む。だが、魔法や物理を防げるものでは無い。


 あくまで筋力強化。だから、使う人はほとんど居ない。


 今回の風魔法は、中心を避ければ大ダメージは無いと考えたエトワールは、少しの動きと魔力で防ぐことを選択。余裕で耐えていた。


 地面にぶつかった風魔法は、爆風を起こし霧散する。

 空を飛んでいた男性は、魔力切れにより地面に足を付けた瞬間に、強制睡眠に入った。


「勝者、エトワール」


 端に立っていたエトワールは、髪を翻し、無傷で歩き出した。

 リヒトの元へと向かっている途中で、裁判官は次の組みを呼ぶ。


 とりあえず、二人の番は終わった。

 リヒトはエトワールに近付き、小声で問いかけた。


「あの、最後のはいったい?」

「魔力を体に纏わせることで、簡易的な肉体強化をしたんです。今回放たれた風魔法は、ただ派手なだけで魔力は霧散していた。中心から離れれば問題のない代物だったので」


 ニコッと、説明をするエトワールだったが、まさかあの状態でここまで分析し、対応するなんてと。


 リヒトは、エトワールの得体の知れなさに体を震わせた。


 エトワールが敵じゃなくてよかったと、心の底から思った。


 ※


「――――エトワール、つえぇ」

「もと、カケルの冒険者だからね。あのくらいの魔法使いくらい簡単にさばけないと駄目でしょ」


 アマリアとアクアが、リヒトとエトワールの戦闘が終わった途端に、俺達の元へと戻ってきた。


 さっきまで見ていた光景について軽く話していると、ヒュース皇子がアマリアの言葉に首を傾げていた。


「どうした、ヒュース皇子」

「カケル様って、たしかもうこの世にいない冒険者だったはず。それに、もう昔。同じ時間を共に過ごしている冒険者など、生きているわけがないだろう?」

「あー、そっか」


 普通、そう思うよな。

 俺は、もう周りの人達が数百年と生きている奴らに囲まれ続けていたから感覚が麻痺しちまっていたけど、ヒュース皇子の質問は普通の反応だ。


 普通なんだが、説明するのはめんどくせぇ。


「まぁ、深く考えるな」

「すごく気になるのだが?」

「説明するのめんどくさい」

「おい」


 そんなこと言われても困るんだよ。

 俺だって、すべてを理解している訳じゃねぇんだから。


 ……視線がうるさいけど、今はいいや。無視無視。


「ここで勝っても、次も戦わないといけないのか?」

「おそらくね。人数は決まっているだろうし。まだ絞りに来るんじゃなかな」


 やっぱりそうか。

 なら、まだまだ続くな、編入試験。


 …………がんばれよ、リヒト、エトワール。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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