知里ってなんでここまで利用しやすいんだろう
リヒトと共にみんなの所に戻ると、アルカとアクアが仲良さそうに寝ていた。
ロゼ姫はエトワールと共に寝ている。
起きていたのは、ソフィアとグレール、アマリアの三人。
この三人って、寝ているんだよな? あぁ、アマリアは寝てないか。
「やっと戻ってきたんだ」
「まぁな」
「何か進展はあった?」
俺がアマリアの隣が空いていたからそこに座ると、木に寄りかかりながら聞いて来た。
リヒトは、俺の隣に来るか迷っている。
リヒトに手招きしながら、アマリアに対して小さく頷く。
「少しはな。明日起きたら少し魔法を試して見ようと思ってる。リヒトは、いいか?」
「はい」
返事をするとリヒトが欠伸を零した。
目を擦っているし、眠そうだな。
「もう寝ろ」
「…………ありがとうございます」
「ありがとうございます?」
なんで俺は礼を言われっ――なんでやねん。
なんか、勝手に俺の膝の上で寝始めちまった。
もう寝息立てているし、起こせなくなっちまったじゃん。
「本当に何があったの? リヒト、積極的じゃん」
「わからん。なにか、心の変化があったんじゃないか?」
ロゼ姫が寝ていてよかったぁ。
この状況、ロゼ姫に見られていたら危なかったかもしれない。
「はぁ、それにしても、疲れたぁ」
「お疲れ様。今日はもう寝たら?」
「おー。でもよぉ、ここ、誰かが起きて見張っていた方がいいんじゃないか?」
「僕が見ておくよ」
それなら安心だな。
あー、そう言えば、お腹、空いた。けど、もう無理、限界。
「僕の肩で寝ていいよ」
「ん-……」
やばっ、もう考えられない。
いいや、どうでも、寝よう。
「おやすみ」
「うん、おやすみなさい」
※
本当に僕の肩で寝ちゃった。
反発されるかなとか思っていたけど、相当眠たかったみたいだね。
「チサト様、疲れていたんですね」
「うん、最初の頃の知里では考えられない程無防備になるくらいには」
「そうですね。出会ったばかりは、ここまで無防備な姿をさらす方ではなかったはずです」
「リヒト達と出会った時なんて、僕達が知っている以上に警戒していたはず。さすが、純粋二人に囲まれてここまで来たね。完全に絆されている」
こんな話をしていても起きる気配はない。
相当、心を許しているね。
「おい」
「どうしたの」
「このまま歩いてツムリア帝国に向かうつもりか?」
ソフィアが火を突きながら聞いて来た。
目を合わせない。今は、ソフィアが一番人を警戒しているね。
「いや、どこかの町で馬車を借りるつもりだよ。でも、こうやって歩いていてもいいよね。時間がないからそんなことしないけど」
「管理者と言う奴らか」
やっぱり、ソフィアも自分が狙われて警戒を強めているな。
「そうそう。今は静かだけど、絶対に裏で動いているし、情報収集をしていると思う。次に戦う時は、絶対に今までみたいにはならない。確実に殺される。だから、それまでにカケルの封印を解除したいんだよね」
カケルがいれば、大きな戦力になる。
知里が二人分か、それ以上の力を持っているんだし、早く封印解除したい。
「その、カケルとやらを解除するにはダンジョン攻略が必須。だが、実力が不安定なため、ツムリア帝国で力を手に入れる──か。ずいぶん遠回りだな」
「今やるべきことではないよね、それはわかっているよ」
もっと早い段階でツムリア帝国に向かえばよかったんだろうけど、その間にも色々あったんだよね。
それと、普通の修行だけでリヒトの力を解放できると甘く見ていた。
まさか、ここまで時間がかかるとは……。
色んなトラブルにも巻き込まれるし、スムーズに事が進まない。
「俺的には、ツムリア帝国に行ける口実が出来たから助かったけどな」
「そう言えば、そんなに興味があるんだったらなんでアンキと行かなかったの? ソフィアならタッグバトルに参加していないで行けばよかったのに」
疑問を聞くと、ソフィアは顔を上げた。
「理事長に顔を覚えられている可能性があるからな。めんどくさい事に巻き込まれたくなかったのと、対処方法がなかった。だから避けていたんだ」
「なるほどね。でも、それは今回も同じじゃない? 顔を覚えられていた場合、狙われると思うんだけど」
「顔は覚えられているかもしれないが、対処は可能と判断した」
「対処?」
あ、視線が知里に注がれた。
なるほど、そこまで考えられていたのね。
やっぱり、知里は利用しやすいんだなぁ。
「対処方法は?」
「力づく」
「お願いだからソフィアは頭を使って、筋肉馬鹿にならないで」
「ふん」
あー、これは諦めた方がよさそうだね。
知里、頑張って。
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