予想通りで良かったよ。
今日はもう夜が遅い、他の奴らと合流するため、一応出入り口まで来たけど、誰もいないなぁ。
ここは人が多いし、気配を探るのは難しい。
待ち合わせ場所を話し合っておけば良かったよぉ。
アルカとヒュース皇子と共に立ち尽くしていると、前から二人の影が見えてきた。
目を凝らすと──あっ、アクアとアマリアだ。
「やっほ」
「待ち合わせ場所と時間を決めていなかったね。他の人はどこにいるんだろう」
俺の挨拶は無視らしい。
そこはいいとして、めっちゃアクアがご機嫌だ。楽しかったんだな、良かった。
「この人…………」
「あっ」
ヒュース皇子がアマリア達を見て驚いている。
目を開いて、腰に付けている剣に手が触れた。
「待って、ヒュース皇子。こいつは確かに元管理者だが、今は俺達の仲間だ。アクアも同様。悪いが、微かに出ている殺気をしまってくれるか?」
流石にここで殺気を出されるのはまずい、俺は目立ちたくないんだよ。
絶対に少しでも目立った行動をすれば、大きな事態へと発展する。今までの経験上。
「…………元? あぁ、そう言えば、伝達があったな。ギルドの管理を行っていたアマリア様が、管理者から抜けた、と。それから、冒険者に入ったとも聞いた。本当だったのか」
「そこまで伝達されているのか」
「だが、アクア様の方は伝達されておりませんよ」
今度は、アクアを警戒し始めた。
そうか、アクアが離脱してからは、管理者も人数が減り、実力的にも落ちたから焦っているはず。伝達を忘れているのか?
いや、そんなのどうでもいいとか思ってそうだな。ウズルイフ辺りは特に。
「だが、ここにいるのがなによりの証拠じゃないか?」
「そうかもしれないが……」
それでも警戒しているな。
警戒していてもいいけど、変に目立たないでくれよ?
「――――さすがに、編入試験の説明は終わったんじゃないかな」
アマリアの言う通り、空がオレンジ色に変わっている。
もう夕暮れ、終わっていてもおかしくないな。
「魔法学校にでも行ってみようか。エトワールがいる限り、すれ違いにはならない」
「自信満々だな」
「あの、エトワールだからね」
あっ、遠い目をしている。
やっぱり、過去にいろいろあったな、この顔。
詳しくは聞かねぇよ、俺も巻き込まれる可能性があるからな。
アマリア発見機がエトワールに埋め込まれていることを信じて進むか。
「それじゃいきましょ~。私は、疲れました~」
と、言いながら欠伸を零すアクア。
はしゃぎすぎて疲れたみたいだな、そこは子供だなぁ。
アマリアがアクアの手を引っ張り、魔法学校へと向かう。
ヒュース皇子はまだ警戒しているけど、俺の後ろをついて来た。
アルカは不安そうにして、俺をチラチラ見て来る。
「……大丈夫だって」
「本当かぁ?」
「多分」
「おい…………」
不安は少しあるが、今は大丈夫だろう。
ヒュース皇子も後先考えないで行動するようなタイプではなかったはず。
それより、リヒトの方だ。
説明だけで顔を青くしているんじゃないかなと、予想している。
そんな事を考えていると、魔法使い達が手に紙を持って現れた。
もしかして、これが編入試験に受ける受講者達か?
人をかき分け魔法学校に向かうと、ちょうどリヒトとエトワールが出てきた。
「よっ」
「か、カガミヤさん…………」
「予想通りの顔」
俺を見つけたリヒトがめっちゃ青い顔を向けて来た。
エトワールも苦笑い。やっぱり、聞いたんだな。
おそらく、ヒュース皇子に聞いた内容と同じだろう。
だが、流石に試験官が厄介だって事までは聞いていないはず。
アマリアに目伏せをすると、なんとなく通じたみたい。
エトワールの方へと渋々向かった。
その間、俺はリヒトを慰める。
そのまま宿へと向かい、大部屋をゲット。
アルカが「グレール達を探してくる!」と、飛び出そうとしたが、リヒトも一緒に行くと部屋から二人、出て行った。
「リヒトも行くなんてねぇ」
「あの二人は、最初から共に行動していたからな。色々と一緒の方が安心するんだろう」
まぁ、知らんけど。
それより、アマリアがげんなりしながら俺の隣に移動して来た。
ちなみに、俺達が今いる部屋は、本当に広い部屋。
俺達七人がいても余裕がある。
でも、椅子やテーブルはない。
ベッドが四つと、布団が三つ置かれ、後はテレビとか暖房とか。
魔法に特化した帝国だから、何か魔法で全てを管理するのかと思っていたけど、テレビや暖房と言った普通の家電がある事に驚き。
魔法が無くても普通に過ごせっ――――
「ボタンがない」
「これは、魔力を送る事で加熱する暖房だね。今、いる?」
「いらない…………」
結局、魔法が必要な家電でした。
最早、家電じゃねぇ……。
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