意外な奴が意外なアドバイスをするかもしれないし、任せよう
「理事長なぁ。学校に近づかなければいいんじゃないのか?」
「普通はそうなんだけど。そこにエトワールとリヒトを入れるつもりでしょ? 何かしらの拍子で知里の存在を気づかれる可能性があると思うんだ。トラブルメーカーだし」
「黙れ」
なんで俺をトラブルメーカーと言うんだよ、酷いなぁ。
俺だって、好きで厄介ごとを持ち込んでいる訳じゃねぇんだよ。出来れば平穏な人生を送りたい。
「理事長の魔法とか性格とか。そういうのはわからないのか?」
「時空魔法使いだったはずだ」
「時空魔法……」
名前だけで十分に強そう。
というか、俺が持っている精霊、リンクと同じ感じをイメージすればいいのか?
それか、ラムウと言うモンスターをイメージすればいいかな。
どっちにしろ、強い魔法であることには変わりはない。
魔力も多く使うと思うけど、そこはどうしているんだ? 普通に魔力量が人より多いのか?
「厄介な魔法を持っているね。性格は?」
「厳しく、お堅い。理不尽が目立つ、だったはずだ」
双子が言っていた通りの人物らしいな。
「なるほど。お堅い……。ルールを破ると危ないね。エトワール達には、ちょっと厳しく言った方がいいかも」
「規則を破ると、一発停学になる可能性もあるからな。肝に銘じさせておけ」
ソフィアがそこまで言うのか。
ん-、マジかぁ。
「でも、確か規則に、一人行動厳守とかなかったか? これだと、エトワールとリヒトが連携取れないし、連絡も出来ないんじゃないか?」
「エトワールの夢魔法を使えば可能だよ。体は疲れるけど、夢の中で情報交換すればいい。そんな魔法を持っていたはずだよ」
ふーん。そういや、エトワールの魔法って、夢魔法だったか。
たしかに、夢の中にはさすがに理事長でも入れないか。
「でも、魔法に気づかれた場合はどうするんだ?」
「エトワールがそんなヘマする訳ないよ。それに、魔力が集まる学校、魔法を少し発動しただけでは気づかれないと思う」
アマリアが言うのなら、そう思うしかないな。
俺は全く知らないし、頷く。
「魔法学校に近付かない限り、多分何もないと信じて、僕達はソフィアの目的について行こうか」
「断る」
「えー」
ソフィアは、一人で行動したいらしい。
ソフィアだもんな、俺達との行動、嫌だよな。
「なら、僕達は僕達で自由行動にする? 団体行動は目立つかも」
「それもそうだな。グレールとロゼ姫も自由に動きたいだろうし、連絡手段だけ話して別行動でもいいか」
魔法の集まる国。
どんな国なんだろうか、人は沢山居るのだろうか。
…………いるだろうなぁ。
また、人酔い覚悟で行かないといけないか。
人酔いに効く魔法や薬があれば速攻で買おう。
「――――あのぉ~。隣の部屋から~、魔力を感じませんかぁ~」
アクアが手を上げ、ワクワクしたような表情で言ってきた。
「隣から――確かに」
「感じるね、これはリヒトかな。もしかして、魔法を試しているのかな」
へぇ、なるほど。
acquaとかchainとかなら、部屋で出しても問題はないもんな。
最小限に抑えればいいし、感情を爆発させなければ問題ない。
「少し、様子でも見に行く?」
「そうだな。acquaを試しているのなら、俺も協力できるし」
ソフィアはどうするのかなぁとか思ったけど、ベッドから動かない。
行く気はゼロらしい、別にいいけど。
「んじゃ、ソフィア、行ってくるな」
返事はなし、了承したという事で。
廊下に出て、隣の部屋の扉をノック。中からグレールの声が聞こえた。
開けると、リヒトが杖に魔力を込め汗を流している姿。
その隣にはアルカとロゼ姫。応援しているみたいだな。
「魔法を試していたのか?」
「水魔法や鎖魔法なら、部屋の中で放っても特に被害はないと思いまして。ですが、やはりうまく出来ないようです」
汗を流し魔力を込めているけど、acquaは出ない。
また、焦っているのか。それとも、怖がっているのか。
透視を使うとまた恋心とか言われたら嫌だからやらないけど、どう声をかければいいのか……。
「うーん。リヒト」
「っ、あ、あれ、カガミヤさん?」
リヒトが俺達に気づいた。
そこで集中が切れたみたいで、魔力も途切れる。
「しっかりと頭の中で想像しているか?」
「しています。けど、やっぱりできなくて」
落ち込むな落ち込むな。
すぐに出来たら苦労しなくていいけど、仕方がないだろう。
「ほれ、これを見てもう一度やってみろ」
俺もacquaを出して見せた。
それで、もう一回、リヒトが魔力を込める。
…………まぁ、見ただけではできないわな。
さて、どうするか。
「あ、あれ、アクア?」
なぜか、アクアがリヒトの隣まで移動した。
アルカが下がり、俺の元に来る。
「アクア、どうしたんだ?」
「わからん。けど、水魔法に詳しいかもしれないし、少し任せてみよう」
アクアも水魔法使いだし、何か感じるものとかがあるのかも。今は任せてみよう。
アクアがリヒトの隣まで移動すると、肩を叩いた。
「え、な、なんですか?」
リヒトが聞くと、アクアはにっこりと笑った。
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